最近読んだニュースから(2007年02月分)  


保険市場について思う(その19)(2007/02/25更新)
ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その12(2007/02/25更新)
保険市場について思う(その18)(2007/02/17更新)
ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その11(2007/02/17更新)
保険市場について思う(その17)(2007/02/11更新)
ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その10(2007/02/11更新)
保険市場について思う(その16)(2007/02/04更新)
ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その9(2007/02/04更新)


○ 保険市場について思う(その19)

 NHKの土曜ドラマ「ハゲタカ」の第一回目を見逃したが一見の価値があるようだ。バブ
ル崩壊後、外資系ファンドに日本が買い叩かれる話だが、最近では、日興がアメリカのシ
ティバンクに買収されるという話まで飛び出している。
 生命保険業界も破綻した7社が外資系に買収されて、保険市場は一面では混乱した状態
に、一面では活気のある状態になっているが、振り返ってみると何故伝統的な生保会社が
破綻会社を買収しなかったのか不思議であり、またその破綻処理が旨くいったのかどうか、
を総括すべき時代になっているのだが、一向に経緯を総括する話が始まらないのは極めて
残念である。その時代は、監督官庁が大蔵省から金融庁に移行したときと重なっており、
破綻処理の舞台に監督官庁の姿が後ろに隠れて見られず、また新しい金融庁の職員は実務
経験がなかったせいもあり、破綻会社が実に思い切り安く外資系に買収され、保険契約者
に重い負担をかけてしまったのは極めて残念な気がする。一番最後に破綻した協栄生命を
プルデンシャル生命が買収したやり方が一番まともであったのがせめてもの救いであった
が、当時の生保業界で協栄生命の前までの破綻処理の作業を担当した人達(監督官庁の方
も、銀行とは異なり、公的資金を出すのを逃げており、また破綻処理の時期を意識的に遅
らしてきたこと等)の無為無策ぶりが目立っていた。
 この悲しい経験を将来に生かすためにも、破綻処理の経緯・実情を是非とも纏めなけれ
ばならないと思う。しかも保険学者の中から、この非常に興味のあるテーマを研究の材料
にするという話が聞かれないのはどうゆうことなのか残念である。バブルの時代に日本の
生保業界は、世界一の保険大国と自負していたのが夢と消え、バブル崩壊後はデフレによ
り超低金利が長引き、膨大な額の逆ザヤに悩まされてきた伝統的な生保会社は無気力な経
営になり、コンプライアンス第一主義に走り、保険給付の不払多発の問題を気にし、契約
者配当金をケチって内部留保に努めている情況は一体どうしたことなのか。何か気力を甦
らせることを金融庁と共に検討してみてはどうか。
 なお、2/20日の日経紙にトンチン保険を推奨する中前さんの話が掲載されていたが、
この問題は極めて重大であり、もしそれが実現されれば、日本の保険市場は救いようのな
い状態になることを警告しておきたい。
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○ ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その12

    a.生命保険市場の輪郭を明示する:「契約の種類」と「給付のカバレッジ」
 簡保と民間の保険会社との競合を検討するには、生命保険商品の契約種類とその商品の
給付のカバレッジとの間を区別することが必要である。単一の契約種類は、しばしば幾つ
かの給付のカバレッジの型を提供している。またそれは給付のカバレッジ(契約の種類で
はない)であり、保険の消費者が最終的に関心を持つものである。この区別の例として、
簡保の最もポピュラーな保険種類である養老保険は、簡保の保険カバレッジの総額に対し
87.9%を占めている。「養老保険」は一般的な用語(即ち、簡保の商品名ではない)であり、
より基本的な保険種類である「純粋生存保険」と「定期保険」という二つの種類を組み合わせ
た保険種類である。同時に簡保の「特別養老」契約は、純粋生存保険部分により支払われる
金額の二倍、五倍又は十倍が支払われる定期保険のことを別にすれば「尋常の養老保険」と
同じである。
