■書籍・書評


 桑原和之・箕輪義隆・石黒夏見・嶋田哲郎ほか著

 『東京湾の鳥類〜多摩川・三番瀬・小櫃川の鳥たち〜


田久保晴孝



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・著 者:桑原和之・箕輪義隆・石黒夏見・嶋田哲郎ほか
・書 名:東京湾の鳥類
     〜多摩川・三番瀬・小櫃川の鳥たち〜
・発行所:たけしま出版
      〒270-0157 流山市平和台2-14-9-101
             TEL・FAX 0471-58-4512
・価 格:9000円


 東京湾には、かつて多くの干潟(1万3000ヘクタール)が存在していた。しかし、1950年代後半から80年にかけて2万4000ヘクタール(東京湾の20%。干潟の90%以上)が埋め立てられた。それにともない、ガン類やシギ・チドリ類も激減してしまった。
 現在残っている小櫃川、富津、三番瀬、葛西、多摩川河口には、たくさんの水鳥がみられる。これらの場所を20年かけて、私を含めて多くの方が調査した記録書が本書である。この調査によって、東京湾では335種が記録された。B5版で558ページの本書は、まさにデータの山である。
 ちなみに、いま埋め立て計画が検討されている三番瀬では、1992年から1998年までに約200回の調査で173種が記録された。これに対し、千葉県の補足調査では、谷津干潟も含め、野鳥は101種しか記録されていない。したがって、鳥以外でももっとよく調査を行えば、干潟のすばらしさが高まるであろう。  本書は、東京湾の湿地保護について、つぎのように述べている。
 「湿地の必要性が叫ばれている現在でも、埋め立てによる開発計画は進められている。この状況では、干潟を中心とした湿地に依存しているシギ・チドリ類を保護するだけでも難しい。全ての種を保護することは困難であるが、当面はシギ・チドリ類やアジサシ類の生息場所を保護していく必要があるであろう。最終的には、ガン類や、できればツル類やトキ類などの個体数が復活するようならば、保護の対策は成功といえよう。本来のミチゲーションは、この段階までを考慮する必要がある。したがって、東京湾ではミチゲーションという考えは成り立たないであろう。
 現在の段階では、干潟や湿地を開発しないことが最前の対策である。葛西などの例からみて、干潟を埋め立てた後、鳥類相が復活した例がないからである。ガン類やシギ・チドリ類の宝庫とよばれていた行徳でも、これらの種は激減してしまった。湿地を保護して、環境変化に最も弱いガン類やシギ・チドリ類などのグループを積極的に保護することは、カモ類やアジサシ類などほかの水鳥の保護にもつながる。湿地の保護は、水鳥全体の保護につながる。なるべく大きな湿地を削り取り、減らさないようにすることが、湿地での鳥類相の保護につながる。鳥類相を保護していくことが湿地の浄化作用を維持していく最善の方策と考えられる。」
 最後に、本書は高額なので、個人で買わないときは、図書館などに購入申込みをしてくださるようお願いしたい。

(2001年1月)  






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