最近読んだニュースから(2006年12月分)  


訃報(2006/12/24更新)
ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その4(2006/12/24更新)
保険市場について思う(その12)(2006/12/16更新)
ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その3(2006/12/16更新)
保険市場について思う(その11)(2006/12/10更新)
ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その2(2006/12/10更新)
保険市場について思う(その10)(2006/12/03更新)
ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月)(2006/12/03更新)


○ 訃報

 年の瀬が押し迫って、最近の新聞の訃報欄を見ていると、昔の学校関係の友人の名前が
二人掲載されていた。当方も歳であるから、告別式などに参列することは控えさせてもら
うことにしたい。
 一人は小畠守生氏(80歳)で、東京都立大、慶応大の名誉教授である。彼は東大理学部
数学科の同級であり、幾何学が専攻であった。
 彼は学生時代余り目立たなかったが、数学教室の主任教授の斡旋を受けて大学の助手に
就職した。彼の専攻は幾何学となっているが、当時発展しつつあった微分幾何学、リーマ
ン幾何学を勉強したのであろう。彼が後日述懐していたそうであるが、新しい理論や定理
を展開できて、幸運にも成功したそうで、その結果、大学教授の地位を得たのである。
 これに対し私の家は、親の財産が不動産の形で韓国にあり、それは敗戦で当然ゼロにな
り、東京での住居は借家で、生活に困っており何とかしなくてはならない状況だから、東
大数学教室の助手として残らないかと打診を受けたけれど、落ち着いて数学の勉強に没頭
する余裕はなかったのでお断りした。もし引き受けたら、それなりの成功を得ることが出
来たかは全く自信がなかった。その結果先輩の斡旋で大蔵省に入ることになった。しかし
生命保険会社の職員給与と比較すると2から3割も低いので、先輩の援助で、生命保険協
会で保険数学の講師を引き受け、また毎年のように日本アクチュアリ会で論文を発表して
原稿料を稼いでこられたのを感謝している。
 もう一人の訃報は、中野徹雄氏(79歳)で、仮は府立一中(現日比谷高校)の同級生であ
り、厚生省薬務局長を勤めて退官した。彼とは、中学時代にはつき合いはなかったが、私
が主計局の主査として厚生省の予算を担当していたとき、たまたま厚生年金保険の制度改
正問題(報酬比例部分の代行制度の創設)があり、彼は厚生省にはもったいないくらいの人
材であり、当時は年金局の担当課長で、私と制度改正についていろいろと議論をした思い
出がある。
 本当の高齢者である80歳になると、冬になれば風邪を引きやすく、肺炎で死ぬ人が多
くなるので、私も健康には気を付けなければならないと注意している。しかし、80歳の人
の平均余命は8年余りで、死亡確率が高いのだからもう先が見えてきた年齢になったよう
だ。
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○ ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その4

   巨大な金が市場原則の適用される範囲の外に残されている限り、民間金融機関への
      収益が逼迫する問題と、市場における価格メカニズムへの障害は、著しく改善する
      ことは出来ないだろう。
            金融庁の検討グループ・2002年7月12日  (仮訳)
        出所:日本の金融システムの将来ビジョン−日本が繁栄し多様化する基礎に関す
        る検討グループ(2002年7月12日)
 アメリカ合衆国は日本と二国間協議を行ってきたが、日本における保険供給者への国と
しての扱いは、GATSと矛盾するやり方であり、アメリカの政策は我慢の限度に達して
いる。
 日本の郵政システムは、市場志向の原則にたって完全に運営されている民間部門の金融
機関の発展を妨げてきた。1970年から1995年の間に、民間部門における郵貯と簡保のマ
ーケット・シェアーは実際に著しく増大しており、 また1996年には、日本の生命保険市