 保険市場では世界的に、養老保険契約は単純に「純粋生存保険」に「定期生命保険」を付け
加えたものである。
  養老保険では、被保険者が契約期間内に死亡した際に一定の金額を、又は契約期間の
  末に生存した場合は(一般的に)同額を支払うことを約束する。この契約は、既に検討
  した純粋生存の特徴に加え、更に、養老保険の期間内に死亡した際の保険を含んでい
  る。従って、養老期間内における死亡給付を提供するため、同じ期間の定期保険を純
  粋生存保険に付加しただけである。これら二つの要素・・・・(1)平準定期保険、及び(2)
  純粋生存保険・・・・は、養老保険に基づいて二つの約束を果たすことになろう。
 養老保険とは、二つの互いに排他的な契約の種類を組み合わせただけでなく、保険金額
と月払の保険料制度で、「純粋生存」部分と「定期保険」部分とに分解できよう。従って、養
老保険契約に含まれるこれら二つの給付カバレッジの要素は、日本で実際に行われている
ように別々に販売できる。この「養老保険」の持つ二重の性格は、「養老保険契約」を販売す
る民間保険会社の低価格に係わらず、民間保険会社と直接に競争する実態の中核である。
 契約の種類と給付のカバレッジとの間の違いは、給付のカバレッジとは契約の種類によ
り万一の場合に実際を何を保険に付するか、即ち保険契約者が保険商品の最終利用のこと
を指す。上で検討した養老保険という種類は、二つのより基本的な契約の種類を組み合わ
せた一つの契約の種類により提供される二つのカバレッジの形がある。特に、「純粋生存」
の契約は「満期給付」又は「生存給付」として知られる給付の種類を提供する。簡単に言えば、
純粋生存では、もし保険契約者が一定時点まで生存すれば支払われる。それは死亡給付で
はない。一方で定期生命の契約は「死亡給付」を提供する。図17(省略)では簡保の養老保
険契約の種類、その二つの契約種類の要素、及びその二つの給付のカバレッジの形を示す。
 日本の保険業界では契約の種類を13の種類に、給付のカバレッジを8っの種類に分類
している(表1:省略)。これらの給付のカバレッジの種類は、コンシューマの最終利用に
同じである。例えば、死亡の際に給付を提供する契約の種類は、入院保険に代替するもの
として役立たない。これらの分類はの持つ重要性、及びそれぞれにおける簡保の役割は、
以下で詳細に検討する。
        b.簡保の保険商品は、民間の保険商品と(同じ保険の最終需用に役立つから)需
      要面で代替している
 もし二つの商品が消費者にとって同じ目的に役立つ最終需要を提供するなら、その二つ
の商品は需要が代替可能であると言われる。需要の代替性分析(demand-substitution analy- 
sis)は、商品の提供者達が互いに他の商品を策定できるかどうかに関係なく、商品Bが商
品Aよりも購入できるか?を消費者の観点から市場を考える。需要の代替性分析を強調す
ることは、最終需要分析(end-use analysis)で商品の機能的特性を分析するよりも、商品の
目的又は利用面に重点を置く。保険部門において最終需要分析のための的確な保険特性は、
以下において詳細に検討する。
 先に注意したように、簡保の主力商品は、「養老保険」の契約種類であり、満期/生存/
純粋生存の給付と死亡給付の形で給付カバレッジを提供する。また同時に日本における民
間の保険会社は、この二つの給付カバレッジの種類を給付する商品を提供している。また
同時に簡保は、他の種類の多くの保険商品を提供している。実際に、全ての簡保の商品種
類が提供する各給付カバレッジを、民間部門が提供する同じ種類の給付カバレッジと比較
すると、簡保は各カテゴリにおいて競争するだけでなく、それらのカテゴリでしばしば優
位に立っている。
 図18は、各給付カバレッジの分類において簡保の給付カバレッジの占率と共に、カバ
レッジの点で各カバレッジの規模を示している。しかしながら注意することは、給付の種
類を通じて、カバレッジの金額を比較することは、給付が支払われるであろう確率に大き
な違いがあること、及びカバレッジの金額の大きさが保険料収入の違いに、又は会社の剰
余金(利益)に必ずしも反映しないことである。
  ・ 普通死亡(Ordinary death) 簡保は普通死亡給付への市場における競争力は小さ
    いが、依然として日本の個人保険契約者に対する全ての普通死亡給付のカバレッ
    ジの13%を提供している。しかしながら、この種類における簡保が相対的に低
    い占率しかないことを説明する重要な事実は、簡保が法律により如何なる一人の
    保険契約者にも総額で1千万円を超える保険のカバレッジを提供することが禁止
