最近読んだニュースから(2007年01月分)  


保険市場について思う(その15)(2007/01/28更新)
ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その8(2007/01/28更新)
保険市場について思う(その14)(2007/01/21更新)
ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その7(2007/01/21更新)
保険市場について思う(その13)(2007/01/14更新)
ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その6(2007/01/14更新)
新年の挨拶など(2007/01/07更新)
ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その5(2007/01/07更新)


○ 保険市場について思う(その15)

 最近、金融庁による保険会社に対する行政処分がしばしば報じられ、その結果会社の首
脳が職を辞することになるのが目に付く。どうも社長や重役は、最近では不祥事が発生し
た時にそれを解決する人身御供の役を負わされてきたようだ。そのため会社ではコンプラ
イアンスということが重視され、担当幹部が各部署に配置されてきているようだ。コンプ
ライアンスの重視はもちろん保険契約者のため会社にとって大切であるが、生産性の向上
や成績の飛躍して会社の経営を活気のあるものにするにはどうも繋がらないと思われる。
不祥事件の発生は、消費者の信頼を失うことになるから、それを排除するのは当然として
も、会社経営として活気のない時代になっているのではないか。
 昔の死亡保険中心の時代には、被保険者が死亡すれば死亡保険金が支払われて、契約は
消滅する。その際に死亡保険金の他に支払う給付はないのだから、死亡保険金の支払いが
適正な事由であるかどうか、免責により支払わない場合は、それが適正な処理であるかを
調べればよい。しかし最近の第三分野の保険になると、一つの支払い事由が発生して、そ
の給付金を支払えば一件落着にはならないようだ。一連の給付金が時間的に継続して発生
してくるからである。手術給付金と入院給付金ぐらいまでは致し方ないとしても、それ以
上に通院給付金等まで付加し、さらに無事故給付金まで付加するのは、新しい保険を設計
する者にとっては、出来るだけ魅力のある給付を付け加えて販売促進に繋げたいとするの
であろうが、果たして、現実に保険事故が発生した時に加入者にとってそこまで付加され
ると請求漏れに繋がる可能性が大きくなり、会社としても不払い事案として、後になって
問題にされるのはかなわないだろう。保険給付は被保険者の請求により支払われるのが原
則だと思うが、支払い事由が複数(多数)で時間的に継続してくる保険になると、支払い漏
れが発生するのは避けられない。契約者の老齢化(物忘れ)が進むと、その様な事例の発生
はどうしても避けられない。
 従って、保険給付の体系は簡素化されたものが好ましい思うが、各社の設計担当者の自
制なり工夫も必要ではないか。さらに商品の審査に当たる金融庁の職員の判定基準・審査
基準を設定することが必要となろう。
 規制緩和の時代だから、商品内容が公序良俗に反しない限り、申請内容をそのまま認め
るという時代は、もう終わりにしなければならない時代に入ったのではないか。
 そんなことを考えると、コンプライアンスの重視は悪いことをしない会社となるために
は是非とも必要だろうが、けれど会社の生産性は挙がらないだろう。それとは関係がない
といわれるかも知れないが、適正な契約者配当金の支払い漏れも是非とも検討してもらい
たいものである。
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○ ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その8

  簡保は国営事業としての特権を享有している。
 簡保は、もはや民間部門の単なるサプリメントとして役割を果たしているのではなく、
またその規模は民間の競争相手と比べて比較できないほどであるにもかかわらず、競争相
手には与えられていない特権を享有し続けている。2003年4月1日に、簡保と他の二つ
の郵政サービス・・・・郵便事業と郵貯・・・・は、政府の郵政サービス・エージェンシーから新
しい政府所有の法人Japan Postに移行した。しかしながら簡保は、郵政サービス・エージ
ェンシー時代に享受していた特権を、新しい公社の構造の下でも維持する。簡保の民間部
