最近読んだニュースから(2002年12月分)  



雑感(2002/12/22更新)
Tiner報告書(その3の2)(2002/12/22更新)
金融庁の求人広告
(2002/12/15更新) Tiner報告書(その3の1)(2002/12/15更新)
ショータイム
(2002/12/8更新)
Tiner報告書(その2の2)
(2002/12/8更新)
クォ・バディス
(2002/12/1更新)
Tiner報告書(その2の1)
(2002/12/1更新)


○ 雑感

 ソルベンシー問題を抱える保険業界にとって2002年も押し詰まった。新年度の明るい
予想は到底たてられない状況である。
 このHPのメンテは、今回を以てお終いにし、新年は1/5日から開始する予定である。
私のHPは、これで満四年を経過したことになり、年齢のことを考えると大病に罹らなけ
れば、少なくとも後一年は続けたいと希望している。
 いま続けているTiner報告書は、今後、第4章「機敏な保険規制」、第5章「今後の展開」
で完結するが、その後どの報告書等に取りかかるかで迷っている。英下院財務委員会の中
間報告書で宿題になっていたFSAからの報告書Baird Reportは、Tiner報告書のベースに
なっているから興味あるし、また英下院財務委員会のエクイタブル破綻に関する調査報告
書が完結して発表されている。さらに保険を含む貯蓄産業の改革を扱った著名なSandler
報告書も興味深いが、相当に大部であるので躊躇している。その他に数多くのConsultation 
Paperがあるようだ。これらは互いに関連しているから、英国における保険行政の意欲的
な改革を追跡しようとすれば、見逃せない。改革を必要としている変化の時代になったの
だ。
 英国の問題は、まだまだ取りかかったばかりであるが、読んでいて痛感するのは、我が
国において保険行政を担当している人達に是非とも読んでいただいて、執務の参考にして
行政の原則を確立して貰いたいことである。私はここ20年ほど前から、アメリカの保険
行政を追跡していたが、最近は英国の動きに注目している。英国もまたアメリカの監督制
度における行政政策の樹立過程は我が国とは異なるけれど、目指すところは同じである。
しかしどの様な手法で政策を樹立するかを考えると、金融審と、その分科会という手法を
再検討すべきではないかと考える。
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○ Tiner報告書(その3の2)

   生命保険会社におけるアクチュアリーの役割
3.20 生命保険会社のガバナンスにおけるアポィンテド・アクチュアリーの役割につい
て、改革のための多数の選択肢に対し、我々は2002年3月に意見を求めた。4月に、我
々は受け取った回答と確認した問題を解決するためにどの様に提案するかをFeedback 
Statementとして発表した。(注)
(注)Future role of actuaries in the governance of life insurers(May 2002) 
3.21 我々が得た結論は、アポィンテド・アクチュアリーに対し現在求めている責任によ
り、組織の管理機構をして自分たちが到達した意見よりもアクチュアリーの見解にあまり
にも大きく信頼していることであった。管理機構は会社の運営に関係する重要な全ての問
題について自らの意志決定を行うことが非常に重要であり、勿論一方では、適切なアクチ
ュアリアルのアドバイスを取り入れてである。従って、アクチュアリーに関する我々の要
件を改訂して、管理機構の果たす責任を強調することが望ましいと考える。
3.22 新しく要請された機能−アクチュアリアル機能−を導入して、管理機構に対しアク
チュアリアルなアドバイスを、特に保険契約者債務の評価において提供する責任を有する
人達に適用するよう提案した。SPU4に基づくアポィンテド・アクチュアリーの役割は、
有配当事業における裁量の適用という重要な分野に重点を置くよう狭められるだろう。無
配当事業にアポィンテド・アクチュアリーを置く要件は、最早廃止されよう。
3.23 我々は今年の後半に、アクチュアリーの将来における役割について(及び利益相反
とアクチュアリアル業務への独立な審査を含む、幾つかの関連する問題について)、我々
の詳細な提案を提示するConsultation Paperを発表したい。
   有配当ファンドのガバナンス
3.24 有配当への再吟味の一環として、有配当ファンドのガバナンス取決めの改革におけ
る選択肢について、顧客の公平な処遇について全ての関係者に大きな信頼を与えるために、
意見の聴取を行った。我々は強化されたガバナンス構造には下記のことを備えるべきであ
るとの結論を下した。
・保険会社が保有する裁量の性格と範囲に大きな透明性を。使用るであろうスムージング
 の利用とパラメーターとを含む。
・有配当ファンドの運営において保険契約者の権利(interests)を説明するやり方の改善。
・裁量を行うにあたり、取締役は競合する権利の均衡を図り、かつ顧客が公平に処遇され
 るよう確保する責任を果たしている、と証明する明確なメカニズム。
3.25 我々は年が切り替わる頃に、有配当ファンドのガバナンスについて、下記の提案を
付けたConsultation Paperの発表を計画している。
・有配当事業を営む会社は、有配当ファンドに適用するPrinciples and Practices of Financial 
 Management(PPFM)を明確にし公表する。
・整合性の取れた基準で完結できる裁量の分野での、適切な枠組みについてのガイダンス。
・ファンドがPPFMに則って管理されていると取締役が確認して年次ごとに発表する文
 書の様式。これを販売時点での年次文書とともに保険契約者に送付し、監督上の報告書
 の中に含まれる。
3.26 また同時に我々は、会社が有配当ファンドのガバナンス構造が下記の事項を確保す
るための要件について、意見を聴取する予定である。
・取締役が裁量を行使する際に、保険契約者の権利を適切に配慮していることの確認を提
 示する。
・異なる保険契約者のグループと世代間の、また(株式会社の場合は保険契約者と株主の
 間の)競合する利益が、PPFMと顧客を公平に扱うよう会社に課せられる要件に従って
 管理されていることを取締役が確認する方法に透明性を確保する。
・会社がPPFMにコンプライアンスしていることを独立に評価する方式を規定する。
3.27 また同時に我々は、会社に対し有配当事業に関して顧客を公平な手段で扱う(この
文脈の中で「保険契約者の合理的期待」と知られている原則を含む)義務をもっと明確にさ
