最近読んだニュースから(2007年12月分)  

年末に当たっての感想(2007/12/24更新)
混乱し続ける日本経済(2007/12/16更新)
波乱のサブプライム問題(続々)(2007/12/09更新)
波乱のサブプライム問題(続)
(2007/12/02更新)


○年末に当たっての感想

 2007年もようやく年末に近か付いた。この一年を振り返った見ると、生保業界を襲っ
た出来事は、(1)保険給付金の不払い問題、(2)簡保の民営化、(3)少額・短期共済制度の誕生、
(4)サブプライム問題 (5)第一生命の株式会社化、(6)銀行での保険商品の窓販が全面的に解
禁されること等が挙げられよう。これらの事件を受け止めて、乗り切ることを考えると、
今年の保険市場は、決して「平穏な一年」ではなかったように私は思う。私の今年の年賀状
を読み返してみると、HPを継続したいとの考えが重く強くのしかかっている。この決意
を、今年も年賀状に述べるのかと言うことになって、私はちっとばかり躊躇せざるを得な
い気持ちになっている。HPを来年も継続するには、まず自分の健康状態について自信が
必要となるが、そこいらのところが自信が無くなってきたと思う。81歳の誕生日を境と
して、急激に老化現象への不安と循環器系統の問題を新たに感じるようになってきたから
である。第一に、足腰が弱くなり、しっかりした足取りで歩くことができなくなってきた。
勿論、ゴルフなどは、トライしたいと強く希望していても、実際には無理であろう。一般
の老人並みに、温泉旅行ぐらいで我慢せざるを得ないだろうが。それすらも、中々大変で
あろうと予想している。読書の方向としては、我が国の古代史(天皇史を含む)には強い興
味が湧いているが、これも中々奥深いテーマであるので、遅々として進まない。
 生保業界に今年一番に強い影響を与えたのは、まず(1)であろう。明治安田生命に対する
営業停止命令を含む、非常に強烈な行政命令であり、経営陣のトップの首がかかっている
のだから、大変である。このような命令などは昔は無かったと思う。営業募集活動に大き
な影響を及ぼすことを覚悟して、会社の余裕のある人員を総動員してまでも不払い一掃の
問題に取り組むことにしてまたのだから大変である。営業職員の減少している中で、社長
の首がかかっているので、なりふり構わずに不払い問題一掃に取り組んでいるのだから壮
大な作業である。その調査成果は、38社計(131万件)964億円というのだから、大変なも
のだ。アクチュアリアルに見ると、今後決算において、支払備金の計上方法をどの様に評
価するかが問題になると思われるが、決算書類を受け取って審査する監督官庁サイドの留
意点を金融庁は監督指針に記載することが望ましいけれど、これまた難しい問題である。
金額が多くてもまた少なすぎても、その原因を明確にすることが望ましいが、不払い案件
の発生事由の分析を必要とすることになり、ややこしいだろう。不払い問題を一掃する作
業をしたのだからと言って、今後は支払備金の計上をゼロするという訳には行かない。次
に強い影響を与えるのは、(3)の共済事業の少額・短期共済事業化であろう。いろんな問題
が生じるだろうし、それをどの様に解消するかが難問になろう。現在の保険行政に悪影響
を与えないよう判断してゆくことが行政に求められよう。具体的な申請内容が分からない
のでコメントしようがないが、世界の保険行政に例を見ない様々な難問が生じると推測さ
れる。その意味でも、保険契約法を保険業法の中に取り入れることが望ましいのではない
かと思う。その他にも、金融庁への課題は多くなり、そろそろ課題一掃の時期に近づいて
きたと思うが、どう考えているのかが気になっている。ニューヨーク州で百年前に実施さ
れた強烈なアームストロング調査のことを思い浮かべるのは私だけであろうか。その前に
も、金融庁に業務が移管した後の業界史を纏めることを考えてはと思うのは私一人であろ
うか。少なくとも、1997年の歴史すら纏められていないからである。
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○ 混乱し続ける日本経済