場における簡保の占率は33%に達していた。現在の占率は40%である。簡保の市場占率
の急増は、バブル崩壊後において民間生命保険会社の財務内容が急激に弱体化して、消費
者がその健全性について危機感を感じたために、簡保は優位にたったという実態による。
簡保からの競争が、1997年以降における民間生命保険7社の破綻の根本的な要因であっ
た。IMFによる日本の金融システムへの包括的な2003年サーベイでは、郵貯と簡保の
存在が民間金融機関の収益性を抑圧したとの結論に達した。IMFSによる重要な勧告の
一つは、郵貯と簡保の制度の活動と、政府の融資業務を制限して、政府の金融部門への関
与を圧縮することであった。IMFは銀行と保険についての報告書の発表の後で、一つの
公式なコメントは、次の通りであった。
   貴方は民間部門と競合する政府を有している。それは完全なレベル・フレーイング
   ・フィールドではない。
 
 日本における法律上及び規制上の枠組みは、民間の保険提供者にとって、国内及び外国
系を問わず不利となるよう、日本の郵政に対して競争上有利になるよう傾斜していること
は、広く認められている。
 
  − 政府による保証。日本郵政による簡保の生命保険契約は、日本政府により100%の
   無条件保証を受けている。これに対し民間の供給者により契約した者は受けていな
   い。
 −  LIPPCの支払い。日本における法律では、民間の保険供給者は生命保険に対し、
   保険契約者保護機構(Life Insurance Policyholder Protection Corporation : "LIPPC")に
   相当額の支払いを行うよう求めている。この機構は、破綻した保険会社の契約に部
   分的な支援を与えるよう設計されている。日本郵政は、この機構又は何等かの対比
   されるファンドに対し支払うことは求められていない。
 − 税金の免除。日本郵政は、殆どの税金の支払いから特別に法令上の免除を享受して
   いる。これに対し、民間の供給者は免除を受けていない。
 − 他の事業を営める。日本郵政は、保険とは関係のない郵貯及び郵便の配達を含め、
   他の事業を営めるよう、特別な法令上の権利を享受している。これにより、その保
   険事業に対しユニット・コストの節減と競争上様々な優位性を助長している。民間
   の保険提供者は、対比しうる特権を享受していない。
 − 職員の登録。日本の法律に基づき、民間の保険提供者について、登録した生命保険
   販売の代理者と募集者だけが保険の募集に従事することが出来る。日本郵政はこの
   要件が適用されず、またその28万人の職員が登録しないで保険の販売に従事でき
   る。
 規制上の扱いにおいて、これらの著しい不平等を反映して、日本の民間生命保険提供者
を代表する生命保険協会は、次のように述べている。
  簡保の存在は、健全な生命保険市場の発展を妨げる要因であり、簡保は抑制するか又
  は廃止すべきである。もし簡保の民営化が実行されるなら、国営事業として付与され
  ている特権の全てを無くなし、その規模についても含め、民間の生命保険会社との競
  争条件を同じくした後で民営化すべきである。(注)  
    (注)日本の生命保険協会 「郵政の保険事業の将来構造」(2004年2月3日)
 小泉の改革計画
 2001年4月に日本の首相に選ばれた小泉純一郎は、広範囲な改革を実施して、日本を
経済的な苦境から脱出させると、人気ある任務を受けた。彼の計画の中心は、日本の郵政
を2007年までに民営化を発議し、そして日本経済における財務仲介者としての役割と民
間部門と競合する限度を圧縮させることにあった。2003年9月26日の政策演説において、
彼は次のように約束した。
  「民間が出来ることは民間にやらせる」 私が首相に就任して以来、この首尾一貫した
  政策に基づき、簡素化し、より効率的で高能率な政府に向かって改革を実行し、郵政
  サービス、財政投融資計画と特別会社の改革を全体として発足させるよう最大の努力
  を払ってきた。
 小泉内閣は、日本郵政を民営化して民間部門と競合する条件を決定するために、2004
年中に具体的な計画を確立することよう決定した。彼の計画は、著しい人気を得、また政
治的な支援を受けたけれども、また同時に日本の官僚機構と彼の党の内部から厳しい反対
に遭った。
 郵政改革は、政治的には多くの異論を抱えている。一つは、自由民主党の有力な支持団
体である郵便局長会が民営化に反対している。更に、日本郵政の保険事業と貯蓄事業から