せるよう設計したガイダンスについて意見を聴取することを検討している。このガイダン
スは、上で述べたこの分野における裁量の行使への提案した新しい要件への有益な補完に
なろう。
   金融のエンジニアリング
3.27 「金融のエンジニアリング」とは、保険会社においてファイナンシング又は規制上
の報告目的、若しくはその両方で現在利用されている一定種類の取り決め(注)を包括する
用語である。この取り決めは、報告された利益を改善し、又は時には平準化するか、又は
報告された貸借対照表を改善するために利用されている。その利用は、もし保険の会計標
準が時価会計基準(fair value basis)に移行し、もっとリスク・センシティブなヨーロッパ
における慎重な制度が導入れたなら、著しく抑制されるであろう。
 (注)財務再保険、contingent loan及び同様な目的乃至効果を持つ他の金融上の取り決め。
3.29 金融のエンジニアリングは、
・会社のソルベンシー状態を強化し(例えば、金融再保険契約において関係のない相手方
 に本当で重要なリスクの移転がある場合)、かつ/又は
・生命保険会社の技術的準備金の中に、過度に慎重なeconomic reserves(capital)を利用す
る、
上で有効な方法となる。
3.30 その利用が当該会社の財務状態を曖昧にするか、又は消費者又は監督官をミスリー
ドさせるよう設計されているなら懸念が生じる。アクチュアリアルな又は他の専門的な助
言に基づいて決定されているなら、金融のエンジニアリングの適正な行為の責任は、保険
会社を支配している組織及び上席経営陣に存在する。
3.31 このことを敷衍しかつ補強するために、保険会社による金融エンジニアリングの利
用に関する新しいガイドラインを保険会社と友愛組合への暫定の慎重なルールブックに追
加すべく、現在意見を聴取している。これは、規制上のソルベンシー目的のために行う如
何なる金融エンジニアリング及びクレジットの目的及び効果について、経営陣が自ら果た
すことの重要性を強調している。意見聴取の結果により、我々はこのガイダンスを慎重な
ルールブック(PSB)の中に組み込むことを予定している。
   システムと管理
3.32 保険会社と友愛組合のための暫定の慎重なルールブックとロイズのルールブック
は、他の種類の会社への暫定の慎重なルールブックよりも、システムと管理のある面につ
いては、詳細ではないガイダンスを含んでいる。従って、保険会社におけるシステムと管
理の7っの面について追加のガイダンスへの意見聴取を行った。
・高水準の管理(支配する組織の構成と役割、経営陣への責任の配分と定義、及び監査委
 員会を含む)。
・リスク評価機能の責任。
・法的リスクの確認と軽減。
・内部監査(その強制力と報告経路、監査計画及び報告、及びアウトソーシングを含む)。
・事業における諸リスクを確認し、測定し、管理するに必要な経営情報。
・アウトソーシング(提供者と検討し契約する問題、サービス水準の協定を含む)。
・会社がその所属するグループの他の社との関係から生じる諸リスク。
3.33 これらは、我々の見解によると、保険業界への追加ガイダンスが有用となる、如何
なる会社の運営における重要な構成要素でありまた分野でもある。我々はこれらを2003
年の初めに、PSBにおけるシステムと管理の正当なガイダンスとして一新されるように
なると期待している。
3.34 我々は同時に、下記の問題について意見の聴取を行った。
・運用リスクの取扱システムと管理。
・運用リスクを確認し、評価し、監視して管理する。
・会社の運用リスクに関する政策の内容。
3.35 我々は今、運用リスクのガイダンスの中の幾つかを、PSBではなく、SYSCの中に
位置すべきではないかと提案している。このことは、このガイダンスが会社の事業行為に
関連し、同時に彼等の慎重性と責任に関連することを明確にすることを意図している。
      財務情報と他のデーターの報告
3.36 2001年11月の報告書において、保険会社の監督官への報告書と他の報告書につい
て、我々は多数の改善を行ったか又は提案したと記した。その目的は、会社事業の重要な
点に、より焦点を当て、より進歩的で、かつ現在のものよりコンパクトな報告書を作り出
すことにあった。
3.37 この作業は、数段階に分けて実施されている。
・2001年12月1日から実施された改正。即ち、2001年末の報告書において、グループの
 ソルベンシーと関係者との取引に関する新しいデーターを含める。
・監督官への報告における暫定的な改善で2002年か2003年の報告書から実施される。保
 険会社、友愛組合及び個々の有配当ファンドにおける金融エンジニアリングの影響を明
 確なディスクロージャーと、損害保険部門における金融再保険のもっと詳細なディスク
 ロージャーを含む。
・監督官への報告について基本的な再検討。有配当ファンドに関する情報を更に改善する
 ことを含む。
3.38 この基本的な再検討に関する討議文書は、2002年4月に発表した(注)。この文書の
対象範囲は、保険よりも広く、
・FSMAに基づく我々の新しい法令上の目標を反映し、
・異なる部門で事業を行っている会社の報告要件に見られる、歴史的な理由から生じてい
 る不必要な差異を無くなし、
・会社のスマートな規制の目的を支援する。リスク・ベースドな枠組みの適用を含める
よう求めて、報告への全面的な改革をカバーしている。
 (注)The new regulatory reporting environment(May 2002)
3.39 この討議文書の第二部は、保険に焦点を当て、新しい報告の環境を構築する上で様
々なオプションを考案していた。我々は、現在の報告書により求められているよりも少な
いデーターをディスクロージャーするよう求めることになるが、収集する情報の有用性を
改善する目的を果たすと予想している。同時に将来において、保険会社が消費者と市場の
アナリストに公開するものと、我々に対し非公開で報告するものとの間に、もっと区分さ
れたものになるであろう。同時に送付される情報の期限と頻度は再検討されよう。
3.40 新しい報告制度の開発と実施に当たっては、計画されている会計基準の変革とヨー
ロッパにおける諸要求を考慮に入れることになろう。しかしながら、国際的な枠組みの改
革に関係する全ての課題が解決するまで、改革を延期するのは適切ではないだろう。我々
は2003年の半ばに、保険の報告への改革について、我々の検討文書に対し受け取った回
答を考慮した詳細な協議文書を発表することを予定している。
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○ 金融庁の求人広告