門の競争相手とは異なり、保険業法の対象にはならないで、日本郵政公社法による特別な
ルール、郵政生命保険法と関係規則により規制される。
 日本における金融ビックバン改革の一環として保険業法は抜本的な改正が行われ、また
保険を含めた金融部門への監督機構が大蔵省から金融庁に1998年に移管された。これら
の改革は、保険事業に対して、包括的でprocompetitive(proは・・・・賛成のという意味)で、
透明でかつ規則に準拠した規制を行い、また保険事業の健全な運営、保険募集の公正な行
動、及びグローバルに認められた基準に基づいて日本経済の健全な発展に貢献するよう確
保することにより、保険契約者等を保護するよう設計された。簡保は、資産の面では日本
における生命保険市場の約40%を占めており、簡保はこの金融規制のシステムから切り
離されている上に、その民間部門の競争相手にはない決定的な優位性を与えられており、
日本において健全な保険市場を推進しようとする日本政府の力を損なっている。
   1.保険契約者への保証を完全に承認
 簡保の保険契約者への保険給付は、簡易生命保険法に基づき日本政府により保証されて
いる(簡易保険法第3条)。民間会社の契約は、それに相当する保証が与えられていない。
その代わりに、日本で事業を営んでいる民間生命保険会社は、国内会社と外資系会社も共
に、保険業法により、破綻した会社の保険契約者を救済するために、保険契約者へのセイ
フティ・ネット・プログラム(生命保険保険契約者保護機構(Life Insurance Policyholder 
Protection Corporation:IPPC))への拠出が求められている(保険業法第265-3、265-33条及
び265-34条)。簡保は保険業法の規制対象にされていないから、この義務から免れており、
最近における一連の会社破綻のために、民間部門の生命保険会社のセイフティ・ネット・
プログラムへの拠出義務が6380億円に膨らんだのに対し、簡保は1998年から2002年の
期間に922億円を節約できた。もし前のセイフティ・ネット・プログラム(IPPF)に業界が
拠出したことを考えると、業界の拠出義務額は総額8380億円になる。簡保は、何れのセ
イフティ・ネット・プログラムにも一円も支払わなかった。(注)
  (注)保険業法が1996年4月に抜本的に改正された時、日本における生命保険業界は最
   初のセイフティ・ネット・プログラムLIPPFを設立した。LIPPFは自主的で事後に
   拠出するシステムであって、それは破綻した会社が出た時2000億円まで給付する。
   総額2000億円の資金は、1997年に日産生命が破綻した時に全て使ってしまつた。
   幾つかの規制上の改革が実施され、また日本政府が公的資金を提供するのを嫌がっ
   ていた状況下で、業界は更なる拠出を行うことに余り熱意がなかったから、新しい
   システムを設立することが必要になった。1998年6月の保険業法改正により、LIPPC
   が設立された。LIPPFとは異なり、LIPPCへの参加は強制された。 
 簡保に対し与えられる無条件の保証により、他の競争相手よりも優位に立つ。マーケッ
ティングの観点から簡保は、保険契約者に対し政府による保証という独特な特徴をその商
品に付与でき、簡保は確かにより多くの商品を販売することができ、またその商品に高い
保険料の受取を享受する。簡保の契約に対する無条件の政府保証は、民間部門の競争相手
に対し簡保に与えられる事業上の決定的な優位性は、1997年以降に日本の生命保険会社
7社が破綻し、日本の市場が依然として幾つかの日本の会社のソルベンシーへの広がつた
疑惑が広まった事実が示している。簡保への恩恵全体を(また民間の保険会社への不利益
を)数字で示すことは困難であるけれど、簡保はその貯蓄性商品に、日本の投資家が日本
国債で得られるよりも、同じ保証が付いていながら、高い報酬を与えることが出来たこと
に注目すべきである。簡保の販売部隊は、日本の消費者に対し契約を販売する際にその保
証性を利用するのを躊躇わなかった。
  「簡保は決して破綻しない、だからそれは安全である」 東京にある一つの郵便局で、
  歳を取った婦人の郵便局員がその知り合いの婦人の顧客に対し説得する。興味深いこ
  とに、その郵便局が入っているビルの最上階に、大手の生命保険会社の本社がある。
  ルーマ・ベースドの(違法である)売り込み販売による踏み外した説明であるけれど、
  郵便局の職員もまた女性の顧客も、関心を持っていなかった。それは簡保が如何に全
  く安全であるかの神話である。日産生命保険相互会社が1997年に破綻した以降、民
  間部門の生命保険会社7社が破綻した。生命保険会社の安全神話は完全にずたずたに