 債券発行、世界で急減7-9月半減、サブプライム問題で世界経済は混乱し続け、まだ収
まったとの報道は残念ながらまだない。金融機関の倒産と言う悪い報道が聞かれないよう
祈っている。
 サブプライム埋まらぬ傷口、5中銀協調中小行資金繰り悪化(12/14毎日紙)
 サブプライム UBS(スイスの金融大手行)1.1兆円追加損・・・・2兆円の資本増強
 世界のM&A半ぶり減少(下期、サブプライム余波)・・・・買収ファンド資金調達難しく
 米欧5中銀が資金供給・・・・金融不安抑制FRB月内400億ドル国際金融市場の安定化の
ため世界の中銀が結束している。
 12/15日付の産経紙の社説には、「サブプライム対策・・・・もう対岸の火事視できぬ」の記
事が掲載されていた。その内容は以下の通りである。
 「米国の低所得者向けの高金利型住宅ローン(サブプライムローン)を巡る混乱が深刻の
度合いを増してきた。スイス金融大手UBSは約1.1兆円の損失を追加計上した。欧米
では、銀行が資金を融通し合う短期市場で金利が上昇、年越し資金の調達が難しい状況だ。
これに対し、米政府はサブプライムローン金利を一部凍結した。欧米各国の中央銀行も利
下げや、市場への大量資金供給に踏み切った。しかし、これらの措置も奏効したとは云え
ない。信用力が強いとされる商品に損失が拡がったUBSをみて、「どこがどの程度の損
を抱えているか誰も分からない」との疑念が拡がっているからだ。
 問題の根はサブプライムローンの担保資産、つまり住宅価格の下落だ。米政府が打ち出
した金利凍結は、焦げ付き防止に一定の効果はある。それでも、中古住宅価格が提げ止ま
らない限り、サブプライム問題に終止符を打つのは難しい。最大約33兆円の損失という
OECDの試算さえ、不十分との見方もある。
 そんな中、米国から日本の3メガバンクに、米銀が設置する対策基金への協力要請があ
った。メガバンクは米側が求めるそれぞれ約5500億円ともいわれる融資枠設定に慎重だ。
 この要請にどこまで応じるかは、経営判断だが、その際、考えてほしいのは、サブプラ
イム問題が日本経済にとって、もはや「対岸の火事」視できない状況になっている事実だ。
 大手邦銀のサブプライム関連損失は平成19年度通期で総計3000億円で、欧米金融機関
に比べると規模は小さい。とはいえ、保有関連商品の価格下落をどの程度見込むかで各行
バラツキがあり、予断は許されない。
 米国経済の変調は世界経済にマイナスだ。日本も、株安、円高、原油高が企業収益に影
を落としている。日銀が公表した大企業短観では大企業製造業の景気感が悪化、先行き不
安感も高まっている。
 短期市場の混乱が続けば、世界的な金融システム不安に繋がる恐れもある。共同歩調を
取らねばならないのは各国の中央銀行だけではない。政府も民間金融機関も、国際協調で
臨まねばならない段階に来ている。」
 なお、12/16日付の産経紙は、「日銀資金収縮で景気悪化」と言う解説記事を掲載して
いる。サブプライム問題が、保険の銀行窓販を控えている保険業界に思わざる悪影響を及
ぼさないことを祈っている。
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○ 波乱のサブプライム問題(続々)

 世間が、サブプライム問題で揺れている中で、保険市場には多くの注目すべき出来事が
発生している。その第一は、「第一生命が株式会社に転換する」と言う新聞記事{12/8日付
の日経紙夕刊}であり、その第二は、郵政民営化委員会が郵貯銀行と簡保生命の2社につ
いて、政府保証が廃止される民営化後遅くとも4年後に上場を目指すという記事が12/6
付けの保険毎日紙に掲載されている。共に大きな事件であると同時に、保険市場は大きな
影響を受けることになろう。
 第一生命の株式会社化は、依然として相互会社のまま経営を続けようとしている他社に
大きな影響を与えるだろう。特に日本生命の今後が注目される。第一生命の選択には、経
営意欲の高まりが感じられることが、今まで株式会社化に躊躇っている相互会社に対して、
経営の保守性、不透明性の中で安住しようとしている感がする経営姿勢に対して大きなイ
ンパクトを与えよう。保険行政にとっても、相互会社の経営の不透明性を象徴する社員総
代会の運営問題が、総代の立候補制の導入問題などに象徴される小手先の対応策では済ま
なくなる感じがしてならないからである。第一生命の創始者である矢野常太氏が自ら旧保
険業法を改正して相互会社組織の存在を認め、そして自らが第一生命を始めたのであるか
ら、一番最後に株式会社化するのではないかと私は予想していたのが外れてしまった。現
在の相互会社は、ぬるま湯の中に漬かっている感じであり、簡保生命の保険市場への株式
会社形態での参入を控え、保険市場での激戦が予想される中で生き残るには、どうしても
株式会社化の道を選択せざるを得なくのではないかと、予想されるからである。相互会社
としての問題を抱え、各社にはそれぞれの事情があろうが、これをどうして活性化させら
れるかを組織を挙げて研究しなくてはならない。
 第一の事件と第二の事件とは密接な関係が生じよう。現在の経営陣(金融庁も含め)は今
後の収益構造と収益還元策について思い切った新機軸(ビジネス・モデル)を打ち出さなく
てはならなくなろう。M&Aなどを通じて新しい新天地を切り開く舞台が出来ることを意
味している。
 一方で、波乱のサブプライム問題(低所得者向け高金利型住宅問題)については、ブッシ
ュ大統領は12/6日返済金利の5年間凍結を柱とする対策を発表した。これにより、これ
による効果は、借り換えや支払条件の変更などで最大120万人が、住宅差し押さえの危機
が回避できると言うが、効果は限定的でなお我が国の金融への影響を含めて問題の推移を
注目する必要があるようだ。
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○ 波乱のサブプライム問題(続)