 02/12/15日付の日経紙に、金融庁の保険監督要員募集が掲載されていた。中身は、保険
・年金の数理業務の精通者(日本アクチュアリー会の正会員又は、これと同等の保険・年
金数理に関する専門知識を有する者)と再保険業務に関する専門知識を有する者を募集す
るものである。採用時期は平成15年3月頃からとある。
 大変遅ればせながら、金融庁にアクチュアリー不在という後進国並の状態を無くなそう
とする努力の意味で、良いことだと思う。金融庁にアクチュアリー不在の状態は過去20
年以上も続いていた。その結果どの様に異常な事態を招いてきたかは明白である。適格な
アクチュアリーは、少なくとも3名乃至5名は必要であろう。保険数理を用いて会社のソ
ルベンシーを分析するには、保険商品の多様化と保険会社数が大幅に増加してきたことに
より、リスクの種類・規模・範囲が私が担当していた過去とは比べようもないほどになっ
たこと、更にグローバリゼーションの時代になってきたから各国の悪い商品が進入しない
よう、また第三の分野の保険商品が主流になってきたから、リスクの性格が伝統的な商品
とは異なる商品が生まれてきたことから、リスク分析の熟練が必要になってきた。
 更に、ガバメント・アクチュアリーに対し求められる素質は、カンパニー・アクチュア
リーとは異なり、保険契約者の保護と公平な処遇の追求の姿勢が第一に求められることで
ある(注)。この点を忘れて、単に数理業務に精通していることだけではダメである。そう
は言っても、ゼロよりは増しだと言うことで当面は満足しろということか。採用者にその
気持ちがなければ言うだけ無駄だということか。英国における保険規制改革の推進を見て
も、カンパニー・アクチュアリー、特にアポィンテド・アマチュアリーにおける利益相反
の排除の要請を見ると分かるであろう。我が国において、そんな要請は聞いたことがない
のは如何なものか。
 (注)一例を挙げようか。最近破綻した千代田生命の処理は、セーフティネットからの資
  金援助を得なかったから成功だという評価を業界から得ているようだ。これは更生特
  例法の整備に一因がある。しかし法的手続きは整備されたのはよいけれど、処理の具
  体的な中身が、契約者保護を十分に考慮しているか、そのための処理ガイドラインを
  どう整備するかが行政上における本質的な問題として残っている。その例として契約
  者配当の問題を見てみよう。契約者には通常の契約者配当と不動産売却益を原資にし
  た特別配当があるようだ。しかし、通常配当は無形資産(営業権など)の償却が完了し、
  標準責任準備金の積立が達成してから実施されるという。配当の金額は各事業年度の
  年間事業収益のうち対象となる契約が寄与した部分の内25%を上限として取締役会
  の裁量で決められるという極めて厳しい条件が付いている。これほど契約者の利益を
  著しく侵害したやり方はないと考える。これを金融庁が(暗黙裏にか?)了承したとす
  れば、単にガバメント・アクチュアリーが不在であったことでは言い訳にならない。
  必要なら法令を改正したらよい。このままだと金融庁は不適切な破綻処理を追認した
  と言われよう。
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○ Tiner報告書(その3の1)

      第3章 十分な財務資源を持ち健全に経営された保険会社
   はじめに
3.1 この章は、我々が保険会社に対し健全に経営し、かつ十分な財務資源を持つように
要求を強化した面での発展を記述する。
 下記は、2001年11月の報告書以降に行った主要な発議を浮き彫りしたものである。
財務のエンジニアリング
・生命保険会社と友愛組合(friendly society)がそのソルベンシー・マージンの算定にイン
 プリシットな項目(主として将来の利益)を含めたいと求めるときに、放棄(waiver)を与
 える明確な基準。
・財務のエンジニアリングへの規制上の新しい方法について意見聴取。
アクチュアリーの役割
・生命保険会社におけるアクチュアリーの役割の変更について意見聴取
有配当ファンド
・有配当事業について、ガバナンスを含む改革の提案を公表。
システムと管理
・保険会社におけるシステムと管理について追加するガイダンスを意見聴取。
・運営リスクについて改訂し強化するガイダンスを意見聴取。
統合された慎重性についてのルールブック(Integrated Prudential sourcebook)
・会社に対する個別の資本の十分さの基準をどの様に決めるかの意見聴取。
・昨年発表し、また幾つかの追加資料について協議した統合された慎重性についてのルー
 ルブックの草案に対するフィードバックを公表。
規制上の報告
・規制上の報告に関する新しい方式についての検討文書を公表。
金銭のペナルティ
・我々が課した金銭のペナルティを保険会社(相互会社を除く)が彼等の長期保険ファンド
 から支払うのを防止するルールについて意見聴取。 
   大要
  3.2 規制を受ける全ての会社に我々が課している要求は、彼等が健全に経営しそして十
  分な資源を持つよう求めている。我々のHandbook of Rules and Guidance('Handbook'という)
  の第1部は、会社、及びこれらの会社において一定の地位を占めている者が、理解して満
  たすと我々が期待している高水準の基準を提示している。この文脈で特に重要なものは、
  Principles for Businesses(PRIN)、Statements of Principle and Code of   Practice for Approved 
  Persons、及びSenior Management Arrangements、Systems and Controls(SYSC)である。これ
  らとともに、商品とサービスの革新を促進する弾力的な規制方法が支援する。
3.3 Handbookの他の部には、ビジネス・スタンダード、規制上の手続き及び是正(redress)
  についての細部を含んでいる。我々の2001年11月の報告書において、保険会社について
  我々が相続した詳細な制度が、それらの会社におけるリスクの性質、多様性及び規模を十
  分に考慮する点で不十分であったことを説明した。それを
  ・ソルベンシー要件が決められている基準を改善する、
  ・会社の経営陣に対し、適切なシステムと管理とを維持する上での明確な責任を課す、
  ・公衆と規制当局への報告を改善する、
  ことにより強化したいと、我々は述べた。
3.4 これらの改革の多くを徹底するには時間がかかるであろう、と我々は明らかにした。
  というのは、それらの一部分は保険会社に対するEUの指令と国際会計基準に関係するか
