くらし破壊、環境破壊の「公共」事業は見直しを

〜住民無視の常磐新線・巨大開発に明るい展望はない〜


住みよい流山をつくる会 会長 林 計 男



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 常磐新線・巨大開発の根本的見直しを求める住民団体「住みよい流山をつくる会」は2002年4月14日、結成10周年の総会を開きました。この総会で私たちが何をめざしたかを明らかにしたいと思います。

 1985年、運輸政策審議会答申によって浮上した常磐新線は、1989年「大都市地域における宅地開発と鉄道建設整備に一体的推進に関する特別措置法」で、法的根拠が与えられました。これがいわゆる「宅鉄法」ですが、この法律は、その名のとおり、常磐新線だけを想定してはいませんでした。大都市地域に宅地開発と鉄道建設整備を一体的に推進する。つまり、常磐新線はそのモデルケースだった訳です。常磐新線がうまくいけば、他の大都市地域で、第二、第三の新線がつくられる。そういう構想は、常磐新線のつまづきで、もう実現しそうにないというのが現状です。

 1990年、バブルがはじけ、経済情勢が激変しました。バブル崩壊に伴う損失は、第二次大戦のそれを大きく上回ったものでした。こうした情勢の変化にもかかわらず、当初は骨格だけだった計画に、バブル崩壊後に肉付けをしてきた、「土建国家」日本の無責任さは理解に苦しむところです。
 当初、新線建設の目的はJR常磐線の混雑解消策とする行政による宣伝が行き届き、幻想を持たされた人々も少なくありませんでした。しかし、新線の採算性を確保するには、沿線に宅地とビル群が林立させなければならないという開発推進側のねらいと、構造的不況、人口減少、住宅地の都心回帰などで、計画の無謀さと展望の無さに気づく人々も増えてきました。
 そうした中で、開発推進側のプロジェクト推進協議会、すなわち政官業の「鉄のトライアングル」に財界200社以上が群がるのに対抗する住民組織が必要だということで、1都3県連絡会ができました。その呼びかけの中軸を担ったのが、いち早く運動を組織した柏の人々と流山でした。

 これまで、本当に粘り強い運動を展開してきました。初期において、運動の中核を担った人々の中には、家庭の事情から運動を離れた人もいます。しかし、別の地域に移住しても、建設省は全国に目を光らせていて、土地区画整理に新たな土地でぶつかり、それに対応せざるを得ないという現象にも出会いました。日本国内から出なければ、日本の政治のあり方を変える以外に打開策はないのです。

 総会に激励のメッセージを多数の団体からいただきました。その中に、憲法改悪によって日本を普通の戦争をする国にしようと、有事法制をつくる動きがあるが、これに徹底的に対抗せざるを得ないのと同様、ムダな「公共」事業には徹底的に抵抗せざるを得ないとの指摘がありました。まったく同感です。
 先日、全労連東京水道労組が機関紙に常磐新線特集を組むという企画をたててくださり、取材を受けました。
 その折、4月1日付の「山陽新聞」が、「十五年目の現実」という見出しで、瀬戸大橋の岡山県側のたもと、倉敷市児島地区の現実の特集記事を示してくれました。それは、1988年に瀬戸大橋が開通し、児島にはJR瀬戸大橋線の駅や自動車道のインターができた。大きく変わる町並みに地元の人たちは将来への期待を膨らませた。だが、現実は、10万人を超えるとも想定された同地区の人口は、開通前から4%減った。対岸の坂出市の人口も、この5年間で香川県で最も減少した。広島県の市部では、しまなみ街道沿いの因島市の減少率が一番大きい。つまり、「架橋の街」の人口減という皮肉な現実です。
 本州と四国を結ぶ三橋のトップを切った瀬戸大橋の開通から15年目、国土政策の目玉であり夢だった本四架橋が実現し、なぜ地域の活力が低下したのか。期待とは裏腹に、施設や住宅が未だ張りつかず、駅前はさながら広大な駐車場。便利になった。ただそれだけでは、子供や孫が住み続けられることにつながらず、地域を維持できない、という訳です。

 遠くの本四架橋を見るまでもなく、千葉県内の京葉線沿線や、かつて「朝日」(1984年11月20日)が「壮大なムダの象徴」と書いた北総開発鉄道沿線の千葉ニュータウンの現実は、沿線に施設や住宅が張りつかず、駐車場だらけの現実が随所に見られます。  私たちは、今回の総会の方針討議で、そのトップに、住民のどんな悩みにも応じる相談活動を旺盛にとりくむことを掲げました。

 いま、流山では、常磐新線工事が虫食い的にやれるところから進められているために、さまざまな住環境破壊が進行しています。オオタカの生息する「市野谷の森」がずたずたに伐採され、周辺の住宅では砂ぼこりで洗濯物が干せない。ダンプカーの排気ガスがひどい。交通事故が心配だ。玄関の真上に高架鉄道が来る。などなど。
 住民合意もなくやみくもに強行される常磐新線工事に、明るい展望はまったくありません。私たちは、住民の生の声を大事にし、くらし破壊、環境破壊を許さず、子供や孫が住み続けられるまちづくりのため、堂本暁子知事に、知事選最中に文書公約した立場に立ち返らせ、情報公開と住民参加による事業評価を本気でやり直し、常磐新線・巨大開発の根本的見直しをする方向を、「あせらず、あきず、あきらめず」追求していきます。住民こそが主権者なのですから。

(2002年4月)










オオタカの棲む「市野谷の森」はズタズタに伐採されています。散策中の夫婦は、「野鳥がたくさんいたりして自然が豊かなので、よく散歩に来ている。しかし、来るたびに伐採がどんどん進んでいるので、たいへん驚いている。森が今後どうなるのか、心配だ」と語ってくれました。








「市野谷の森」は今も伐採が進んでいます。








伐採された跡には常磐新線用の高架が建設中です。









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