最近の事から(2000年7月分)  



裁量行政からの脱却は難しい (2000/7/30更新)
東邦生命破綻の責任 (2000/7/23更新)
融資型変額保険の被害の訴えが続いている (2000/7/23更新)
突然の入院の経緯 (2000/7/16更新)

 ○裁量行政からの脱却は難しい

 現在の保険行政にはいろいろと問題があるが、銀行行政にはそう問題はないのでは、と
のんきに想像していたところ、週刊東洋経済2000.6.3号に、一人のジャーナリストが執筆
した「異業種の銀行参入指針案が公表・不透明さを増す新たな裁量行政」を読むと、銀行行
政でも相当な問題があること知らされた。
 「金融行政って、後出しジャンケンなんですね」と、破綻銀行の購入を検討していたある
事業会社の経営者がため息を付いた、ことの紹介からこの記事が始まっている。異業種の
銀行参入指針案にも保険版(7月23日付日経)があるはずで、果てして大きく違っている
かどうか知らないが、アメリカなら、大きく違うだろう。と言うのは、アメリカの金融行
政と保険行政とでは、ハッキリとコンシューマ(保険契約者)保護の面で後者が厳しいから
で、親会社が経営悪化したときに支援や融資をしてはならないだけでなく、平常時にも子
会社たる保険会社の独立性を重視し、子会社からの親会社への株主配当まで厳しく上限を
規制しているからである。親会社の経営権の移転にも事前認可制をとっている。
 さらに、保険商品の認可では、金融商品とは異なり非常に複雑かつ長期であるから、検
査により事後規制では済まない性格があり、事前にあらゆる事態を想定して、事前規制す
る必要があるが、これが必ずしも旨く機能していないことを、前にも屡々書いて置いた。
 ところが週刊東洋経済の記事によると、銀行行政における当局の対応には、「壁打ち」「雨
ざらし」「手の平返し」の三段階があるらしい。保険行政にも、最近認可されて華々しく宣
伝している明治生命のLAについて、明治生命の人の話では、申請後三ヶ月間は当局から
何の反応もなかったそうだ。「雨ざらし」である。
 記事によると、「事後チェック型行政」は、事前の詳細なルール提示が合ってこそ円滑に
機能する。検査が厳格化し、厳しい行政処分が断行される中で、そのルールの運用が、後
出しジャンケンなのでは、業者はたまったものではない・・・・ノーアクションレターの制度
は絶対に必要である」と指摘している。
 そして最後に、今、日本の金融ビジネスにおける最大のリスクは、当局リスクである。
規制が不透明で運用が不公平であるために、金融機関は新しい二の足を踏んでいる、と書
いてある。新生銀行で問題になっている瑕疵担保特約の突然の問題化はその一例である。
私は、日本のソルベンシー・マージンの中に監督リスクを入れるべきだとからかっていた
が、図らずも、「後出しジャンケン」という新たな不透明な裁量行政の時代に突入した金融
行政に関して賛同者が出現したのは、残念なことながら面白い現象とばかり言っては済ま
されない。
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 ○東邦生命破綻の経営責任