    されているからであり、また通常の市場における死亡給付の保険は、高額のカバ
    レッジ金額に向かう傾向がある(実際に、民間の死亡給付の一件当たりカバレッ
    ジは1千万円をやや上回つており、簡保の保険契約者にとっては他の種類の簡保
    保険に契約する余地は少ないか又は無い)。簡保のカバレッジ金額の30%以上が
    この種類である。
  ・ 災害死亡(Accidental death) 日本における災害給付の全てのカバレッジの51%
    を簡保が提供している。次位の競争会社の占率に比べ五倍である。この高カバレ
    ッジの金額は、簡保の養老保険契約が災害死亡の際に倍額を支払うことにある程
    度の原因がある。簡保の総カバレッジのほぼ半分は災害死亡である。
  ・ 満期/生存/純粋生存 簡保は総給付カバレッジが本当に高い占率・・・・60%・・・
    を提供している。このことは、簡保の主力保険商品が養老保険タイプ(純粋生存
    と定期保険から構成される)である事実と整合している。
  ・ 年金 簡保は日本における年金カバレッジの60%以上を販売している。年金は、
    満期/生存/純粋生存の契約に対する周辺の商品として位置する。死亡や入院の
    ような必要に備える保険とは異なり、共に貯蓄手段として位置している。
  ・ 入院(Hospitalization) 簡保は、入院保険の二つの主要な種類(災害と疾病)の約
    40%を提供している。もし他の種類の健康関連の保険種類を含め、この二つの
    種類を合わせるなら、簡保の占率は23.3%に低下する。これらの占率は、健康
    関連の保険は、理論的には、第三分野に位置づけされており、簡保のそれへの現
    在の参加は法的に制限されている。 
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○ 保険市場について思う(その18)

 我が国は少しずつおかしくなってきているのでは。かっては素晴らしい国から、美しか
った国から、何とかしなければならない国へ変化してきている。これは老人の繰り言なの
だろうか。
 小泉政権を引き継いだ安倍首相は「美しい国日本」をキャッチフレーズにして登場して
いるが、美しい国という言葉は良いけれど、全く迫力がない。具体的な内容がすぐには窺
えないし、そんな綺麗事を言っている情況か。これと組み合わせて具体的で迫力のある政
策・施策がなければ、今年の参院選挙対策にもならないし、日本の前途に希望が持てない。
 かって日本は「世界一の治安」を誇った時代も、今は昔になった。警察の検挙率が低下
し、不祥事が続発している。日教組のせいだとは言い切れないが、世界水準の上位だった
教育水準も次第にが低下してきた。さらにイジメが社会問題化している。
 それに並んで、生損保の「不払い問題」がしばしば新聞記事になっているのは、保険会
社への信頼を大きく傷つけて、寂しい限りである。生保会社は、逆ザヤが経営の基盤を脅
かす状態から少しは好転してきたが、生保会社の経営体質は活力を失い沈滞化し、経営首
脳の関心がコンプライアンスの方に向き、それが万全ならば契約者保護が万全だと経営者
は考えているのだろうか。職員の働く気力が殺がれるばかりである。
 これに輪をかけているのが、「美しくない保険業界」とばかりに、保険金不払い問題への
金融庁の強硬な姿勢である。2月8日付の読売紙によると、金融庁と生保・損保との間に
「保険金不払いに解釈のズレ」と大きく報じられている。報道によると、問題の焦点は生保
と損保とは違いがあり、損保では、第三分野で、医療保険の契約者が加入時に病歴などを
性格に告げない告知義務違反の扱いで、金融庁は「告知義務違反をした契約者に保険会社
から契約を解除すべきである」として、契約者に自主的な解釈を求めることは不適切で、
不払いの事例に当たると指摘している。
 生保では、入院給付金の請求だけをして、ガンなど「3大疾病」の特約部分の請求をして
いないケースが今年1月に大量に見つかったため、金融庁は2/1日、顧客から請求がない
場合を含め、全ての保険契約を4/13日までに調べ直すよう各社に求めた。
 支払い対象でありながら、請求がないケースは、生保側の主張するように、法的には問
題はない。これに対し金融庁は、契約者に請求を促すべきだ、と反論している。
 これなどは、保険約款の内容を殆ど審査しないで認可してきた監督局の姿勢に問題もあ
り、その点への処理はどうなっているのか。さらに心配なのは、第三分野の保険は、外資
系の会社の主力商品であり、その辺りに問題の存在はないのかが報道されていないことで