  崩れてしまった。そして保険契約者による保険への不信感は深まった。人々はこれら
  の民間保険会社の行く先を見詰めたから、簡保は保険給付の政府保証を背景にして、
  着実にその占率を伸ばした。(注)
    (注)「簡保は優秀な会社であるとは、砂上の楼閣」週刊ダイヤモンド2002年8月24
    日117頁
 ある程度はこの様な販売戦術の結果、最近の消費者世論調査によると、簡保は「信頼性」、
「利用しやすさ」及び「好ましさ」の面で最上位に位置している。(注)
 (注)一方で、外資系の生命保険会社は「商品の魅力」、及び「新商品の開発の積極性」の水
   準で上位に位置している。(日経金融新聞2003年12月10日)
 更に、商品の提供と販売を拡大しようとする民間保険会社は、販売している保険商品の
リスク調整価格による予想収益と、少なくとも同じ程度の投資機会を見つけなくてはなら
ない。簡保にはその様な制約条件はない。簡保は、収入の投資性に注意しなくても、日本
の国債が投資資産をバックするようになるから、その総合カバレッジを拡大できる。この
ことは簡保が、選択した商品の分野で民間の競争相手よりも、より速やかに成長するのを
許している。
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○ 保険市場について思う(その14)

 アメリカの年次改革要望書を日本が忠実に(?)に遵守した結果で、簡保の民営化が実現
した背景を、私のHPでACLIの資料を読んで追いかけることをやっているが、大変面白
い内容だと思う。このアメリカ側の要望は一方的で、日本側は押しまくられてきた感がす
る。何故、日本はアメリカに対し強い要望を提出しなかったのか、提出しても成果がなか
ったのかどうか分からない。いずれにしても日米間の交渉内容が日本のマスコミに報道さ
れてこなかったので、いずれにせよ、ACLIの資料は面白い内容であることは間違いない。
 日本側は、規制緩和を初め、それに何らの対策を講じないまま推移してきたのが、現在
の保険行政の根本的な混乱の原因であると思う。
 その結果、多種多様な医療保険の花盛りが、果たして消費者の利益に繋がってきたのか
疑問だと思います。
 郵政民営化の話は、大変興味があります。最近出版された「アメリカの日本改造計画」
(イースト・プレス社発行)を買って読んでいますが、政治的な話は別として、保険行政の
観点からの話が無いのにはがっかりです。郵政民営化解散で、民営化反対で選挙に出て落
選した小林興起代議士の話が出ていましたので、買って読みましたが、期待はずれでした。
また今日買った「構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌」(日経新聞社)は、まだ殆ど読んでい
ませんがこれも、ACLIの資料に対する裏付け又は反論になるのかと予想しましたが、ど
うもそうではないようです。政治の話・舞台裏の話は結構でして、政府の対応が消費者の
ためになったかどうかという話が知りたいのですが。もう暫く読んで、また感想があれば
書くことにしましょう
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○ ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その7

 B. 岐路にさしかかった郵政改革
 日本郵政が新しい保険商品を導入することに巻き起こった広範囲な批判は、その重要な
部分が、この導入が小泉首相が公約し、一般から広範囲な支持を得ている経済改革計画に
矛盾しているとの考えに起因していた。小泉は日本郵政の民営化を公約し、金融システム
における政府の役割を抑え、また彼のスローガンによれば、「民間部門が出来ることは民
間部門に任せる」である。日本郵政の行動は、小泉首相が行う仕事の重大さと、彼の改革
プログラムが克服しなければならない制度上の障害を思い出させるものである。
  1.日本の改革努力1997-2001
 小泉首相は日本の郵政システムをオーバーホールすることを、彼の先駆者達の殆どが避
けてきたことを公約した。日本における1996年の金融改革の「ピック・バン」は、市場原
理で透明かつグローバルな金融システムを日本が独自に確立しようとしたことで、郵政シ
ステムの改革を特徴づけるものではなかった(注)。1997年に橋本首相は、「行政改革」計
画を発足させ、政府のサービスを民営化することがその中の一つに含まれ、またこのプロ
ジェクトに関する彼の諮問会議は、郵貯と簡保とを共に民営化することを勧告した。しか