  らである。また同時に我々は、我々の要件への変更を提案する際に、国際競争力への配慮
  と費用・便益分析(cost benefit analysis)とを考慮するよう、我々は求められている。それ
  にも係わらず、現行の制度を改善し、将来に向けてより基本的な改革への基礎を築く上で、
  良い進歩が行われてきた。
      十分な財務資源
     国際的な枠組み
  3.5 保険会社に対する我々の慎重性の要件は、関連するEuropean insurance directivesの背
  景には逆らっていると理解しなければならない。我々の見解によれば、それは保険事業が
  受けているリスクを最早十分には捉えていない。更に、英国における保険規制上の報告の
  会計制度(それはディレクティブにより強制されている)は、資産と負債の両方を評価する
  方法に基礎を置いており、それは保険会社の現実的な財務状態の評価を困難にしている。
  また同時に現在、保険の会計は国際的に大きく多様化している。
3.6 European insurance directivesを新しくする必要があると一般的に合意されている。こ
  の改革を推進するため、我々はしばらくの間、他の全ての関係団体と積極的に作業を行っ
  てきた。それは二つの舞台で扱われた。
3.7 最初の段階−'Solvency I'−は終了し、その改訂された生保と損保のディレクティブは
  2002年3月に施行された(注)。これらは2004年1月1日以降に始まる財務年度から適用
  しなくてはならない。我々は最近、実施する上での一般的な手引きを説明し、今年の後半
  にルールと移行上の条項について草案を含むConsultation Paperを発表するよう計画して
  いる。(また同時に我々は、金融コングロマリットと純粋の保険グループの両方に影響す
  る、Financial Groups Directiveを2005年に施行するため、来年に協議する。)
   (注)Directive 2002/12/EC for Life Assurance Undertakings
  Directive 2002/12/EC for Non-Life Insurance Undertakings
3.8 我々は保険のディレクティブを改革する、第二の、より抜本的な段階−'Solvency II'
  −へと作業は進行している。ヨーロッパ委員会(EC)は、この作業が終わりしだい、ディ
  レクティブへの提案を提示した文書を発表するものと予想している。
3.9 International Accounting Standards Board(IASB)が保険に適用する国際会計基準の開発
  を進めている作業と、緊密な共同作業が必要である。ECはInternational Financial Reporting 
  Standardsに基づいて、2005年を目標に、リストした会社が連結会計を準備するよう目指
  している。保険契約について特定のInternational Financial Reporting Standardが一年か二年
  後に発表されて施行されたときに、更に重要な進歩が行われよう。
3.10 EU内で、金融サービス分野で、規制監督の構造に、効率性とアカゥンタビリィテ
  ィを強化する動きがある。その一部として、Lamfalussy報告書に従って証券部門で実施さ
  れた委員会構造に手本を置いて、保険部門にも導入する検討が始められている。改革され
  たConference of the Insurance Supervisory Authoritiesは、'Solvency II'の骨組みについてEC
  にアドバイスを提供する上で、価値ある役割を果たすことができる。
   統合された法規集(Integrated Prudential sourcebook)
  3.11 保険規制の国際的枠組みにおける変化を確実なものとするよう、我々は全面的に支
  持し、かつ積極的に貢献する。しかしながら一方で、我々の部門を横断する「統合された
  法規集(PSB)」の保険に関係する要素を、国際的な改革の方向に整合するように考えて、
  開発を急いでいる。PSBは、全ての会社に対し、彼等が経営している部門に関係なく、
  リスクベースドで弾力性を強くした基準を適用することになろう。それは関連する展開、
  特に改正されたBassel Accordが提案した慎重な規制への三本柱の手法(最低資本要件、個
  別の資本要件を含む監督の再検討、及び市場の規律)を考慮に入れることになろう。
3.12 保険に対する現行制度が弱体であることに鑑み、2004年に保険会社に対し(改正さ
  れたBassel Accordによりカバーされる部門に影響を与える変革に先駆けて)PSBを我々は
  実施したいと望んでいる。過渡的な準備(arrangement)として、一定の条項が適用されよう。
  リスクベースドの資本が特定の保険種類について市場の引受能力に課せられるというイン
  プリケーションに我々は注意し、また過渡的な準備を開発する上でそれらを考慮すること
  になろう。
3.13 2001年6月にPSBの第一次草案について意見を聞き、それについて受け取った多
  数のコメントに応えて2002年7月にFeedback Statementを発表した。一方では、PSBが
  実施されたときに、会社に対し個別の資本の十分性基準をどの様に設定されるかを含め、
  補完するConsultation Papersを我々は発表した。
3.14 2002年7月に、2002年6月の意見集約に起因する保険特有の問題についてのフィ
  ードバックを含め、それに下記の新しい提案を付け加えて、保険にだけ関係する文書を我
  々は発表した。
  ・再保険のエクスボージャーについてリスクの一方的な集中(conterparty concentration)を
   制限する。
  ・有配当保険を引き受けている生命保険会社の資本要件。自由裁量配当における公平な水
   準への資金準備に求められる追加金額を考量するよう我々は提案する。
3.15 この文書は同時に、これらの改訂を実施するためのタイムテーブルを最新化し、ま
  た下記を含む新しい提案についての意見聴取をしたいとの我々の意図を発表した。
  ・EUの最低基準を超える財務資源を保険会社が保持すべきである、との我々の現在の期
   待を形式化する高度の最低資本テスト。
  ・保険会社のための個別の資本十分性基準。
  ・会計基準における評価ルールの調整(alignment)(リストされた保険会社だけでなく全て