 10年前と同じように、今回問題となったサブプライムローンによる損失額は、年月の
経過と共に増大する傾向があると覚悟したらよい。10年前に橋本首相が、大蔵省の報告
について怒ったと言うが致し方のない問題である。政治家は被害額が少ないことを、また
大手会社が破綻して、政治問題化しない方を喜ぶのは当然であるが、果たし今回はどうな
るであろうか?
 今回も、中小金融機関がまず破綻するかも知れない、1997年以来、公的資金の投入を
受けた大手銀行の体力は回復してきたが、中小の他方銀行の体力回復はまだまだ不十分で
あるから倒産しても驚くに当たらない。一方、保険業界の方はどうなっているか心配であ
る。まだ逆ザヤによる責任準備金の積立不足状態は完全には解消されていないし、またソ
ルベシーマージンの新基準も未定なのだから、当然経営状況は心配である。生命保険主要9
社の平成19年上半期の業績が26日に出揃った(11/27日付産経紙)。保険金不払い問題問
題の社内調査などに各社とも手足を奪われたことから、新契約などの業績は新契約保険料
が9社合算で前期比16.7%減と大幅に落ち込んだことからも影響は明だ。特に日本生命の
凋落が25.2%減と戦後初の大幅に落ち込んだのが目立つという。日本生命が、第一生命と
住友生命に逆転され、初の業界3位に転落したようだ。不払いの社内調査に経営資源が割
かれ、営業職員の新契約の獲得活動に影響が出たほか、営業職員の評価も従来の新契約獲
得に加え、契約締結後の保全活動などを重視する体系に変えたのが響いたと言う。アメリ
カの世界最大の金融グループであるシティグループが多額の損失を計上し、経営の健全性
が不安視されて、アブダビ投資庁から75億ドルの出資を受入ると発表し、我が国でもサ
ブプライムローン問題を巡り、三井生命と朝日生命で関連評価損が生じたようである。我
が国の保険業界は元気のでないままで、元気が出る新しいビジネスモデルの構築が現経営
陣に求められているのに、答えは見付からず、職員からの経営の先行き不安感は消えてい
ないと思う。
 ところで保険の不払い問題は私には関係ないと思っていたら、我が家の火災保険契約の
適用保険料率が間違っていたとの連絡が入り、契約をやり直して過去に遡って保険料の差
額を返還してくれるとのことで、驚いている。契約締結時にも契約担当者に言ったのだが、
「物件を見ないで申込者の申告通りに契約しているのではないか」、生保で言う被保険者
の無面接募集それが10年、20年経過して改めて新規の契約の手続きをするよう求められ
た。書類は細かい字で、何のためか分からないような箇所にチェックするよう求められた。
大変な迷惑である。しかも幾ら返済してくれるかも予め分からない不親切さである。、
 一方で株価は乱高下し、外国為替市場も信じられなうような円高傾向を受け、物価も原
油高によりかなりの影響を受けそうである。10年前の景気波乱の後で、我が国は「ハゲ
タカ」による買いあさりを受け、かなりの悪影響を受けているようだ。100カ所以上のゴ
ルフ場が買収され、おかげで、私の持っているゴルフ場の取引値段は恐ろしく安い値段(買
値の10分の1以下)で推移している。体の調子が良くないため、ゴルフ場に出かけること
もないまま、悔しがっているのが近況である。
 各保険会社の今後の業績を左右しかねない銀行窓口販売への対応が心配の種になりそうである。
 今回の各社の業績の発表をみて実態が分かり難くなったと思う。業績の主役になってき
た医療保険が失速し、しかも業績をディスクロージャーする統計を分かり難くして来たの
を、何とかすっきりするものに改善して、各社の財務内容を透明化してもらいたいと希望
して、この項のペンを止めたい。

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