しながら、郵政の労働組合と特定郵便局長協会からの圧力を受けて、諮問会議はその最終
報告を提出した時に、三つの郵政事業を一緒にして公社にする代わりに、民営化の提案を
撤回した。これらの提案は、2003年4月の日本郵政の設立を行う立法に影響を与えた。
日本郵政は民営化されなかったし、また三つの郵政事業におけるその役割は、その有する
特権が実質的に維持されたまま、民営化されなかった。橋本首相の諮問グループは、郵政
の民営化を将来において政府が再び取り上げないよう勧告し、また郵政省の官僚達は勝利
宣言をし、「民営化問題は終了した」と述べた。
 (注)「日本の金融システムは、郵貯と簡保のシステムに基盤を置いた公的金融機関の巨
   大な存在(市場原理から保護された経営による)により特徴付けられている。・・・・何
   故、ビックバンがこれらの機関について沈黙を守っているのか?大きな理由は政治
   にある」Akiyoshi Horiuchi,「ビックバン、認識と現実」。経団連のシンクタンクであ
   る21世紀公的政策協会もまた同時に、政府における矛盾を批判していた。
 2.小泉の計画
 2001年4月に小泉純一郎は首相に就任し、「聖域無き構造改革」の計画をキャンペーン
し、その中核は、三つの郵政事業の民営化であると誓約した。彼の私的の民営化検討グル
ープは、2002年の夏までに、郵政事業のへの計画を開発するよう指示を受けた。グルー
プの計画は、そのメンバーの間では、簡保と郵貯の廃止を含む民営化は公的金融の源泉と
してこれらを排除することになり、また郵便局のネットワークが民営化後に維持できなく
なろうことへの懸念を含め、様々な意見の相違が明らかになった。2002年9月に検討グ
ループは、一つの計画に到達できなかったことを確認して、三つの実行可能計画を規定し
た最終報告を纏めた(注)。2003年7月に小泉首相の再選キャンペーンの間に、小泉は日
本郵政を2007年までに民営化することを約束し、また彼の諮問協議会である経済財政会
議(CEFP)に対し2004年末までに具体的なロードマップを起草するよう求めた。
  (注)検討グループは民営化のタイムテープルを定めなかった。「郵政パネルは強力な抵
   抗に遭い、民営化計画を一つに絞れなかった」(Nikkei Net, August 6,2002)
 郵政民営化に関する小泉首相の基本的な原則の一つは、「民間部門が出来ることは民間
部門に任せろ」であり、これは彼が多くの政治的なフォーラムで繰り返した言葉である。
日本郵政が民間部門と直生競合する新しい保険商品を導入するのを内閣府が承認したこと
は、この目標とは矛盾するものである。経済再生会議の何人かのメンバーは、日本郵政の
民営化すること自体が問題になっており、また民間の生命保険会社が途方もない程のハン
ディキャップを負うことになるのに、民間部門と競争を拡大するのを認めたことへの懸念
を表明した。同様な警告が、小泉内閣からも出された。それにも拘わらず、2003年11月14
日に、日本郵政による新商品の導入が承認され、2004年1月1日から有効になった。
 C. 簡保は、政府による優遇措置により、世界最大の生命保険提供者に成長した。
 日本郵政の中における簡保の計画は、民間会社が提供しなかった少額の生命保険契約を
日本の市民が得られるよう1916年に創立された。日本における社会保険のシステムが改
善されたけれど、健康保険とペンションのカバレッジの普遍化と共に、民間部門はかなり
昔から日本における保険のニーズの全てを、少額の生命保険を含めて提供できるようにな
ったが、簡保は規模の面でも、またその提供する商品の範囲の面でも大きく成長した。簡
保は、政府が与える特別な特権の商業上の有利性により、その市場シェアーを拡大し、相
当する特権がない民間の保険会社の多くが支払不能に陥った。
  簡保は日本における保険市場で圧倒的な地位を占めている。
 簡保は規模を低下させるよりも、最近では著しい成長を示している。過去15年間にお
いて簡保が報告した資産は三倍になった。2003年3月に、簡保が保有する生命保険契約
は72.6百万件で、これに対する全ての民間保険会社を合計しても110.2百万件である。簡
保が報告した2002年の資産は、総額で124.1兆円で、簡保と民間部門が管理する資産の
合計額の約40.8%を占める。簡保は現在、世界で最大の保険提供者である。
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○ 保険市場について思う(その13)

インシュアランス紙の12月28日号に掲載された記者座談会を久し振りに読ませて頂い
た。昔はこの記事が新年号(?)の呼び物であって、ピリリと辛口の座談会で売り物であっ