ある。下手すると行政訴訟になる可能性がある。
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○ ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その11

  1.簡保創設当初の理由・・・・一定の消費者に対し利用できる民間保険のカバレッジの
    ギャップ・・・・は最早存在しない
  簡保は1916年、民間の保険会社がその当時提供できなかった小規模で保険料が月払 いで無審査の保険契約を提供するために設立された。郵政大臣の箕浦は国会に対し、簡保 は民間部門により提供された契約の補完に過ぎず、また簡保は民間保険会社とは絶対に競 合しない、と確約した。1946年以降、民間の生命保険会社は(近年では外資系の保険会社 を含めて)、小規模の契約が入手可能になり、その中には簡保の契約よりも優れたカバレ ッジを提供するものを含んでいる。その結果簡保は、民間の生命保険会社及び農協の共済 と競合している。実際において、簡保の存立への当初の合理性は数十年も前に消滅した。 同時に、簡保の創設者が約束した民間部門との競争は決して起こらないとの約束に問題が 発生し、現在では劇的に強まっている。(注) (注)「百年前に、政府による預金と生命保険の受け入れるとの道理にかなった主張があ    ったけれど、現在では合理性はほとんど無い。それにも拘わらず、それらの市場に    おける政府のシェアーは高くまた増加している」Edward J. Lincoln, Arthritic Japan:    The Slow Pace of Economic Reform (Washington, D.C.: Brooking Institution Press,    2001), at 173.
  2.簡保の商品種類は民間部門と競争して拡大している
 簡保は当初、郵便生命保険法により、保険契約者一人あたりに提供できる最高額のカバ
レッジが決められて、小規模の契約の販売に制限されていた。カバレッジの金額を引き上
げる時は国会の承認が必要であった(注)。しかしながら簡保は、その最高カバレッジ額を
引き上げる権限を繰り返し手に入れて、高い水準のカバレッジを提供する民間の生命保険
会社との競争力を強化してきた。簡保の最高カバレッジ額は1916年に250円であったの
が、生命保険契約には1千万円(ある場合には13百万円)、また年金では90万円に増額し
た。現在、日本の民間の生命保険契約と年金の殆どが、簡保契約のカバレッジの範囲にあ
る。2002会計年度において民間保険会社が販売した新契約の74.6%が1千万円の範囲内
にあり、また年金の新契約の74.6%が簡保の90万円の範囲内にある。(図11を参照のこ
と−−省略)
 (注)簡易生命保険法第20条

 また同時に簡保は、新種類の生命保険のカバレッジを提供するのに国会の承認が必要で
あるのに拘わらず、民間部門とその商品種類における競争を強化し、1916年には終身保
険と養老保険と僅か2種類しかなかったのが、現在、簡保は11種類の商品で、25もの変
種を引き受ける権利を有している。
 簡保は、第三分野のカバレッジ(またはアメリカの中央商品分類:United States Central 
Product Classificationによると非生命カバレッジ)を、基本とする生命保険契約に特約を付
加する仕組みを行うことで提供できた。現在では五つの種類の特約、即ち傷害、看護、疾
病入院、傷害入院、及び疾病/傷害入院の組み合わせを提供できる(基本契約に付加でき
る特約の利用を示した図13は省略)。第三分野のカバレッジは、外資系の生命保険会社が
伝統的に顕著である。しかしながら最近では、外資系の会社が第三分野以外での存在を著
しく拡大している。
 また同時に簡保は、郵便生命保険法が簡保が提供できる[基本的な]種類の保険のカバ
レッジ(注1)しか規定していないから、国会の承認を得ないで民間部門と競合するカバレ
ッジにまで拡大できる。より詳細な契約と特約の範囲は郵便生命保険契約の中に規定され
ており、またそれらを改正するのに国会の承認は必要としない。簡保はMPHPTの承認を
得ればよい(注2)。物議を醸した終身保険商品が、問題なく国会の承認を必要とする新種
の生命保険商品であったのにかかわらず、2004年1月に、国会の審議を経ないでMPHPT
の承認を得た。
  (注 1)郵便生命保険法第8条は、保険カバレッジの六つの基本的な種類を認めている。
    即ち、終身保険、定期保険、養老保険、家族保険、貯蓄保険、終身年金、有期年
    金、及び夫婦年金である。