の資金は、直接又は間接的に(財政投融資計画:Fiscal Investment and Loan Program(FILP)
を含めて)、地方自治体や広範囲な政府金融機関と公社に対し融資されている。政府と様
々な公社へのFILPを通じた資金の流れは、一般に、日本の「第二の予算」と呼ばれている。
2001年4月に、PILP改革の結果、郵便の貯蓄システムとFILPの予算が分離され、またFILP
は債券を売って資金繰りをするよう求められた。しかしながら、郵貯と簡保の計画はFILP
の債券を購入する約束を続け、その結果、依然としてFILPの資金繰りの主たる源泉であ
った。民営化された日本郵政がその様な投資を削減するか又は終わりにするかの見通し
は、、郵政改革の根底にある他の要素である。
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○ 保険市場について思う(その12)

 主要生命保険の2006年9月中間決算の発表が27日に出揃ったの和受けて、各紙はその
概要を報道している。
 今回の報道は、各社が保有・新契約の年換算保険料をベースにして成績概況を発表して
いるのが特徴であるが、しかし私には、いまいちハッキリとはしない感を受けた。第一と
第三分野の保険を合併して発表しており、基準とするものを、従来の死亡保険金から年換
算保険料にしているのは進歩であるが、私にとっては、第一の分野と第三の分野とを分離
して、合算しないで発表していることが好ましいと考えている。新契約の年換算保険料だ
けは、うち第三分野に分けた数字が出ているのは一紙だけだったのは、せめてもの救いで
あったが、でも不十分であった。
 第三分野の保険だからといって、第一分野の保険と単純に合算して良いはずはない。保
険の性格がハッキリ異なるからである。第二の保険分野となら、合算しないであろうに。
とにかく、各保険分野ごとに分離して発表すべきである。第三の分野を、第一の保険に特
約の形式で付加して契約しているものも多いであろうし、第三の分野の保険にも少額の死
亡保険給付を組み込んでいるものもあるのだから、それをどうするかは、金融庁がガイド
ラインを提示すべきである。そうしないと、金融庁の受け取る資料がバラバラになり、自
分が分析する時に困るからである。
 同一会社が、第一の分野と第三の分野の保険を併売しているのだから、細かい分析をし
ようと思えば、分離した数字がないと分析が出来ないと思う。従って、契約成績は勿論の
こと、財務諸表も分離すべきである。基礎利益や配当所要額も保険分野ごとに分けられれ
ば、契約者配当の水準が適正かどうかもハッキリするだろう。利源分析の開示などは手始
めに過ぎない。分離表示を行い、それを精緻化する方向を進めばいろいろな問題点が明ら
かになろう。
 なお、各紙とも「頼みの医療保険が低調」と報道していることを、契約成績だけではなく、
財務の実態が明らかにならないと、何が問題なのかを断定できないのではないかと思う。
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○ ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その3

   内容の一覧
I.概観
II.日本政府による簡保の優遇措置は、民間の保険事業の健全性を破壊し、脅威を与える
 A.日本郵政は、物議をかもす新しい保険商品を導入する
 B.重大な分岐点に立つ郵政改革
   1. 日本における改革の努力1997−2001
  2. 小泉の計画
 C.簡保は、政府の優遇措置により、世界最大の保険提供者へと成長
  1. 政府による完全な保険契約者保証
  2. 免税措置
  3. 他の事業を営む特別な権利
  4. 従業員には登録要件はない
  5. 異なりかつ緩和された規制上の監視
 D.簡保は民間部門と競合している
  1. 簡保創設の最初の理由、一定の消費者への民間保険カバレッジ利用におけるギャ
    ップは、もはや存在しない。
  2. 簡保の商品系列は、民間部門と競合するよう拡大された。
  3. 簡保の商品は、民間の生命保険会社により提供されているものと類似している。
   a. 生命保険市場を明示するもの:契約の型式と保険給付のカバレッジ。
   b. 簡保の保険商品は、民間保険の商品への需要者に(最終需要者にとって厳密に
     同一の便宜を与えるから)代替可能である。
   c. 簡保の新商品は、民間部門の定期保険、終身保険と直接に競合するだろう。
