ムダと利権疑惑の

 国道297号バイパス道路を見学


千葉県自然保護連合事務局



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 県自然保護連合は2001年12月23日、地域分断や景観破壊、ムダづかい、談合・利権疑惑などで問題となっている国道297号バイパス道路の現場を見学しました。
 このバイパス道路については、週刊誌『アエラ』の2000年10月2日号が、「千葉県土木行政のデタラメ──バイパス道路が腐っている」というタイトルで、利権や腐敗の問題などをとりあげています。

















■高盛り道路に地元住民が反対し、工事がストップ

 国道297号は、房総半島南部の勝浦市と市原市をつなぐ道路です。問題のバイパス道路は勝浦市の松野、杉戸地区などを迂回する形で13年前の1989年に計画決定されました。
 バイパスの長さは6.7キロ、総事業費は191億円、事業者は千葉県(土木部)です。現在までに用地買収や工事費などで28億円が投資されていますが、松野地区の住民から強い反対が起きたために工事はストップしています。
 なぜ地元住民が反対しているかというと、バイパスは田園地帯を通るので平面の道路で十分なのに、松野地区などでは大部分が高さ5、6メートルの高盛りでつくられることになっているからです。「高盛りで造られるために地区と景観が分断され、バイパスの反対側はおおむね視界から消えてしまう。それに、ただの通過道路となり、地元の住民は利用できない。工事費も余計にかかる」などというのが反対住民の主張です。工事費についていえば、たとえば県土木部の試算では、高盛りでなく平面道路にすれば33億円安くなる、とされています。



■談合疑惑

 週刊誌『アエラ』(前出)は、このパイパス道路をめぐって利権と腐敗がうずまいていることをとりあげています。わざわざ高盛りにしたことについては、「鶏を割くのになぜ牛刀を使うようなことをするのか──。不審と疑惑が住民の間に生まれた」と記しています。また、松野、杉戸地区の工事を5地区に分けて入札したが、落札価格が問題だとしています。県の予定価格を100とした5地区それぞれの落札価格の割合は、A業者99.67%、B業者99.51%、C業者99.85%、D業者99.15%、E業者99.32%となっています。記事は「5地区のいずれかを落札した業者のすべてが別の地区の入札にも参加しているが、誰も落札していない。5業者がきちんと棲み分けをした形にも、結果はなっている」とし、「官製談合を物語る数字」と指摘しています。
 さらに記事は、「バイパスの建設予定地に突然『住宅』が、勝浦市議会のG議員によって建てられ、さらに、それを壊して移転させる損失補償まで県土木部からG市議に行われた」ことなども書いています。


■賛成派と反対派に二分され、地元はたいへん

 高盛り道路に反対する住民は、地区や景観の破壊などを問題にするだけでなく、こうした談合・利権疑惑にも不信感をつのらせています。
 しかし、高盛り道路に賛成する住民もたくさんいます。賛成の理由は、「平面道路にすると交通事故が心配なので、高盛り道路のほうがよい」というものです。
 こうして、今まで仲良く暮らしてきた地元住民は賛成派と反対派に二分され、人々の心が荒れているそうです。反対派に対する誹謗・中傷も激しくなっているようです。
 現場を案内してくれた方は、こう語ってくれました。
「こうなった最大の責任は県にある。計画を事前に地元住民に知らせず、地元の意向を十分に聞いたり合意を得ないで高盛り道路を計画決定し、工事を進めたことが根本的な問題だ」



■パイパス道路の必要性にも疑問

 現場を見学して、パイパス道路の必要性そのものに疑問をもちました。バイパスの起点から終点の間で国道297号が渋滞するのは、国道と県道天津小湊・夷隅線が交差する松野地区のほんの一部だけです。それも夏の海水浴シーズンの土日だけです。その部分だけパイパスをつくればよいのであって、6.7キロもつくる必要はまったくありません。
 しかも、大多喜側はほとんどが山をくり抜いてのトンネルの計画になっていますが、この辺の297号は渋滞はほとんどないとのことです。計画どおりトンネル道路をつくれば、じっさいの事業費は191億円をはるかに超えるともいわれています。事業を進めている県土木部の関係職員の間でも、9割の職員が「このバイパス道路は必要がない」とみているそうです。

◇              ◇


 現場を見学し、公共土木事業の悪弊をまざまざとみせつけられました。たとえば、県内には車のすれちがいができない県道がまだ残っていて、地元住民の切実な道路改良要望になかなか応えようとしません。また、福祉や教育などにかかわる予算はどんどん切り捨てられています。その一方で、必要性の薄いパイバス道路の建設に多額の県費が投入されつづけているのです。

(2001年12月)   









途中で工事がストップしている高盛り道路。高さは約6メートル。高盛りなので、両側に側道が付けられる。








用地買収と側道工事は終わっているが、地元住民の反対で高盛り工事ができない。左の舗装道路が側道。









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