たのが、最近において保険給付金不払いなどの不祥事件が多発したきたせいもあるのか、
記者の意見が多少マイルドになってきたのではないかと思われる。
 座談会によると、この一年、個人保険の新契約高は減小が続いている一方、保有契約高
も保険金額ベースでは純減という厳しい状況にあるという。また個人年金保険や医療保険
等の第三の分野商品の伸びも一段落していることを前提にしての議論にしては、全体が穏
やかすぎるのではないかの感がする。
 死亡保障中心の新契約が伸び悩んでいる一方で、第三の分野の保険が伸びてきたと述べ
ているが、上期の報告を見ると第三分野の新契約年換算保険料は6%減となっており、こ
こいらは業績表示が死亡保険金ベースから保険料ベースに改められたことから、今ひとつ
どうなっているかの傾向は部外者にとってハッキリしない。さらに、簡保の医療特約の成
績がどうなっているかを考慮しなければならないから、今年の10月からの簡保の民営化
開始を受けて、今後は簡保込みの業績を発表してもらいたいものだ。
 第三者の私にすれば、(給与ベースはそれほどでもないけれど)国民経済が良くなり、消
費者は将来の年金と健康保険が健全に運営されるかどうかに関心が集まっているようであ
り、昔のように高額の死亡保険金へのニーズが小さくなって、葬式代ぐらいの適度の死亡
保険金で十分だと消費者が考えるようになってきたのできないかと想像するが、実態はど
うなっているのか?更に民間保険へのニーズは医療保険にあると思うけれど、これもそろ
そろサチュレーとしてきたのではないかと想像する。
 そこで提案したいのは、被保険利益の観念を、特に第三の分野の募集において導入すべ
き時代になってきたと思うことだ。他社契約の通報制度、他社契約の通算制度を導入すべ
きではないか。そのための準備として、募集広告・パンフレットに明記することにし、契
約者の関心をそれに向けるようにしたらどうか。消費者の知識が確立してくれば、その次
に約款に支払金額の限度を挿入する。どうも、世界一の生保大国になった日本で、これま
で被保険利益の観念が忘れ去られてきたのは、世界に向けてみっともないのではないだろ
うか。
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○ ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その6

 日本における保険事業への差別的な規制システムが、GATSでの約束に適合していな
いから、そのシステムを構成しているやり方は、アメリカ、EU、カナダを初めとする日
本において保険サービスを提供しいるによるWTOのメンバー諸国によるWTO紛争解決
の手続きには弱い。GATSに適合していない現在の枠組みを、日本の郵政が最終的にど
の様に民営化されるかどうかを巡って検討される中で、日本のリーダー達は考慮すべきで
ある。最終的に民営化のどの様な形態をとろうとも、監督規制上の枠組みは、GATSに
基づき日本が国としての約束に完全に整合させて、日本郵政と民間部門との間で平準化さ
れた競争上の場が生まれるよう、監督規制上の枠組みをオーバーホールすべきである。日
本郵政がレベル・プレーイング・フィールドが確立される前に、新しい民間部門の商品分
野に参入する現在のやり方を続けるならば、アメリカ、EU、及びカナダの政府は、日本
がGATSへの約束を完全に遵守するよう確保するのために、必要となる具体的な手続き
を検討すべきである。
 アメリカ合衆国は、日本がその経済を改革するよう格闘している結果と同時に、世界に
おける金融サービスを含めたサービスに対し、より開放され競争的な市場を推進するよう
GATSの成功された施行に強い利害関係を有している。日本の郵政が、民間の保険部門
と競争するよう、引き続き拡大することは、開放され公正なサービスの世界を確保するた
めのメカニズムであるGATSに求められた予測への基本的なテストである。
 II. 日本政府が簡保に対し有利な扱いをすることは、民間の保険業界の健全性を歪
    め、また脅威を与える
 A. 日本の簡保が問題となる新保険商品を導入する
 2003年9月17日に日本の郵政は、新しい有期、終身の簡保商品を提供するためMPHPT
からの承認を求める計画を発表した。この新商品(五重の給付をする終身保険と名付けら
れた)は、民間生命保険会社の有期保険、終身保険と直接競合する。これは1968年から利
用でき、現在では民間生命保険会社が販売した総契約の約20%に当たる。この新商品は、
簡保の貯蓄的な保険に焦点を当てた伝統から著しく離れたマーケッティングであり、また
民間部門の契約に直接挑戦している(注)。