  4. 簡保はその商品を、民間会社と同様に積極的に販売する。
  5. 簡保との競合は、市場の状態を歪ませてきた。
 E.民間保険部門への簡保の圧力は、新しい日本郵政公社の下で拡大された。
III. 日本の保険における差別的な規制の枠組みは、GATSで約束した国の扱いと矛盾
  する。
 A. 適用される基準
 B. 日本は保険部門において、国としての扱いを用意することを約束した。
 C. 日本政府の手段は、保険サービスの提供に影響する。
  1. 手段
  2. サービスの提供
  3. 政府の権限の行使において提供されたサービス
   a. 政府の権限による例外は適用されない。簡保はそのサービスを民間保険の提供
     者と競合するサービスを提供している。
   b. 政府の権限による例外は、狭義に解される。
  4. 影響
  D. 外国系の生命保険サービスの提供者は、簡保に対し与えられているよりも不利な扱
   いを受けている
  1. 予備的な事項
   a. 営利的な存在(commercial presence)とサービス提供者(service suppliers)
   b. 関係する日本の法律の意味での管理者(operators)が「サービス提供者」かどうか。
   c. メンバーの約策によりカバーされるサービス
   d. 同様なサービスとサービス提供者
    i. 同様なサービス
    ii. 同様なサービス提供者
     a) 政府所有対民間所有
     b) 供給者を区別する他の要素
 E. 不利にはならない扱い
  1. 外国の保険提供者と彼らのサービスを、日本の簡保とは異なりかつ不利なやり方
    で扱う、問題となる方策は、簡保にとって有利になるよう競争条件を改造してい
    る。
   a. 簡易生命保険法第3条
   b. 保険業法第265-3条、第265-33条及び第265-34条
   c. 日本郵政公社法第37条
   d. 保険業法第75条
   e. 日本郵政公社法第19条
   f. 簡易生命保険法の第101-1条と日本郵政公社法の第19-8条
   g. 保険業法の全体
  2. 日本における他の国内生命保険会社は、等しく、簡保よりも好ましくない扱いを
    受けている実態は、GATS第XIV条の目的に照らして無関係である。
  3.  日本政府による差別する意図は無関係である。
  4. 実際の影響は、確定する必要はない。
 F.問題となる日本の処置は、GATSの規律(disciolines)による一定の方策を免れる
   GATSの条項の何れにも該当しない。  
  1. ここで問題とする処置は、GATS第XIV条で規定する「一般的例外」に入らない。
  2. 保険における日本の処置は、許容される「賢明な処置」として言い訳できない。
   a. GATSの目的における「賢明な処置」の範囲はハッキリしないけれど、ここで
     問題とする処置の幾つかは、明確に賢明な性格のものではない。
    i.  発展する国際基準−−−組織的なリスク(systemic risk)からの保護
    ii. 「賢明な」対消費者保護、市場のディスクロージャ及び他の規制の形
    iii. ここで問題となる日本の処置の全ては、「賢明」ではない
     a) 全体として日本郵政/簡保のシステムは「賢明ではない」
     b) 簡保への税金免除
     c) 保険契約者の保証
     d) 日本郵政は他の事業を営める
     e) 民間部門における保険販売陣への制約
     f). 保険業法に基づく金融庁の監督規制は、民間の保険部門のみをカバーし
       ている 
      b. メンバー国がGATSの約束を回避する手段として、賢明な処置を遵奉しない
     手段を利用して、賢明さを切り取ることは認められない。
   c. 日本は、約束を予定した時に、「賢明な」例外としてここで問題となっている処
     置を何も表明しなかった。
   d. アメリカは、金融サービスに関する付属文書の第3章に基づく日本の処置の何
     れも認識していない。
IV.結論
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○ 保険市場について思う(その11)

 何時の世でも、世の中は昔と比べて悪くなったと感じるのが常であると、人々は言う。
最近の報道による保険金不払い問題を見ると、人々はその様に感じるだろう。しかし賢人