   に適用したい、と提案された新しい国際会計基準に我々は期待することをハッキリ示し
   ている)。
  ・許容されたリンクの制度(permitted links regime)の改革(ユニット・リンク事業に適用さ
   れる)。
3.16 現時点から2003年の中間までの間に、我々の提案の細部を示した多数のConsul- 
  tation Papersを発表したい。業界に対しこれらの改革を施行する前に、必要な準備、特に
  システムの調整を行うための十分な期間を我々は約束する。
     健全な経営
  3.17 我々の規制体制の基礎は、規制上の要件へのコンブライアンスを確保するための会
  社のガバナビリティ組織と上席経営陣の果たす責任である。この方法は、被規制会社の業
  務に従事する者の責任に関するFSMAの2(3)(b)条に規定する要件と整合している。原則
  3(注)に基づく経営陣の責任は、SYSCで拡充されており、Handbookの他の部分に反映
  している。
   (注)会社は、適切なリスク・マネジメント・システムにより、問題に責任を持ち効率的
    に処理するよう組織し管理するよう合理的な注意を払わなくてはならない。
3.18 取締役及び上席経営者は
  ・この分野における彼等の責任を理解していることを証明し、
  ・彼等が会社の行動をどの様に監視し監督しているかを表明し、かつ
  ・彼等のシステムと管理の弱点を是正するため、確認し、効果的な手段を取る
  ことができなければならない。
3.19 取締役会と上席経営陣の責任を我々は強調することが、保険会社の健全な経営のた
  めの明確な基準を設定する我々のやり方の中核になっている。特別にこれに関係する現在
  の発議は、下記の提案である。
  ・生命保険会社のガバナンスにおけるアクチュアリーの役割の改訂
  ・有配当ファンドへのガバナンスの枠組みの改訂
  ・会社がファイナンシャル・エンジニアリングをどう管理すべきかについての新しいガイ
   ダンス
  ・システムと管理について、及び運用リスクについのガイダンスの追加
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○ ショータイム

 12/6日の道路関係4公団民営化推進委員会の最終報告をめぐるどたばた劇は、まさに
テレビのワイドショー的な展開であった。私は、日本経済・社会が大きく変化しており、
従来のシステムを変えなくてはならない(即ち、構造改革)と考えているから、この際、田
中角栄氏の築いた路線は大きく方向転換する必要があるから、高速道路建設慎重派の答申
に賛成していた。しかし自民党の道路族の抵抗が見込まれ、また来年早々の総選挙が必至
と予想され、小泉降ろしの自民党の動きから、答申の処理は不透明な状態で2003年は推
移するだろう。日本の将来は危うい。
 膨大な借金をかかえる道路公団等が、政治家の主張するように「必要だと」認定する高速
道路を今後とも建設し続けるなら、道路公団等が破綻せずに健全な経営を続けられるとい
う証明が不可能であるから、従来の路線を継続して良いとは絶対に思わない。しかも真理
は中間にある、と言うこれまでの経験則が仮に成立するとしても、中道を進むと言うこと
は実際に至難の業である。従って、最初は高速道路建設を抑制する路線を選択し、5年と
か10年経過したときに、社会環境や財政状況が一変しているだろうことを背景において、
このままでよいかどうかを再び検討する枠組みをビルドインしておくのが良いのではない
か。
 それにしても、政府の他の審議会とは全く異なる動きを示した推進委員会は、在来の審
議会の運営をそのままにしてよいかどうかの良き見本を示したと考える。私が関与した、
昭和50年当時の保険審議会とは状況が一変しているようだ。当時は政治家の圧力があっ
たとしても僅かであり、官僚主導の下に審議会を運営できた。だから審議会は行政の隠れ
蓑だと言われ批判を受けた。今は官僚の力が落ちてしまい、国会議員の意向が強く行政に
反映している時代になった。それを無視して推進委員会を運営したのだから、今井委員長
が抵抗勢力の期待を忖度し、政府の処理しやすさを考慮して、落としどころを探るという
在来審議会の路線のやり方では旨く答申できる筈はない。結局、委員長の辞任という結末
を迎えたのは当然である。
 それにつけても、我が国の保険行政の課題は、グローバリゼーションの中で、規制緩和
による混乱の中で、数多く存在する。残念ながら、一刻も放置できない状況に至っている。
そこで、英国における行政方針をどう決めているか(調査報告書の策定→行政の枠組み案
の公表→ヒィードバック→案の確定と実施)のやり方は、我が国の保険行政を再構築する
上で大きく参考になるのではないか。タイナー報告書を読むと、調査の課題は非常に沢山
ある。
 話は違うが、日経が12/4日から一面に連載している「デフレが蝕む」は、非常に刺激的
な記事である。それを読むと、デフレが世界を覆い始めた異常な状況になりつつあるので、
当分はデフレ状態が(10年ぐらいは)継続すると考えざるを得ない。生保業界は5年、10
年後のことを考えて、この際思い切った外科手術をしなければ、競争力を失い、消費者の
信頼を失うのではないかと思う。しかも、昭和30年代、40年代の大量導入・大量脱落と
いう募集チャネルの復活が業界内で見られているのではないかと思うと、社会・経済環境
が一変してきた保険市場で競争力を維持するのは、環境に適合した21世紀のビジネスモ
デルを渾身の力を振り絞って構築してゆくことが肝要であると思う。
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○ Tiner報告書(その2の2)

  02/12/02日付の日経金融紙に「英、保険の銀行窓販加速へ:FSA、来年中に規制緩和」と
題する記事が紹介されていたので、このHPと関係が深いと考えて引用しておき。
 英国で銀行による保険商品の窓口販売が加速しそうだ。英監督機関である金融サービス
機構(FSA)は、2003年中に銀行が複数の保険会社の商品を販売することを認める方針を
正式に表明した。銀行の販売強化や保険会社間の競争促進で、銀行経由の保険販売が全体
の約三割に増えるとの試算もある。
   複数社と提携可能に
 FSAのH.デービス理事長は声明を発表し「消費者保護を徹底するため維持してきた金
融商品販売の二極化ルールは役割を終え、より競争的なルールに移行する」と述べ、生損
保など金融商品の販売規制を見直す考えを表明した。
 二極化ルールは1988年に導入された英国独特の制度。保険の販売を「保険会社の営業職
員又は一社専属代理店」と、顧客の立場にたって全ての国内保険会社の商品を公平に比較