  退院後自宅で療養中と言うところであり、いま一つ仕事に気乗りがしない。そんな中で
今まで気になっていたことが、生命保険協会長に就任した宇野郁夫・日本生命社長の記者
会見の記事で、7月21日から22日の各紙に掲載された。
 気になっていたこととは、破綻した東邦生命の経営責任取り方である。破綻した企業が
旧経営陣の責任を追及し、損害賠償を求めたのは、旧日本長期信用銀行などのケースがあ
るが、保険会社では初めてだと記事にある。そういえば、日産生命にどの様な経営責任を
とったと言うことを聞いたことがないから、東邦生命が初めてなのであろう。
 訴状によると、太田清蔵元社長は1990年から92年にかけて、ノンバンク経由で太田家
の資産管理会社など二社に総額120億円を融資した結果、約64億円が回収不能になった。
多田元副社長は、融資が太田家の利益を図るものとは知りながら、止めさせなかったとい
う。賠償請求額が10億円に留まったことについて東邦生命は「責任の度合いや支払い能
力などを総合的に判断した」と説明している。しかし太田清蔵元社長の責任は、10億円
程度でかたが付く話ではない。少なくとも一桁違うと私は思う。
 太田元社長のワンマンぶりは業界内では昔から有名であり、取締役の任命から融資の決
定まで他人の介入を許さず、気に入らない部下は、直ちに飛ばしたようだ(取締役の任期
は一年だとまで言われた)。彼は、千三つ屋、いや万三つ屋といわれ、一種の性格破綻者
であった。彼が経営責任のチェックが甘い相互会社の社長になったことがこの会社の悲劇
の始まりであったのだ。
 私が25年前に保険一課長をしていたとき、太田氏は副社長であった。悪い噂が外部か
ら伝わってきたことがあって、「もし経営を引き継ぐようなことがあれば、しっかりした
補佐役が必要だ」と話をしたことがあった。当時、東邦生命は太田商会(商店)とも呼ばれ、
アクチュアリの平木三蔵さん、会計の大久保勲さんという、業界でも有名な人がいて会社
を支えていた。しかし、その後に太田氏に対し抑えの効く補佐役が育たなかった、育てな
かった。絶大な人事権を握っている社長に反抗し注意することが、チェック機構のない相
互会社では如何に難しいがを実証した。システム的に、この様な内部自己規制に頼るのは
無理である。
 しかし、その後いろいろな事情があったのだろうが太田氏が社長に就任し、次第に有力
な補佐役が退任して、彼が独裁者になっていった。大蔵省から証券局長で退任した安井誠
さんが安田火災に社長含みで行き、会社のこたごたに巻き込まれて退任し、その後、東邦
生命の会長に就任したけれど、営業中心に活動(私から見れば相当問題な行動が見られ、
私にアドバイスを求められたことがあった)され、その後会社の問題になった財務には関
係していなかったようだ。
 バブル当時から、またそれが崩壊してから、東邦生命の資産運用が問題であると業界内
で大きな評判だった。太田氏の私的財産を間接的に殖やす運用にである。
 その時期に新保険業法が審議され、資産運用の規制緩和が大幅に認められるようになっ
た(この点も早急に再検討すべきである)のだから、太田氏のやり方を法的に規制する手段
が無くなった。私は、これが問題発生の一端であると思う。もともと、社長(会社経営責
任者)関連の資産管理会社や事業会社等に生保会社の金を、保険契約者の金を融資するこ
とを法的に規制すべきであった。
 其処がしっかりしていれば、東邦生命の資産運用の問題に、法的な損害賠償責任訴訟を
提起できるはずである。東邦生命の資産運用の実態について監督官庁である保険部は、異
状に長期化した検査から承知していたはずである。当時の監督官庁は、債務超過の決算を
知りながら放置して、如何にして太田氏を社長の座から降ろすかに全勢力を注ぎ込んでい
た。また外部の第三者からなる経営委員会を設けて経営のチェックを行うシステムを作っ
たけれど、全く成功しなかった。東邦生命のケースで、問われるべき行政責任が、民間側
からハッキリと声が挙がらず、また再発防止のための保険業法改正の声も聞かれなかった
のは摩訶不思議であった。
 これでは日産生命のケースで経営責任が問えないのは当たり前で、今後起こりうる生保
会社の破綻にも経営責任を問うのは困難であろう。銀行行政に追従した保険業法改正だけ
を検討するこれまでの姿勢を改めて貰いたい、と切望する。
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 ○融資型変額保険の被害の訴えが続いている さる5月に、春の叙勲の勲章を受領するため、何年ぶりかで大蔵省に正装して出かけた ところ、母親らしい二人組が玄関付近でパンフレットを配っていたので受け取ったら、銀 行とタイアップした変額保険加入により騙されたことを訴えたビラだった。  銀行と生保は「この良い保険にはいると、高い運用によって相続が発生したときに下り る保険金で、残された方たちは銀行にお金を返した上で高額な相続税もまるまる払えます」 と熱心に勧められのが現実は全く逆になってしまったと訴えている。裁判に掛けられてい るためか、契約後10年経ってもまだ解決していないこの事件が、法令上規制強化が問題 にされず、裁判に任された格好になっているのは理解できない。  甘い話で顧客の生保契約購入意欲をつることは昔から行われている。だから戦前は、保 険屋はこの路地に入るべからずとまで嫌われていた時代があり、それが募集取締規則の制 定に繋がったのである。  融資型変額保険にしても、右肩上がりの株価水準が継続して行くなら問題は無いのだが、 そんなことは絶対にあり得ない。また募集パンフレットにも株価のボラティリィティ(危 険性)が説明されていても、株価が下がるケースではどうなるかのグラフは記載がなかっ たと思う。たとえもしも記載していても、「そんなことはあり得ません」と、営業職員が力 説してお終いである。  ビラに記載されていた融資型変額保険会員に対する加害企業一覧表(.98.12)を転載しよ う。数字が本当であるか否かは、私には確認できない。