 (注)日本郵政の生田総裁は、民間部門の契約と競合することを予想して、新商品は最高
   限度が1千万円で、民間生命保険会社の平均はもっと高いことの注意して、競合し
   ないと強調した。しかしながら、彼の見解は、第三者による生命保険の観察者から
   は同意されなかった。
 簡保は、商品の全範囲を通じて、外資系の保険会社と競合している。最近、外資系の会
社は、所謂第一の保険分野(即ち、普通の生命保険と年金商品)において市場での存在を拡
大している。現在、日本における生命保険会社 41社の内18社は外資系であり、また年
金保険の販売の進展と会社買収を進めた結果、第一の保険分野における外資系の占率は、
新契約ベースで20%に跳ね上がった。
 簡保は、医療その他の所謂「第三分野」のカバレッジを、(疾病入院特約のような)特約を
その生命保険契約に付加して、積極的に販売する意図を明確にした(注)。最近開発した「行
動計画」によると、簡保の目標はその特約を付加する割合を2002財務年度の85%から
2004財務年度には90%以上に引き上げることである。更に「行動計画」では、外資系の生
命保険会社が日本において伝統的に活躍している第三の分野の市場を目標にしていること
を明確に示している。
 (注)戦後の初期段階に大蔵省は、日本における保険市場を生命保険と損害保険(即ち、
      火災と自動車保険)とに分ける規制上の障壁を設定した。歳月の経過により、より
      小規模な「第三の分野」が開発され、それは生命保険と損害保険の何れの分類にも適
      合しない保険商品から構成されていた。これらの商品には、ガン保険と医療保険と
      共に、個人むけの傷害保険商品を含んでいる。外国の損害保険協会(FNLIA)による
      1992年9月3日付の意見書(Position Paper)。生命保険契約に、医療、障害及び他
      の特約を付加することにより、日本郵政は、独立な商品としてその様な給付を提供
      することに国会での承認を求めるのを回避した。
 実際に、もし医療特約が新契約に付加されるなら、被保険者の生命に対し、第三の分野
の商品に極めて類似した給付を提供する商品に変貌する。新契約の保険期間が一定年齢(例
えば60歳)で満了すると、典型的な独立の死亡給付特約付の医療保険と比較して、死亡給
付に対する医療給付の比率が劇的に低下する。その新商品の発議は、簡保が医療及び他の
第三分野の保険商品に拡大する意図を示したものと解釈される。日本郵政の生田総裁は、
新商品を提供する重要な理由を、簡保の新契約の募集が最近低下しているのを回避するこ
とであると述べた。
 新しい商品を導入することに日本郵政が承認を求める要請は、国内と海外の保険業界の
あらゆる部門から、外国政府、日本のメディア、日本の国会議員から、さらに小泉内閣の
閣僚からも強い抗議を引き起こした。日本の生命保険協会(LIAJ)は、簡保の発議に非難
する文書を発表し、またLIAJ、はアメリカ生命保険協会(ACLI)と日本におけるアメリカ
商業会議所(American Chamber of Commerce in Japan)、アメリカ商工会議所(U.S. Chamber 
of Commerce)、カナダ生命・健康保険協会(Canadian Life and Health Insurance Association)、
及びアメリカ-日本ビジネス協議会からの強い非難が与えられた。ECは日本政府に対し、
ベースとなる簡保の保険期間が終了した後の商品は、所謂第三分野の商品・・・・これはヨー
ロッパとアメリカの保険会社が日本において営んでいる事業の中核であり、また簡保の巨
大な事業規模からみて・・・・と殆ど同じになるから、簡保の新商品を承認しないよう主張し
た。また簡保への政府保証は、激しく競争している部門における民間の商品と比較して、
その競争上の地位に梃子入れしており不公平であると主張した。2003年11月3日に、ア
メリカ政府の通商代表部の上席担当官は、簡保の新商品問題を特記した新聞発表を日本の
レポーターに提供し、そしてレベル・プレーイング・フィールドで確立するまで、日本政
府がこの商品を承認しないよう主張した。
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○ 新年の挨拶

 今年はよい年でありますように、心よりお祈り申し上げます。
 私は、昨秋八十歳の大台に入りました。メタポリックのことを気にしながら、我が国の
将来を非常に心配しています。泥沼化したイラク情勢、北朝鮮の核、ふらふらした韓国の
大統領、国内に問題を抱えながら異常に発展を続ける中国経済、拉致問題、そして地球温