 (注 2)日本郵政公社に転換される前でも、保険約款を改訂するのに国会の承認は必要と
    しなかった。MPHPTの大臣は、諮問委員会による規制緩和を行うよう求める意
    見の後でも約款を定める権限を有していた。
  3.簡保の商品は民間生命保険会社が提供する商品に類似している
 現在の簡保商品と特約は全て、民間部門の提供者から入手できる商品と同等である。簡
保の伝統的に強力な商品は、民間部門により提供されている給付と類似した給付を提供し
ている(注)。最近になって、よく知られた日本のビジネス・ウィークリー(朝日新聞の週
刊誌AERA)の編集者から一人のファイナンシャル・プランナーに、簡保の全ての商品
を民間部門の生命保険会社により提供されている商品と比較するよう尋ねた。彼は
 「簡保の商品の持つ力は、幾つかの生命保険商品を組み合わせたものに釣り合っている。
 新しい簡保の商品に対抗するものはない」
と答えた。
 (注)最も売れている簡保の商品は養老保険であり、簡保により販売された契約の80%
   以上を占めている。簡保の養老保険の販売は、民間部門の競争相手の販売よりも非
   常に大きいけれど、簡保の提供する養老保険の給付と、民間会社が提供するものと
   の間に著しい違いはない。簡保と日本の民間部門が最大の提供する養老保険の間の
   唯一の違いは、もし被保険者の死亡が契約締結後一年半以内の事故死ならば契約の
   給付金が二倍になることである。簡保の養老保険と民間部門が提供する養老保険が
   類似しているにもかかわらず、簡保の一定の養老保険契約の保険料は、民間会社の
   保険料よりも高いことである。この事実は、政府保証が簡保をしてその商品に高い
   保険料を課することが出来るのを示している。
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○ 保険市場について思う(その17)

 私が練馬区東大泉に住むようになってからほぼ50年になる。その間に街は発展し、コ
ンビニ、大きなスーパやファミレスができ、また東映撮影所の一角にシネコン(9スクリ
ーン)が誕生して、映画を見るのに歩いて2分と便利になった。けれど住民の世代交代も
進んでいる。
 街を歩いて気がつくのは、杖を突いた、また車椅子に乗った老人が、また障害者が目立
つようになったことである。自分も80歳になったから、街を行く他人のことは云えない
が、日本の社会が本当に高齢化してきたことを実感している。
 2/7日付の読売紙の「高齢者 被害急増」の記事によると、国民生活センターに寄せられ
た訪問販売などに関する70歳以上の相談件数は、2000年度の43千件から、05年度は約
138千件と3倍以上になった。生活保護を受給する高齢者が高級羽布団を何度も購入させ
られる被害なども明らかになり被害額も急増している。高齢者は訪問販売や電話勧誘など
の被害にあうケースが多く、特定商品ごとに信販会社と割賦契約を結ぶ方法が主流で、立
ち入り検査や行政処分の対象外で、事実上の野放し状態にあるのを、今後経産省は業務停
止命令や罰則を強化する方向で検討するようだ。
 この記事を読んで感じるのは、国民生活センターに寄せられる苦情や相談に生命保険に
関するのも多いと言われており、その年齢別の分布が分からないが、恐らく高齢者が非常
に増えているのではないかと思う。伝統的な生命保険商品の(若・中年を対象とする)市場
はサチュレートしているから問題は少ないかも知れないが、特に最近伸びている医療保険
商品は保険給付の内容が多岐にわたり、募集パンフレットや契約書が複雑で細かな字で書
かれて、高齢者は視力が弱まっており、内容を理解するのに大変苦労しているのではない
か、自分のことを振り返っても心配している。従って、苦情・相談に占める高齢者数や保
険商品の動向に注意しつつ適切な保護対策を配慮すべきである。
 従って、意向確認書面の制度を創設する方向は、ある意味では良いことであるが、その
制度の中で高齢者に対しどの様な配慮をするかについて、記事の中に触れていないのは残
念である。恐らく制度を検討した人達には高齢者がいないからではないか。また軽度の認
知症の氣がある消費者に対しては、確認書面の内容に関係なく、無条件にクーリングオフ
を適用するくらいの内容にしてみてはどうか。
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○ ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その10

 簡保の保険料収入総額が負担する低い販売コストは、簡保の巨大な規模によるエコノミ