して提案する「独立金融アドバイザー(IFA)」経由に限定している。取り扱う商品を「一社」
又は「全社」に二極化する仕組みだ。
 規制の撤廃で、これまで保険会社の専属代理店として、一社の商品に特化して販売して
きた銀行は、「複数社」との販売提携が可能になる。かねて「本当にIFAは中立の立場から
商品を推薦しているのか不透明」との疑問が浮上していた。
 今回の規制緩和について、JPモルガンは2001年で全体の9.5%にとどまっていた銀行
経由の生命保険商品の販売が2006年には29%に膨らむと試算。銀行は多様な商品を取り
そろえることで顧客利便の向上や、販売手数料の拡大が見込めるため今回の措置を一様に
歓迎している。
 有力生保は「最も良い商品を提供する生保が恩恵を受ける」(リーガル・アンド・ジェネ
ラル)と提携銀行を増やす構え。反面、健全性で見劣りする生保は銀行から排除される可
能性がある。
   提供商品に制約はない
 日本でも十月に銀行販売を本格解禁したが、英国のような二極化ルールはなく、銀行は
自由に複数の保険会社と販売提携できる。ただ英国では銀行販売を通じて提供する商品に
制約がないのに対して日本の場合は制限が極めて厳しい。
 銀行窓口で加入できる生保商品は変額年金など一部。定期保険や医療保険は認めていな
い。損保も自動車保険など主力商品は未認可だ。営業職員などに配慮して取扱商品の拡大
に反対しているためで、銀行窓販が銀行の収益源になる見通しは立っていない。
    *    *
   FSAによる個別会社に関する情報のディスクロージャーのための枠組み
2.17 我々は消費者に対し、会社の潜在的な問題について、より多くの情報をどの様に提
供できるかを検討してきた。このことは重要であるが、微妙な判断が絶えず要するから困
難な問題である。
2.18 会社における問題を消費者に知らせることは、状況を悪化させ、また実際に弱体な
会社に影響をもたらすけれど、逆に、破綻から生き残る合理的なチャンスが得られる。ま
た同時に、我々が会社の状況についてディスクローズできるかには法的制約がある。一方
では、情報のディスクロージャーは消費者に対し、商品を購入する際に、又は他の会社に
商品を切り替えようと判断する際に、もっと情報を得て選択できるよう役立つだろう。
2.19 我々は個別会社に関する情報を適切にディスクローズするかを決定するのに役立つ
内部のガイドラインを策定しつつある。このことは、会社に関する情報が会社の顧客及び
潜在的な顧客にとってディスクローズすることがハッキリと有益であろう場合に、できる
だけディスクローズが実行可能となるという前提で出発している。
2.20 例えば、アメリカで設立された銀行Providianのケースで、Providianのアメリカの
親会社が2001年の秋に財務上の問題に直面したとき、英国の消費者に対し問題について
警告するために、Providianの経営陣とアメリカの監督官と密接に作業した。アメリカの
破産法が構成されているやり方の故に、英国の預金者は、銀行に預金した金の幾分かを失
うことを強調した。その後で銀行は、英国における顧客に対し預金の返済手配を行った。
   規制下にある会社とその上席経営陣は、規制上の義務を理解しそして果たす
2.21 販売時点とその後において、顧客を公平に扱う会社の責任を、我々は強調し続ける。
我々が約束している作業の幾つかの例示を、以下の節において提示する。
   より良く、より明確でかつより公平な情報を
2.22 金融上の奨励策での我々の作業の中で、金融業界が小文字印刷で広告することに依
存するのを止めさせ、商品のマーケッティングをもっと公平でバランスのとれたスタイル
になるようにさせるのが、我々の目的である。
2.23 従って、例えば有配当ファンドを預金勘定との比較に触れる場合は、保険会社は、
有配当ファンドの消費者がファンドに投資した全てを、特に契約の初期年度において取り
戻さないよう、明確にする必要があろう。また同時に、リテールの預金者の資金は強く保
護されていることを言う必要があろう。
2.24 個別会社についての我々の作業に加えて、我々は消費者が、不適合か又は不均衡だ
と思う広告(adverts)又は販売促進(promotions)を積極的に報告するよう勇気づける方法を
検討している。
2.25 長期的な投資リスクがある有配当契約を含めて、商品の販売時点で消費者に対し提
供しなければならない、消費者への情報文書(現在、Key Features Documentとして知られ
ている)の改善について、我々は調べている。より良き情報の準備は、消費者が商品の適
格性について更なる情報に基づいて意志決定ができるようにすべきである。我々の目的は、
消費者への情報文書が、販売手続きにおいて最も読まれて理解されるようにすることであ
る。我々は年末に、消費者への情報文書についてConsultation Paperを発表したいと考え
ている。
   有配当ファンド:慎重性と透明性
   With-profit fund: discretion and transparency
2.26 保険会社における慎重性は、有配当ファンドを管理し消費者を公平に扱う上で重要
な要素である。しかしながら、我々の有配当への調査によると、どの様に慎重性が配意さ
れたかのディスクロージャーが業界を通じて極めて一般的ではない、との結論を得た。
2.27 2002年の春に、我々は有配当ファンドのガバナンスについての文書を発表した。そ
の中で慎重性に関連して保険契約者を保護するよう彼等のガバナンスの取り決めを改善す
るための様々なモデルを提示した(3.24節から3.27節を参照のこと)。年の切り替え時点
で、幾つかの会社に提案について協議したい。
2.28 保険会社は、有配当ファンドの運営に伴うリスク(投資リスク、クレジット・リス
ク及び運用リスクのようなリスク)について、もっとオープンで明確にさせる必要があろ
う。また同時に会社は、毎年の配当と消滅時配当の算定について、また市場価格による調
整をどの様に決定し正当化するについて、もっと透明にする必要があろう。この情報を提
示する上で最も明瞭なやり方を見出すために、我々はこれらの多くの分野で消費者テスト
を実施したい。消費者又はアドバイザーが適切な比較ができるように、有配当ファンドの
財務力の関係を更に透明度を増加させることにより、上記の全ての必要性は補強される。
2.29 Sandler報告書は、透明性を改善する我々の方式を支持したが、何よりも、ベスト・
プラクティス・モデルに基づいた新しい有配当ファンドを導入すべきである、と勧告して
更に前進していた。Sandler報告書は、ステークスホールダーのブランドが、商品の供給
者をして既存のファンドを、この新しく、簡易で透明性の高い商品に再構成するインセン