暖化など数々のことが心配です。
 安倍政権による美しい国造りや格差是正、再チャレンジなどの問題で、果たして、この
厳しい国際情勢を旨く日本が生き抜けられるかどうかが非常に気になります。
 新春の新聞には、「生保不払い1万件」と3日付の読売紙に追跡記事が大きく掲載してい
て、消費者の不信感を煽っているのに溜息が出ます。金融庁の検査局の姿勢が窺えるが、
大蔵省時代にはこんな強硬姿勢は内に隠していたのだが、消費者保護のことには監督局に
よる行政の整備が遅れているのではないかと心配しています。
 例えば、金融恐慌のあおりを受けて国内の生保会社7社が破綻したのですが、その処理
方法に明確な基準がないものだから、契約者への負担に大きく被せて外資系会社に移転し
てしまったことに反省して、しっかりした基準作りを検討するとか、不払い問題の原因の
一つになったのは(簡保の例に倣ったのかどうか分からないが)数多くの特約を付加する
やり方への反省とか、巨大な生保会社となる簡保の扱い、ソルベンシー・マージン、外資
系会社の在り方(支店形式で営業を認めることなど)、解約返戻金ゼロの保険商品、転換
契約の扱い、免責条項(特に第三の保険)の在り方、保険商品の比較情報の提供、少額短
期共済の動物保険、保険税制の適正化、また国際会計基準などの問題である。
 これは新聞が報道していませんが、外資系の会社に保険給付不払い問題が摘発されない
のは不思議に感じており、本当にそうなのか。監督行政の姿勢に国内会社と外資系会社に
差別があるのではないかと、気にしています。昔、アメリカ・ニュヨーク州の保険局に行
って話を聞いたことがありますが、保険局の担当官が保険会社の人を呼び出す時は、会社
は必ず弁護士を同伴させているという。日本では、生保会社に弁護士資格を持つ人が極め
て希で、申請の中身を審査するために呼び出すのだから、弁護士を同伴する慣習は全くな
かった。外資系の会社の場合は弁護士かどうかは分からないが、外人が必ず同伴するそう
で、英語でぺらぺらと捲したてられると、日本の担当官は、後で外人を連れてこないよう
に要望しているという話を聞いたことがある。
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○ ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その5

 小泉による民営化の発議の状況は不透明であり、2003年9月に日本郵政は、簡保の商
品系列を、対比しうる民間部門の商品と直接に競争出来るよう拡大することを監督官庁か
らの承認を求める計画を発表した。抗議の嵐が、日本の保険業界と日本のメディアから巻
き起こった。毎日新聞(大手の一般紙)の社説は、次のようにコメントしていた。
  簡保と郵貯とを改革する上で非常に重要な点は、公的企業と民間の企業にとって競争
  上の条件を等しくする状態を作り上げることである。他の重要な点は、過度に拡大し
  た国営の保険システムと銀行の存在により歪められた金融の状態を正常化することで
  ある・・・・。この非常に重要な点を考慮しないで、簡保のシステムの新商品を承認する
  ことは、単に市場を更に歪めることになろう・・・・。簡保の更なる拡大は、国の経済に
  何の利益をもたらさないであろう。(2003年11月19日付)
 アメリカ合衆国、EU、及び民間部門の多くの事業グループが、それへの懸念を表明し
た。それにも拘わらず、2003年11月14日に、MPHPTは簡保に対し2004年1月から新
商品を導入することを承認した。
 海外からの見方 
 アメリカ合衆国にリードされた外国は、長い間、金融サービス部門を自由化するよう日
本に圧力をかけてきた。本質的な部分で、アメリカ合衆国、EU及び他の諸国は、日本の
金融サービス市場に改善された参入を、二国間の協定を通じ、また1994年に発効した多
国間のGATSを通じて、確保することに関心を持ってきた。GATSに加入することに
より、日本において保険サービスを提供する外国の提供者に日本は、国としての扱いを拡
大する約束をした。平行して、アメリカ政府と日本は、1995年に金融サービスについて
包括的な協定を、また保険について1994年と1996年に二国間の協定を交渉した。これら
の合意の実施には、しばしば激しい紛争を招いたという特徴を持ったけれど、次第にGA
TSと二国間の協定が、アメリカ合衆国、EU、及びカナダに本拠を持つ金融サービスの
提供者にとって日本において大きな市場の機会を開くことになった。外国の生命保険会社
が日本に進出することは、日本の消費者にとって利用できる一連の新商品を提供しただけ
ではなく、競争を激しくし、また日本の保険会社をしてその経営を再構築させ合理化させ