ー・オブ・スケールによっても説明できない。第一に、保険販売の持つ性格から、エコノ
ミー・オブ・スケールは一定の低い経営規模までしか働かない。それから先はその効果は
小さくなる(注)。第二に、日本における保険業界の実際上の証拠から、保険の経営が大手
五社の規模に達すると、物理的な資産の価格は保険料収入の約30%でフラットになる傾
向がある。これに対し、簡保の物理的な資産は僅か保険料収入の5%である。(図8を参
照−−省略)
(注)幾つかの国における保険業界の調査から、公表された情報から見える証拠によると、
  僅かであるが、恐らく保険料の5%を超えるが10%を超えない著しいエコノミー
  ・オブ・スケールが、一般的な支店形式で経営している最適規模の会社で達成され
  ている。恐らく、現在の最大規模のグループではある程度の節減が達成されている
  であろうが、この割合を裏付ける証拠は得られない。(R.L. Carter, Economics and 
  Insurance, at 87)
  4.職員には登録要件がない  また同時に保険業法では、民間の生命保険会社の募集職員と募集代理店が保険の募集を するには、金融庁長官に登録することを要求している(注)。これらの募集職員と代理店は 生命保険協会が実施する登録した生命保険募集人になるための資格試験を通るよう求めら れている。これに対し簡保の職員はでは、相当する登録を得ることも、また資格試験に合 格すること求められていない。2003年3月に、日本郵政の280,503名の職員の内43,620 名が特に簡保関連の業務(27,258名が簡保の商品を募集する者である)に指定されている。 簡保の商品を販売するのに登録する要件がないから、この外野の職員として指定されてい ない日本郵政の職員も同時に簡保の商品を法的に販売できる。  (注)保険業法第276条
  5.監督規制は異なり厳格ではない
 簡保は民間部門における競争相手とは異なり、生命保険会社の適正な運営を確保し日本
の金融市場の安定を求める金融庁の監督規制を受けていない。その代わりに簡保は、日本
郵政に組み込まれる前に、郵政保険の巨人を長い間監督していた郵政省(MPHPT:現在は
総務省)により別に規制されていた。日本郵政の全ての職員は、その経営に当たる何人か
の者を除き、郵政省の一部であった郵便サービス機構の元公務員であった。また日本郵政
と郵政省との間の人事異動は依然として継続している。民間の生命保険会社は、彼らを規
制する金融庁との間には、それに相当する密接な関係を有していない。
 また同時に簡保は、民間の競争相手と比較して、規制当局により余り透明ではなく、ま
た余り厳格ではない検査基準に恵まれている。簡保は日本郵政に移転されると、簡保のリ
スク・マネジメントは金融庁の現場検査(on-sit inspection)の対象になる(注1)。しかしな
がら、簡保のリスク・マネジメントに問題があると見つかった場合でも、金融庁は簡保の
事業を停止する権限を有していないから、金融庁の行政権限は限定されたままである。さ
らに、MPHPTは簡保のその他の経営事項に対する検査権限を留保しており、またその検
査の基準は公表されていない。これに対し民間生命保険会社に関する金融庁の検査マニュ
アルで公表されている検査基準によると、民間の生命保険会社はその業務の停止を命令さ
れることがある(注2)。
 (注1)日本郵政公社法第59条、及び同法施行令第28条
 (注2)保険業法第132条
 実際に、監督の権限は1998年に大蔵省から金融庁に移管されて以来、金融庁は民間部
門の保険会社に対する通常の検査を実施しており、またその監督権限と機能を著しく強化
してきている。1999年以降、金融庁は民間部門の会社に対し、業務改善命令と業務停止
命令を含め、29件の行政上の制裁措置を行った。しかしながらMPHPTは、簡保が詐欺
及び他の市場行為の違反について広く報道されていても、簡保に対して何等かの制裁を課
したという証拠はない。実際に、MPHPTの行動に関するその様な情報は発表されていな
い。
 D.簡保は民間部門と競合している
 簡保は民間部門のサービスを単に補完するという当初の役割から逸脱して、簡保は日本
における生命保険市場で民間部門と競合している。実際に、簡保の業務範囲と提供する商
品の範囲に課すと主張された制限に拘わらず、簡保は「消費者のニーズ」が外資系と国内
の生命保険会社により十分に満たされたという事実にも拘わらず、そのニーズを満たすた
めに、民間部門と競合する商品を拡大することができた。さらに、簡保の募集とマーケッ
ティング戦略は極めて積極的である。政府をバックした独立体と民間部門との真っ正面か