がいて、悪くなっているのを客観的に公正に判断してくれるのなら良いのだが。
 11/18日付の日経紙「不払いの現場:下」によると、損保代理店の現場も混乱して、不払
いの事例を発生しているようだ。
 12/3日付の産経紙によると、金融庁は早期決着を迫ろうとして、保険金不払いの再報
告を求め、その内容を異例の公開するという。金融機関からの報告内容は原則として非公
開で、今回の措置は極めて異例だ。私が大蔵省の検査部長の時代は非公開だった。
 金融庁は、依然として保険金支払い漏れの事件を追及している。新聞記事もそれをホロ
ーしている。この様な状態では、消費者の保険会社への不信感は残念ながら当分収まりそ
うもない。どうも金融庁の検査局が張り切っているようだ。
 この時期に、週刊ダイヤモンド「医療保険に気をつけろ」(12/9日号)が販売された。そ
の中身は「徹底解明!こんなとき保険金は出るのか」、「医療保険52商品ランキング」、「誰
でも入れる保険の落とし穴」と表紙に大きく出ている。
 保険金の落とし穴編として、手術給付金に関するトラブルが記載されてる。手術給付金
表は1987年に作られて以来改訂されておらず、最新手術に対応していないという問題点
が指摘されている。医学の進歩で手術は88種類から枝分かれして1万種類以上にもなる。
手術名が全て公開されていないので、心配ならば保険会社に問い合わせてみることだ、と
記している。問題は、契約時の約款に基づいて判断されるため、古い契約では、数種類の
手術しか記載されていないことも多いという。最新はおろか現在の手術にすら対応できて
いないケースもあるという。最新の放射線治療が入っているのかどうか分からない。これ
に対する注意は、一度、約款を見てほしいという。こんな契約では、トラブルは収まるど
ころか、永久に続くと思う。
 手術給付金の例だけでなく、新商品で支給条件を緩和した時は、旧契約にも遡及適用さ
せるよう、金融庁は認可の条件にし、旧契約者にその旨を通知させるとすべきである。こ
の様な措置は、手術給付金の例だけではない。他の給付についても、告知義務違反につい
ても同様である。
 問題は、死亡保険とは異なり、保険給付の種類が多岐多様にわたり、また医療技術が進
歩していることにある。金融庁は保険約款を審査する際には、不払いの原因にならないよ
う、相当の注意を払うことが肝要である。
 ダイヤモンドの記事は、一般の消費者にとって難解であり、これを勉強すれば、問題を
回避できると思われない。望みたいことは、もっとシンプルで、一般に理解しやすい契約
条件のものにするよう、業界も金融庁も努力すべきである。  いろいろな点で改善すべき事項が多く残されているようだ。営業職員や販売代理店に口 頭で病状を告げただけでは駄目であるのも一つである。この点も要改善項目とすべきであ る。昔から、告知受領権を営業職員に与えるか否かは、問題になっているからがある。
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○ ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月):その2

 簡保の持つ特別な権利は、GATSに基づく日本のWTOへの義務に整合していない。
GATSのXVII:1条(国の処理)には、「各メンバーは、他の国のサービス及びサービス提
供者に対し、サービスの提供に影響を与える全ての手段に関して、自国のサービス提供者
に一致するよりも低くない水準で対応しなくてはならない」と定めている。日本政府は、
日本郵政の生命保険事業である簡保に対し、簡保に有利なように、日本の保険市場におけ
る競争の状態を調整して、外国の保険サービスの提供者よりも、より有利な扱いを実施し
た。その結果日本は、GATSのXVII条に違反して、外国の保険提供書に対する国の適
用を拡大した。
 ・ 日本郵政は政府の権限を行使するに際して、GATSの定める条項に従って、問題
   になる施策がGATSのXVII条を完全に遵守するよう、保険のサービスを提供し
   ないこと。
 ・ 日本における他の保険提供者が等しく不利な扱いを受けているという事実は、国内
   の一つの提供者(即ち簡保)が外国の提供者への処遇よりも、より有利な処遇を受け
   ている限り、国内における処遇の決定に関する問題であるとは云えない。
 ・ 国内における処遇を決定するに当たり、実際に悪影響がないことを論証する必要が
   ある。
 ・ 日本政府の差別待遇する意図又はその欠如は、GATSの国における処理の決定に