た。
 1980年以降、部門ごとの交渉に加えて、引き続きアメリカ政府は、日本の経済システ
ムの特有な面から生じる「構造」問題について交渉を行ってきた。次第に、アメリカ合衆国
の交渉目的は、規制緩和を、また市場志向への改革を強調してきて、それは日本における
経済改革者達と一致することが明らかになった。
 規制緩和と競争政策を強化する発議(The Enhanced Initiative on Deregulation and Compet- 
ition Policy)が1997年に提議され、その後定期的に拡大された。この二国間の協議におい
て日本は、一連の共同報告書の中で、様々なやり方で経済を規制緩和することに同意した。
「強化する発議」においてアメリカ合衆国と日本とが、保険に関係する問題を、更なる規制
緩和と規制上の改革手続きにおける透明性を含めて検討し、また日本は事業上の質問に回
答する「no action letter」のシステムを採用した。
 2001年に双方の政府は、「強化する発議」における多くのテーマを推進するため、「規制
の改革、競争政策の発議」(Regulatory Reform and Competition Policy Initiative)を発足した。
「規制改革の発議」の枠組みは、一方で簡保、他方で民間の国内と外資系の保険提供者との
間の保険市場で、レベル・プレーイング・フィールドが欠けていることへの懸念が増大し
ていることに、アメリカ合衆国が発言して議論する場を提供した。アメリカの政府は、日
本が簡保の保険契約を民間の保険会社により提供されている契約種類に拡大するのを認め
ないよう、常に主張してきた。アメリカ政府は、小泉首相、日本における民間の保険提供
者、及び広範囲な日本の学者と新聞の論説委員からの同じ主張を支持した。
 MPHPTが簡保に新しい生命保険商品を導入するのを認めた発表は、日本において規制
緩和と規制改革を進める努力を払うという、アメリカと日本の二国間の努力に対する後退
である。この発表は直ちに、簡保の新商品の問題を議題にする日米間の保険の場で取り上
げる前にもたらされた。この承認は、アメリカ政府にとっては議論の場で見解を表明する
機会を与えなかった。アメリカの政策と日米間の規制上の改革手続きへのこの侮辱は、ア
メリカの通商代表部の上席者が、新商品が市場に与える衝撃に「強い懸念を表明」し、日本
政府が承認を却下するか決定を延期するよう主張するという強い反応を示した。また同時
にこの上席者は次のように述べた。
  
  アメリカ政府は、簡保の拡大に対し強い懸念を持っており、WTOのGATS条項を
  注意深く吟味している。我々はテーブルの上に全ての選択肢を持っている。
 GATS(The General Agreement on Trade in Services)
 MPHPTによる簡保の新商品への監督上の承認と、日本郵政の保険事業である簡保への
有利な法律上と規制上の扱いがWTOのGATSで日本が約束したことと矛盾している事
実に言及して、アメリカは反発した。GATSのXVII.1条は、日本が、サービスの提供
に影響を与える全てのやり方について、自国の同様なサービス及びサービス提供者よりも
不利ではない扱いを、他の如何なるメンバー国のサービス及びサービス提供者に与えるよ
う求めている。形式的に同等か又は異なっているかに拘わらず、扱いは、もしそれが他の
国のサービス又はサービス提供者と比較して日本のサービス又はサービス提供者を有利に
なるよう競争の条件を修正するならば、「好ましくない」と考えられる。明らかにその事例
がここにある。
 日本における保険事業への法律上の枠組みは、日本の郵政に対し、アメリカ及びWTO
のメンバー諸国からの外国の保険提供者よりも、遥かに有利な扱いを与えており、それは
日本の郵政に対し有利になるように競争の条件を調整している。WTOの法律学によると、
日本における民間の保険提供者が同様に不利な扱いを受けている事実は、ここで日本の郵
政が外国の提供者よりもより有利な扱いを受けている限り、関係がない。GATSの
XVII.1条は、国内企業を保護する意図を、又は外国の提供者に対し実際の被害を与えて
いることを証明するよう要求していない。GATSは、一定の規制上又は慎重な機能につ
いて国家として取扱う要件について幾つかの例外を設定しているけれど、これらの例外は
ここでは適用されない。日本の保険の枠組みがGATSの要件に従っていないことへの完
全な分析は、この論文のIII節で明らかにする。

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