らの競争は、業界全体、日本の市場及び保険契約者にとってマイナスの影響を生み出した。
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○ 保険市場について思う(その16)

 契約時に商品や顧客の注文に対する認識を文書で確認し合う「意向確認書面」制度が、第
一の保険分野と第三の保険分野に導入されるのを受けて、損害保険大手6社がこの制度の
対象外である自動車保険や火災保険などの第二の保険分野にも自主的に導入する方針を、1
月25日に発表したと新聞記事に報じられている。
 第一分野、第三分野の保険商品だけでなく、第二分野の保険にも、保険商品が顧客のニ
ーズ通りであるかが曖昧になっているのが、損害保険でも見られ、それが保険金の不払い
に繋がっていて、保険契約者の不信になっているのではないかと言われている。
 意向確認書面制度の導入が、保険金不払いを部分的には防止するのに役立つことは言え
ても、問題はこれだけでは防止されないのではないか。
 書面の内容をどの様に構成(定型化したものがあるかどうか)するかが分からないのであ
るが、もし加入者の希望する保険給付を確認することも大切であるが、募集人や代理店が
商品の内容をどの様に説明したのか、どの様な場合に保険給付が支払われないのかの説明
がどうであったかを、互いに確認することも非常に大切ではないかと思う。
 顧客のニーズの内容は、募集人の説明方法の巧拙に左右され、また顧客の理解度や年齢
により誤解してしまう恐れがある。従って、顧客がどの様に注文したかだけでなく、募集
人がどの様に説明したかを確認し、また大事なことを詳しくは説明しなかったことも会社
側と顧客側が確認できるようにすることも大事である。
 生保の募集人と損保の代理店との間には、与えられた権限が異なるから、確認書を誰が
署名するか、生保の場合は募集人が副署名するのかは、記事からは明らかではない。
 さらに意向確認書面を何時顧客に交付するかによるが、クーリングオフ制度との関係も
注意しなくてはならない。交付の時期にもよるが、顧客が書面を受け取ってからクーリン
グオフ期限の起算をすべきだと思う。また銀行の店舗による窓口販売の場合は、クーリン
グオフ制度が適用されないと聞くが、これも再考すべきである。
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○ ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その9

  2.税金の免除
 簡保は法人税及び他の税金を支払うことが免除されている。1993年から2002年までの
10年間に、簡保が免除された税額は、2.41兆円になると推定される。日本郵政は、固定
資産税の一部分を支払うよう求められている。しかしながら、日本郵政公社法により、経
営の健全性を確保するために必要な金額を超える剰余準備金(reserve surplus)を積み立て
るまでは国税庁に税金を支払わなくても良いから、殆どの税金の支払いから免除されてい
る(注)。
 (注)「日本郵政公社法」(2002年7月31日法律第97号)第37条
 もし簡保の現在の剰余金が1994年−2002年の期間に最低の法人税率で課せられたとす
ると、簡保は約2兆円の税金が課せられたことになる。それは簡保の保険契約者に対し高
い保険料の形で追加コスト2兆円を課したことになり、簡保の競争力が低下することにな
る。図4(省略)では、その様な仮定した税金による簡保の剰余金への毎年の影響を1994
年以降について示したものである。図5(省略)は、同じ期間で簡保の貸借対照表の剰余金
への累積した影響額を示している。1998年から2002年の期間にわたって、この仮定した
税金は、簡保の保険料収入の1.6%に当たり、それはこの金額が簡保のコスト優位性を与
えたと推定される。
  3.他の事業を営む特別な権利
 保険業法は、民間の生命保険会社が保険を提供しまた関連したサービスを提供する以外
の事業を営むのを禁止している(保険業法第100条)。これに対し日本郵政公社法では日本
郵政に対し三つの郵便サービス・・・・簡保、郵貯及び郵便配達・・・・を営むことを認めている
(日本郵政公社法第19条)。日本郵政が土地及び建物に要するコストを三つの異なる事業
にまたがって分散できることは、それらの科目の単位コストを民間部門の平均の保険提供
者と比較して五分の一ほど低められることを意味する。
  販売上の優位性
 保険商品の持つ性格から、保険会社の販売ネットワークが保険市場全体における会社の
占率に対して重要な要因になる。