   関連性がない。


  簡保の持つ特別な権利は賢明なものではない(Kampo's special privileges are not   
  "prudential")
GATSの金融サービスに関する添付文書(Annex on Financial Services)では、メンバー
国はGATSの公約について別の方法では整合しない賢明な目的のために方策を・・・・国に
よる扱いを含め、実施できることを規定している。これは一般に、賢明なcarve-outと呼
ばれるものである。GATSの目的のため、「賢明な:prudential」という用語は、保険監
督官国際会議(International Association of Insurance Supervisors)のような多国間の議論の場
において賢明な規制の範囲や性格を扱う金融の監督官や専門家が使用されるように解釈さ
れるだろう。そこで用語「賢明な」は、銀行で見られるような組織的なリスク(systemic 
risk)、資本の逃避(capital flight)、及び一つ又は複数の大手金融機関が破綻することによ
り引き起こされるであろう破壊的な波紋による影響から金融システムを護るに必要な手段
ついて指すときに用いられる。その基準によると、問題となる方策のどれも「賢明な」性質
のものではなく、また幾つかの方策は、それが組織的なリスクから護ると云うよりも、増
大させるが故に、間違いなく「非賢明な」ものである。
 ・ 簡保の特権は、日本における大手保険提供者7社の破綻を含め、民間保険部門の破
   綻の根底に横たわる大きな要因であった。また従って組織的なリスクから護ると云
   うよりも増大させるものである。簡保の持つ特権により、保険契約者に高い予定利
   率を提供できた。それに民間部門の提供者が競争上の理由から引きずられ、結局は、
   七つの会社の破綻をもたらした。簡保の特権は、組織的なリスクを緩和するよりも、
   引き続きそのリスクに寄与し続けた。
 ・ 税金の免除及び他の事業を営む権利のような簡保に与えられた多くの特権は、日本
   における監督規制の枠組みの状態において「賢明な」ものと見なされるべきではな
   い。
  結論
 日本郵政において、民間保険部門と直接競合する新しい生命保険商品の導入は、日本が
その経済において根本的な構造改革を達成しようとする努力とは整合しないし、また傷つ
けるものである。また日本の保険における法制上及び規制上の枠組みは、WTOの約束と
整合していないという実態を強調するものである。
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○ 保険市場について思う(その10)

 生保・損保を通じて、保険業界の抱える問題点がしばしばマスコミに掲載され、消費者
からの疑惑・反感を募らせ、それが業績の悪化につながっている。そのあおりを誇大視す
る形か、金融庁の強硬姿勢が目立ち、損保各社は改善策に大わらわである記事になってい
る。ケースによっては、社長の首がかかっているからだ。
 幾つか取り上げると、11/24日付の日経紙に、「損保、契約時から問題」という記事が掲
載されていた。内容は、@火災保険料を過大設定、A医療保険で病歴告知で不適切対応、
である。@は、極めて単純なケースで、代理店の職員が、付保された物件を見ないで契約
している話である。またAは、代理店の職員が、「正直に告知すると保険に加入できませ
んよ」と話すなど、不適切な対応をしていた疑惑があるという。
 12/03日付の産経紙には、「損保不払い再報告−−内容異例の公開へ」という記事が掲載
されていた。
 また業界紙の保険毎日の10/12日付の「うず」に、「損保の商品単純化宣言」という時事評
論が掲載それていた。これによると、ある会社の個人向け商品が74、主契約に付ける特
約は1700に上るという。全く、私達の時代には、想像も付かない異常な状態であるとし
か云いようがない。これを是正する力は、金融庁しかない。
 さらに、11/29日付の日経金融紙には、金融担当相山本有二の談話「保険、存続をかけ再
編も・・・・不払い問題、根は深い」が掲載されている。その中で、山本金融担当相は「護送船
団の時代は保険商品は全て同じだったが、今は競争をしようという時代、商品説明や支払
いサービスの仕方が一昔前と同じでいいはずがない。不具合が生じていれば早く業務を適
正化し、健全化してもらわねばならない」と判断している。そういう面も大きいが、それ