  融資型変額保険の被害
    ビックバンのもとで金融商品が自由化されつつあります。彼等はもっと巧妙に皆
    さんをだましにかかるでしょう。

 1998年12月現在現会員数299名

既会員数172名

合計被害者数471名

加害銀行名被害者数加害生保名被害者数
三菱銀行226明治生命224
富士銀行38日本生命104
第一勧銀33第一生命28
三和銀行29ニコス生命22
さくら銀行19千代田生命26
住友銀行3大同生命22
あさひ銀行10三井生命25
横浜銀行44安田生命11
大和銀行6アリコ生命10
千葉銀行10朝日生命9
東海銀行3ソニー生命5
静岡銀行2第百生命5
群馬銀行2住友生命8
駿河銀行2東京生命2
近畿銀行1日産生命1
東北銀行1協栄生命2
三菱信託7東邦生命1
三井信託2日団生命1
中央信託1INA生命2
安田信託1ナショナル生命1
日本興業銀行2不明35
北拓1
岐阜信金1
城南信金1
東京ベイ信金1
オリックス1
第一生命1

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 ○突然の入院の経緯

 突然入院する切っ掛けになったのは、極めて簡単な原因である。誰でも、老人になれば
起こる一つの生理的現象からである。しばらく前から頻尿症に悩まされていて、一時間か
ら一時間半経過すると小便を催したくなることが気になり、泌尿器科の専門医に相談をす
れば何とか解決するのではないかと思っていたが、どちらと言えば恥ずかしい現象なので
放置していた。しかし同じ年齢の友人達が専門医にかかった話をしていたことと、また女
房に強くすめられて、5月の中旬に東京厚生年金病院の泌尿器科を訪れた。
 先生は「頻尿症は簡単に直らない」とのたまい、前立腺を調べましようと指を尻の穴に突
っ込まれた。実は、10年ほど前から人間ドックで検査を受けた際にも女医から「肥大です
ね」と言われ、それ以上の治療指示されていなかったから放置していた。
 ところが今回は、経験豊富な医師の差から違っていた。左右の堅さが違うという。もし
かすると前立腺ガンの疑いがあるから、念のため更に血液のマーカーにより検査をしまし
ょうと言うから、して貰うことにした。その結果は悪い方であった。さらに生検をした方
がハッキリすると言う。前立腺内の細胞を採取して調べたらハッキリするからである。こ
こまでくると私としては覚悟せざるを得なくなった。それにしても最近の医師はハッキリ
とガンを告知してくれる。私も慌てもせず驚きもせずに淡々と聞いていた。
 その後にCTスキャンや骨の異常を調べ転移の可能性がないようだと調べて上で、妻を
呼んで治療方法を三通り提示した。1)前立腺全摘出、この場合性的能力は失われる、2)放
射線治療、3)内科的治療、即ちホルモン治療である。私は迷うことなく1)を選択した。
実はこれが一番難しい治療方法のようだった。
 こうなってくるとできるだけ早い治療がよいと思い、生保業界の方々による叙勲のお祝
いが終わった直後に入院することを予約した。
 6月19日に入院し、22日に手術を行った。手術室に午前10時に入り全身麻酔して、終
了したのが午後6時だったそうで、2,000ccの輸血を行った大手術だった。その夜はICU
に入り、翌朝に病室に戻った。臍の下を約10cmほど切り、ホチキスで止めていた。
 しかし経過は非常に良好でであったから7月12日に退院の許可を得たから、正味24日
間であった。
  病院食が不味かった(患者の話を聞くとこれでも良い方だという)が、ナースステーショ
ンの看護婦さん達が非常に親切であったのに、感謝している。彼女たちの話や入院患者達
の話を聞くと、私のような前立腺摘出の手術は一ヶ月に一件くらいで、あとは肥大を削る
手術が大部分であるようだ。
 私は手術後19日間の入院期間であったが、退院してみると体が思った以上に衰弱して
おり、また左足が原因不明で打ち身のような症状で痛く、右足が腫れていた。そこで安全
のため家の中を杖を付いて歩きまわり、まだ近所の本屋どころではなく、300メートル先
のスーパにもまだ思い切って行けない状態である。
 家にいなかった期間の新聞紙(特に日経とニッキン、読売、毎日)の整理と切り抜きをボ
チボチやっている状態(7月15日現在)である。ゼロ金利の解消の問題やアメリカの大統
領選挙も気になっている。



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