  生命保険会社が成功する度合いは、組織の全ての活動を強化する努力を反映している。
  これらの活動は、三つの大きな機能の分類・・・・マーケッティング、投資、及び管理・・
  ・・に纏められよう。この三つの分野の内マーケッティングが、人的な要件と共にコス
  トの面でも最大の機能であり、またそれは如何なる組織の成功において非常に重要で
  ある。効果的なマーケッティング・・・・それは適切な商品を効率的な販売システムを通
  じて消費者に提供すること・・・・が生命保険会社の健全性とって重要である。(注)
  (注)Kenneth Black, Jr. and Harold D Skipper, Jr., Twelfth Edition : Life Insurance (New 
        Jersey : Prentice Hall, 1994), at 940-941
 日本政府は簡保に対し、強力な販売ネットワーク:全国23638カ所の郵便局の窓口で、
保険をリテールするのを独占的に利用できるようにした。このことは簡保に、日本におけ
る3,212の市や村において、直接の販売拠点を提供している。しかしながら、簡保の本当
の拠点数よりももっと重要なことは、これらの拠点が持つ大幅な性格にある。簡保は郵便
サービスと郵便貯金と一緒に配置されているから、簡保の保険販売事務所は、潜在的な保
険契約者である日本の消費者が非常にしばしば訪れる。日本の郵便局では、政府の事務所
又は地方都市のホールの役目を多く果たしており、また日本の消費者に対し郵便サービス
の他に下記の広範囲なサービスを提供している。
 ・ 郵便貯金
 ・ 簡易生命保険
 ・ ペンションの支払い、ペンション、福祉年金、社会保障の給付、及び児童支援給付
   への支援
 ・ 交通違反罰金の払込
 ・ ラジオ聴取料金の払込
 ・ 国税の受付と支払い
 ・ 日本国債の販売
 ・ 収入印紙、失業保険のスタンプ、自動車重量税のスタンプ、パテント・レベニュー
   のスタンプ、及び登記スタンプの販売
 ・ NTT及びNHKとのサービス契約
 ・ 田舎における老齢者へのホーム・ケアーの支援計画
 ・ 「チルドレン911」プログラム(保護を必要とする子供への一時的な保護)との協力
 ・ 災害防止協定の遂行
 ・ 住民票のコピーの発行
 ・ 道路障害情報の提供
 ・ 不動産登記の謄本の発行
 ・ 地方公共機関による多様なサービス
 特に郵便貯金サービスにおいては、簡保の消費者とは共に大きく重複しており、また消
費者はこの二つの商品を郵便局で「ワン・ストップ・ショッピング」することが可能であ
る。実際に、簡保はこの利便性を強くPRしている。その結果、簡保の消費者は簡保の販
売拠点を兼ねる郵便局を利用する傾向にある。それに対し民間保険会社の地方の販売拠点
は、ベース・キャンプになる傾向があり、そこから会社の販売職員は、会社の商品をマー
ケットし顧客の保険需要に奉仕するため近傍のコミュニティへと展開して行く。
 まだ簡保は、この巨大で質的に優位な販売ネットワークが持つ完全な市場価値を支払っ
ていない。簡保がその保険拠点を利用するのに十分な負担をしていないのを確認する二つ
の方法がある。第一のは、日本郵政(一つの政府機関である)が事務所関係のコストを、日
本郵政の三つの機関(郵便サービス、貯金、及び保険)にコストを割り当てる会計方法は、
床面積と職員数という不透明な比率に応じて配分している。言い換えれば、日本郵政は簡
保に対し市場に出かけるための空間を(もしその空間をオークションで市場に提供したと
すれば得られるであろう賃貸借価格で)提供しているのではなく、むしろ日本郵政は簡保
に対し、日本郵政の歴史的な会計上の負担をカバーするに十分な水準で賦課している。第
二に会計記録によれば、簡保が利用する事務所に賦課する日本郵政の経理基準の方法は、
事業の立地の観点から見れば、それらの価値を過小評価している。図7(省略)は、民間保
険会社と簡保に与えている利益提供に対する土地不動産の資産価格の比率を示している。
数値から分かるように、民間保険会社は同一の利便価格を得るには著しく大きな資産を備
えなくてはならない。(注)
 (注)もっと直截な比較は、会社の保険料収入総額に対する土地・不動産金額の比率を見
   ることであろう。それによると簡保は民間部門の約六分の一になる。しかしその様
   な比較は、簡保と平均的な民間保険会社が提供する保険給付が異なる構成に伴うこ
   とによる保険料収入水準が異なることを隠すであろう。

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