ティブが与えられると予期した。報告書は、FSAがこの新しいモデルの実施について協
議すべきである、と勧告していた。Sandler報告書が提起した有配当商品に関する諸問題
を、我々のWith-Profits Reviewの検討の中で統合したい。我々は年が変わる時点で、これ
らの問題、提示された新しいファンドと既存のファンドの両方について、どの様に前進さ
せるかを協議する予定である。
2.30 保険会社は、有配当ファンドの構造と投資戦略について、将来はもっとオープンに
する必要があろう。会社は「ファンド・マネジメントの原則と実務に関する文書」
(Principles and Practices of Fund Management Statement)を準備し、これがどの様に適用され
ているかについて契約者に対し定期的に報告すべきである、と我々は提案した。また同時
に会社は、例えば、ファンドのどの割合が英国内か海外に保有しているか、不動産にどれ
だけ投資しているかまたボンドにどれだけ投資しているかの詳細を報告すべきである。
   販売後の諸問題(Post sale issues)
2.31 我々はまた同時に、長期の投資リスクを持つ商品を販売している全ての会社から、
販売時点より後に提供している情報について広範囲な再吟味を実施している。目標は、消
費者が購入した商品を適当な間隔で再吟味できるように、有用で有効な情報を提供するこ
とである。もし消費者は所有している商品が長期間にわたって(即ち、彼等が商品を再吟
味している時点だけでなく)最早適格ではないと信じたならば、行動を取れる知識を与え
られるべきである。
2.32 我々は最近、保険会社におけるシステムと管理についてのConsultation Paperを発表
した(この報告書の3.32節を参照)。これは、保険会社の経営陣が顧客を公平に処遇して
いるかをチェックするため、どんな情報(顧客の満足度と不満度の尺度と、苦情処理の統
計)を作るかのガイダンスを含んでいる。
2.33 我々の Financial Ombusman Service(FOS)との理解についてのメモランダムは、日常
的と特別の両方の基準で、情報のシェアリングのための明確な取り決めを行っている。こ
のことには、規制上重要となる広範囲なインプリケーションを持つとFOSが考えたケー
スの場合を含んでいる。我々は、個別会社にもまた一連の会社の両方に広範囲なインプリ
ケーションを持つ問題を処理するための内部手続きを策定中である。我々は、この手続き
をFOSとこれらの手続きについて検討中であり、それが完了したときは、それを説明で
きるようにFSAとOmbusmanとのセミナーに関係業界団体を招待したい。
   消費者、会社及びその他の者が信頼できる、適切で均衡のとれた効率的な監督制度
   を我々は確立する
2.34 我々は表記の下に、三つの要素からなる作業を展開している。
・消費者に対し、広告及びディスクロージャーについて強化された制度を含む、商品につ
 いてのより良き情報を
・二極化制度の改革
・有配当と他のパッケージされた商品について透明性と公平性の改善
2.35 これらに加えて、Sandler報告書が勧告したように、広範囲なステークスホールダー
商品の事業行為制度へのインプリケーションに関する作業を、実行する必要があろう。2.5
節から2.8節にかけて説明したように、我々は大蔵省と緊密な連携の下に、Sandler報告書
における関係する勧告について作業中である。我々は12月に、ステークスホールダー商
品のための特別な販売制度についての検討を提示したDiscussion Paperを、2003年中にル
ールの細部について協議することを考えて、発表を準備している。
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○ クォ・バディス

 石原慎太郎の新刊著「日本よ」を風呂のなかで読了した。人により好き嫌いのある本だろ
うが私には面白かった。その中で、「祖国よ、いずこにいきたまう」(p.137)を読んで、私
は生保業界のことを連想させられた。石原さんはジェンキュビッチの名作「クォ・バディ
ス」、古代ローマの暴君ネロに迫害されたキリスト教徒の運命を描いた小説を引用して、
迫害を逃れてローマから立ち去ろうとする使徒ペテロが、郊外の路上ですでに死せるはず
のキリストの姿を目にし、「クォ・バディス・ドミネ」と尋ねるとキリストが、「お前たち
が私の信徒を見捨てて立ち去るならば、代わりにこの私がローマに赴いて再び十字架にか
かろう」と応えたという。金融庁よ、生保業界よ、保証利率の引き下げの問題から逃げて
はならない。逃げると、あのもっと大きな契約者負担が再び顧客に襲いかかるのハッキリ
予見できるからだ。
   *    *
 11/25日(月曜日)の日経朝刊に、「予定利率下げへ法改正」という特ダネが報じられた。
金融庁は次期国会に生保破綻に備えた「生命保険契約者保護機構」の関連法案を提出する予
定であり、同機構には来年3月を期限とする4000億円の公的資金枠(まだ一円も使ったこ
とがない)があり、業界側はその延長を希望している。金融庁は業界側の負担増を要請し
ているようだが、業界側は負担能力がないと拒否していると伝えられる。何れにしても生
保会社の破綻が今後とも起こりうると金融庁は判断しているようで、機構の資金枠の増額
は避けられない運命、従って法を改正せざるを得ない状況にある。
 生保業界においてはソルベンシー問題が当面の緊急な問題であるが、破綻処理スキーム
は制度的にいまいち整っていないのが現状である。客観的に見て、最近の千代田、協栄生
命の破綻処理のケースを除き、保護機構からの負担があまりにも巨額になっているのは問
題(問題点はそれだけではない)であり、現行の破綻処理のスキームが何かおかしいのは否
定できないだろう。それを放置しておいて機構の財源問題だけを取り上げるのは片手落ち
である。そのところに予定利率の下げの問題が急浮上してきた。三度目の挑戦である。第
一回は2000年秋、相沢委員長が問題を提起したけれど、官僚の抵抗により廃案。第二回
は2001年夏、金融審による自発的に生保が下げる案を軸に調整を進めたが、学者の過剰
な趣味を反映した実行性が疑われる案であり、また首がかかった業界首脳の反対で頓挫し
た。先行きの予想は難しいが、金融庁がよほどの覚悟をしてかからなければ、またまた頓
挫するだろう。しかし業界の経営環境や財務内容はそんなに余裕のあるものではなく、近
い将来に破綻会社が出てもおかしくない状況だ。予定利率引き下げを、手続き面で難しい
条件を付ければ実行不能であろう。だから半分程度は自主的に、又は金融庁が内部的なガ