だけではないだろう、と私は気になる。
 この様な状況では、代理店の職員の教育水準のレベルが問われるべきであり、それを無
視して、保険市場における安易な商品開発競争が、この様に異常な商品構成をもたらした
のであろう。金融庁は、この問題を起こし易い状態を全て自己責任で解決せよと眺めてい
るだけでなく、例えば、猛烈な数に上る特約の申請をそのまま承認するのではなく、申請
の段階で、消費者にとって分かり易い商品に簡素化させ、また保険事故が発生すれば保険
給付の請求のチェック・リストを交付するとか、代理店の職員の教育水準の向上策を求め
るとかの指導を、等々の指導を併せて行うべきであったのではないか。
 簡保の話を読むと、もしかするとこの勢いを加速化したのは、実は簡保であったかも知
れないと想像する。これが間違っていれば幸いである。
 「悪貨」と「良貨」の話を先に書いたが、複雑多岐な特約を乱発するしているのは、悪貨で
あることは間違いないと考えるが、消費者の高齢化の時代に即した経営・行政が求められ
るのではなかろうか。
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○ ACLI資料:拡大する日本の簡保事業(2004年3月)

   拡大する日本の簡保事業
  −日本における経済改革とGATSとの矛盾−
                                        2004年3月 ACLI
    概要
 日本郵政公社は、日本において郵便事業を営み、また同時に生命保険事業(簡保)と貯金
事業(郵貯)を営み、それにより全体として、世界で最大の金融機関となっている。2003
年の後半になって、日本郵政公社は、民間生命保険事業と直接競合する新しい保険商品を
導入することに、規制上の許可が与えられた。新商品の許可は、日本において経済改革を
目指す者達と社説から、日本、アメリカ及びカナダにおける生命保険協会から、またアメ
リカ政府とEUとから批判の嵐を引き起こした。日本郵政の新商品への激怒は、日本郵政
が享受している国内と海外の生命保険会社と競争する上で大きな優位が与えられている特
別の優位性を享受し、また日本における規制上の枠組みを反映している。日本郵政の改革
は、小泉首相の経済改革において中心課題であった。
 しかしながら、日本郵政による保険商品提供の拡大は、簡保による競争圧力により既に
著しく弱体化されている民間保険部門が浸食される脅威を与える。新商品の提供は、日本
におけるビックバンという金融改革の努力に対し、日本における開放された公平でグロー
バルな市場の創出に向けて現在までの展開に脅威を与える。また同時にそれは、GATS
(General Agreemen on Trade in Services)に基づく日本政府のWTOの義務に矛盾しており、
日本郵政への特権を拡大する日本の政策であることに留意したい。
   日本郵政は、法令上特別な特典を享受している。
日本郵政による簡保の運営は、金融庁(FSA)の保険業法と他の法令に基づく、総合的で
ルールに基づく金融規制システムから除外されている。このことは、日本政府による健全
な規制の環境を浸食し、また簡保は、民間保険部門とは異なる、しかもより優遇された日
本の法律により、一連の特権を享受している。
 ・ 政府保証/保険契約者保証基金の免除。
   日本郵政の簡保の生命保険契約は、日本政府から無条件で100%の保証を受けてい
   る。民間の保険会社はこれに相当する保証を受けておらず、また保険契約者保護機
   構(Life Insutance Policyholder Protection Corporation)による保険契約者保護資金への
   かなりな支払いを行わなければならない。簡保はこの要件から除外されており、ま
   た保険契約者保護資金への何等の支払いをしていない。
 ・ 他の事業を営む権限
   民間の保険提供者とは異なり、日本郵政は、郵便の配達や預金受入業務を含む、保
   険とは関係のない業務を営む法令上の権限を享受している。日本における23,638 
   の郵便局における保険商品の窓販が、コストと販売の大きな要であり、簡保に優位
   性を与えている。
 ・ 税金の免除
   日本郵政は、税金の殆どの支払から、特別の法律により免除されている。それは民
   間の生命保険会社に与えられていない特権である。簡保が享受している税金の免除
   は、2002までの10年間で2.41兆円と推計される。
 ・ 他の法令における優位性
