田中康夫・長野県知事に

「脱ダム宣言」支持のメッセージ

〜「千葉県自然保護連合」と「市川緑の市民フォーラム」〜




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 「千葉県自然保護連合」と「市川緑の市民フォーラム」は2001年4月14日、田中康夫・長野県知事あてに「脱ダム宣言」を支持し、応援するメッセージを送りました。



「脱ダム宣言」支持のメッセージ



2001年4月14日

 長野県知事 田中康夫  様

千葉県自然保護連合
市川緑の市民フォーラム


「脱ダム宣言」を支持します!

 桜も散り、半袖でも寒く感じないほど暖かくなり、春は一足飛びに夏へ向かっているようですが、貴職におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
 さて、私たちは千葉県あるいは市川市で環境保全活動を行っている市民団体です。千葉県自然保護連合は、千葉で最も素晴らしい景観と植生の地域を含めて計画されていた小櫃川上流部の追原ダム建設計画に対して、治水および利水の両面から考えても建設する意味のない計画であることを他団体とともに訴え続け、今年1月にこの建設計画を中止にすることができました。
 また、市川緑の市民フォーラムは、江戸川の下流部、江戸川放水路との分岐点にある行徳可動堰の大改修問題に関わり、河川審議会がダムや堤防により雨水を河道に押し込める従来の治水に対する考え方を改め、総合的な治水の取り組み、氾濫を許容する治水へ方向を大きく変更したことを受けて、国土交通省が昭和55年に策定した利根川治水計画を早急に再検討し、そのうえで適正な規模の改修計画を立てるよう求めています。
 これらの私たちの活動は、言いかえれば田中康夫知事が示した「脱ダム宣言」と同じ理念に基づいたものであると考えております。
 私たちは、田中康夫長野県知事の「脱ダム宣言」を応援しております。先にも述べましたが、河川審議会も今までのようなダムと河道に頼った治水をあらためるべきとしました。そして、これからは浸透、保水、遊水域を拡大したり、計画的に氾濫をおこさせるなど、「点や線の治水対策」から「面の治水対策」へとシフトしているのです。つまり、そうしなければ水害が防げないこと、そしてそうしなければ膨大な税金を使わざるをえないことを公式に認めたのです。したがって、田中長野県知事の「脱ダム宣言」は河川審議会の考え方をいち早く政策に取り入れたものであり、長野県の将来を真に考えた政策であると考えます。長野県議会議員の皆さんがこの脱ダム宣言を「一部の県民に踊らされた……」と発言していますが、これこそ20世紀の古い考えにとらわれた「後ろ向き」発言の何ものでもないのです。
 アメリカではすでに500以上のダムが取り壊されています。日本の河川がアメリカとは性格が異なるとしても、日本におけるダム建設は遠い過去に計画されたものも多く、本当に必要なものかどうか十分に検討されたものではありません。一方、住民の立ち退きや人々の歴史や暮らしを刻んだ集落がそっくり水面下に沈んでしまうという問題はもちろんのこと、堆砂により機能を失ったとき、ダムほど粗大ゴミの典型はありません。ダム建設のもたらす環境破壊が日本の美しい国土と野生生物たちにどれだけ大きな被害をもたらしているかということがクローズアップされ、公共事業としてのダム建設はすでに大きな曲がり角にきていました。そして、財政破綻、治水理念の根本的変更がそれを決定的なものにしたのです。しかし、日本そのものはまだこの新しい考え方を受け止められないでいるのです。
 不景気の中、新しい治水の考え方を日本全国に浸透させ、それを具体的な治水計画に盛り込んでいく作業は並大抵なものではありません。しかし、田中知事の発言は日本全体をそういった方向に加速させるために大きな役割を果たそうとしています。本当に必要なダムは建設する必要があるでしょう。しかし、その「本当に必要」であることを決定していく仕組みの中には「過大に計画されていく傾向」が強く存在し、また「納税者の意見」も反映されません。田中知事はあえて「脱ダム宣言」という形で注目を集めながら、そういった公共事業を進めていく仕組みにもメスを入れようとされたのだと思います。
 すでに、各地で河川改修やダム建設に対する見直しの兆しが見え始めています。私たちも千葉県、そして市川市の自然環境を守り、本当に必要な公共事業を計画し事業化するシステムを作り上げる努力を続けてまいります。
 奮闘を祈ります。



「脱ダム」宣言



 数百億円を投じて建設されるコンクリートのダムは、看過(かんか)し得ぬ負荷を地球環境へと与えてしまう。更には何れ(いずれ)造り替えねばならず、その間に夥(おびただ)しい分量の堆砂(たいさ)を、此又(これまた)数十億円を用いて処理する事態も生じる。
 利水・治水等複数の効用を齎す(もたらす)とされる多目的ダム建設事業は、その主体が地元自治体であろうとも、半額を国が負担する。残り50%は県費。95%に関しては起債即ち借金が認められ、その償還時にも交付税措置で66%は国が面倒を見てくれる。詰(つ)まり、ダム建設費用全体の約80%が国庫負担。然(さ)れど、国からの手厚い金銭的補助が保証されているから、との安易な理由でダム建設を選択すべきではない。
 縦(よ)しんば、河川改修費用がダム建設より多額になろうとも、100年、200年先の我々の子孫に残す資産としての河川・湖沼の価値を重視したい。長期的な視点に立てば、日本の背骨に位置し、数多(あまた)の水源を擁する長野県に於いては出来得る限り、コンクリートのダムを造るべきではない。

 就任以来、幾つかのダム計画の詳細を詳(つまび)らかに知る中で、斯(か)くなる考えを抱くに至った。これは田中県政の基本理念である。「長野モデル」として確立し、全国に発信したい。

 以上を前提に、下諏訪ダムに関しては、未だ着工段階になく、治水、利水共に、ダムに拠(よ)らなくても対応は可能であると考える。故に現行の下諏訪ダム計画を中止し、治水は堤防の嵩(かさ)上げや川底の浚渫(しゅんせつ)を組み合わせて対応する。利水の点は、県が岡谷市と協力し、河川や地下水に新たな水源が求められるかどうか、更には需給計画や水利権の見直しを含めてあらゆる可能性を調査したい。
 県として用地買収を行うとしていた地権者に対しては、最大限の配慮をする必要があり、県独自に予定通り買収し、保全する方向で進めたい。今後は県議会を始めとして、地元自治体、住民に可及的(かきゅうてき)速やかに直接、今回の方針を伝える。治水の在り方に関する、全国的規模での広汎なる論議を望む。

 平成13年2月20日

長野県知事  田中康夫




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