   日本郵政は、職員の登録要件を免れており、また異なるか緩和された規制上の監視、
   報告、及びディスクロージャ要件を含め、多くの他の規制上の優位性を享受してい
   る。
   日本郵政は、競争を歪めるやり方で、外国の保険業者を含む民間の保険業者と競
   している。
 簡保は、民間業者による保険カバレッジにおけるギャップを補完するため、1916年に その当時民間部門が提供していなかった、少額、月払い、無審査の契約を提供するよう創 設された。しかしながら民間業者は、ずっと以前から、これらの契約及び他の全ての種類 のカバレッジを提供しており、そして簡保を創設する当初の根拠はもはや存在しない。矛 盾したことに、簡保は民間業者と競争して、その商品の種類を拡大し、保険金額の限度を 次第に引き上げてきた。日本郵政が簡保の新しい商品を導入する前に、恐らく国会の承認 が必要であると思われてきたが、日本郵政はこの要件を回避する方法として、生命保険契 約に健康、傷害、事故及び他の種類の特約を付加するやり方を見つけた。簡保の最も最新 の商品の導入は、定額定期の終身保障であり、国会の承認を得ることなく、内閣府の担当 大臣(MPHPT)による承認を得て実施された。
 1997年以降における生命保険会社7社の破綻(インソルベンシー)の原因をみると、簡
保との競争が重要な要因となっていており、また民間部門への簡保の競争上の圧力が激し
くなってきた。簡保が2003年に公社に改革されたことは、簡保が持つ特権を実質的に減
少させることはなかった。しかし同時に、その運営に課せられていた規制上の制約条件は
取り除かれ、民間部門に対する競争上の優位性が実質的に強化された。現在簡保は、その
業務と事業とを拡大すべく、特に民間部門にとって利益が上がると証明された市場分野に
おいて、大きな勧誘を開始している。その新しい定額定期である終身保険商品は、民間部
門で販売した契約全体の約20%を占める市場を目標にしており、また簡保は現在の「アク
ション・プラン」は、医療特約の販売を増強することを目標にしている。医療保険は、外
国会社が伝統的に目立ってきた分野である。政府の特権がもたらした、抑制されない簡保
の複合的な競争上の優位性は、これら及び他の民間部門市場における競争を著しく攪乱し
ている。
    政策上の懸念(Policy Concerns)
 日本の民間部門の保険市場において、競争力を持つ簡保の増大する存在は、日本の国内
政策の観点から、またその抱える国際関係の観点から、公共の政策上の懸念とされる問題
である。
  民間部門に与える簡保の増大する競争上の圧力は、経済改革の努力を弱める
  (Kampo's increasing competitive pressure on the private sector undermines economic    reform efforts)
 小泉純一郎首相は、日本郵政の民営化を、彼の経済改革における重要な位置に置いた。 それは「民でできることは民で」というスローガンにより象徴された、経済における政府の 役割を縮小することを強調している。最近における民間の保険供給者と直接競合する簡保 の新商品にMPHPTが承認した決定は、首相の改革プログラムとその目的に全く整合して いない。
 簡保による拡大された商品の提供は、金融部門の構造改革におけるアメリカ対日本の相
互理解に整合していない。十年以上にわたってアメリカと日本は、アメリカの金融サービ
スの提供者が市場への参入を容易にするため、及び日本経済の成長を回復するために必要
な改革を実施することを目的として、日本における金融部門の改革を二国間で議論してき
た。これらの議論において、アメリカと日本は、金融部門における仲介(intermediation)の
範囲を次第に拡大するよう日本政府は努めるべきである、との広い相互理解に到達した。
この努力の一つとして、アメリカは日本に対し、民間部門における保険会社が既に提供し
ている分野に簡保がその商品を拡大するのを禁止するよう、絶えず主張し、また過去にお
いて日本はアメリカ政府に対し簡保がそうする計画は現在の所ないと保証してきた。最近
において二国間の話し合いの前日に、MPHPTが簡保の新商品の提供を承認したことは、
アメリカ政府が日本に対し、その承認は事実上アメリカの長い間の政策上の懸念から非難
に値する日本の一方的な行為であると明確に指摘した。

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