イドラインを設定してそれに該当する会社に強制するのでなければ、会社の方から自発的
に実施するとは考えられない。できれば全社一斉に実施すれば最善であろう。そのガイド
ラインは、当然公表することになろうが、現行のソルベンシーマージン比率よりも厳しい
ものでなければ機能せず、そうなると現行のソルベンシーマージン比率をそのまま放置で
きなくなる可能性が大である。それならソルベンシーマージン比率を改善することになろ
う。その際に、例えば繰延税資産をどう扱うかが問題になろうが、銀行の騒動に恐れを抱
かないで、手を付けなければ機能する良いガイドラインはできないだろう。
 それにつけても、金融庁よ、生保業界よ「クォ・バディス」というところだ。
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○ Tiner報告書(その2の1)

       第2章 消費者に対する公平な処遇
           A fair deal for consumers
   はじめに
2.1 この章は消費者のための公平な処遇を確保するに役立てようと我々が行った進歩に
ついて記述する。
 下記のものは、2001年11月の報告書以降に、我々が行った主要な発議を特記したもの
である。
  マーケッティング、販売及びアドバイスの制度
・二極化制度の改革について発表した提案。アドバイザーの地位とアドバイスのコストに
 ついて透明性を改善する提案を含む。
・金融の販売促進に関する政策文書の発表。それには会社の商品広告資料をより厳格に再
 吟味を導入する提案を述べている。
  有配当ファンド
・有配当ファンドの再吟味についての第一段階を完了した。
・有配当ファンドをマーケットし、情報を伝達し、営業するやり方の改革について、数多
 くの勧告を発表した。
  不公平な契約条件
・不公平な契約条件への苦情を現在検討しており、不公平な条項について会社への一般的
 なガイドラインを発表しはじめている。
  消費者教育
・学校でのカリキュラムで使用するための金融教育の資料を更に作成した。
・消費者のためのFSAの相談電話を、より効果的で能率的にする。 
   より簡易な商品、より選択しやすく、そして競争を促進する
2.2 消費者の生活はこれまで以上に複雑化してきた。政府によるステークスホルダー・
ペンションの発議はさおいて、消費者に提供された貯蓄商品は多数のオプションと付加装
置(add-ons)でより複雑化する傾向である。消費者が一つの商品から別の商品に切り替え
ることに関心を持とうと考えた場合は、それを行うとするとしばしばより高価で、時間が
かる。
2.3 消費者は、この環境下において金融上のニーズを識別するのに、またそれらのニー
ズがどの様にすれば最善に満たされるかを見分けるかを、彼等がアドバイスを受ける必要
があるかどうかを含めて援助を受けるのを必要としている。後で説明するように、金融問
題への消費者教育に、我々だけが責任を持っているのではないが、我々の消費者教育につ
いてSandler報告書が示した支援を歓迎する。
2.4 リテールの金融商品を販売するやり方について(二極化制度の自由化を通じて)我々
が提案した改革は、消費者にとって、改善された選択と金融上のアドバイスをより入手し
易いようにならなくてはならない。
2.5 Sandler報告書では、平均的な消費者が利用可能な商品の範囲はより簡易なものとす
る必要があり、また商品自体が競争力のある価格設定で、容易に理解できるものとする必
要がある、と主張する。(Pickering報告書はペンションについて同様な指摘をしている)。
Sandler報告書は、簡単なステークホールダー商品の持つ価値を推奨し、そして拡大され
たステークスホールダー商品の一揃いはミューチャルファンド又はユニットリンクド・フ
ァンドと、ペンション商品と有配当ファンドとを想定している。Sandler報告書は、これ
らの商品の購入者に対し一定の警告が与えられる条件で、供給者は適合性要件(suitability 
requirements)なしにそれらの商品を自由にマーケットされるべきであると述べている。
2.6 簡易な商品の利用可能性が強化されることにより消費者は主に二つの恩恵がある。
・彼等が購入しようとする商品の内容を、給付と潜在的リスクを含め、ハッキリと理解で
 きる。
・価格と給付とを比較して、ショッピングできる範囲が拡大する。
2.7 しかしながら、極めて簡易な一つの商品では、全ての消費者(例えば、低所得の50
歳以上の人達へのステークスホールダー・ペンション)にとって適切だとは限らないだろ
うし、また販売制度はこのことを考慮する必要があろう。十分な供給者が市場に参加し、
また健全な水準での競争が行われるのを確保するには、これらの商品(他の商品と同様に)
が会社に対し資本へのリターンが十分に生まれるような水準で価格が設定される必要があ
ろう。
2.8 大蔵省は新しいステークスホールダー商品への基準を設定する上で先頭に立つであ
ろう。適切で均衡のとれたリスク・ベースの規制制度の設計においてこれらの基準を考慮
しながら、我々は彼等と緊密に協力し、そして消費者団体と業界とも協議して作業を進め
よう。
      我々が行おうとすること
2.9 消費者がこの変化した環境で期待する商品を、会社が供給するよう我々は援助する
必要がある。また同時に我々は、消費者は購入する商品にもっと責任を持つよう励ます必
要がある。この章の残りは、この問題について我々は何を為そうとするのかを、我々の戦
略的目標に沿って、説明する。
   消費者は情報の基づく選択が更にできるように、また彼等への公平な処遇が達成で
   きるようにする
   消費者の自覚
2.10 金融問題についての消費者教育は、我々だけの課題ではない。政府の各部局、業界
及びボランタリー(又は非営利not-for-profit)のセクターの全てが重要であり、そしてしば
しばより大きな役割を果たす。大衆の理解(public understanding)は、我々の法令上の目的
の一つであり、また消費者への教育の発議の領域で我々は先導的な役割を果たしている。
2.11 Sandler報告書では、我々の消費者教育事業に財務上の原資を増加すべきであると勧
告している。次の段階は、消費者教育のどの部分を拡大すべきであるかを確認し、これら
の事業にどの程度のコストがかかるか、追加の資金をどのように調達するか、また我々の
現在の教育事業をどのように構築するかであろう。今年の後半に、2003/04年度における
消費者教育事業への増額について、いくらかの提案を提唱しよう。
2.12 我々は関係団体と協議の上、適切な水準の財源を以て、明確に特定した消費者教育
の目標を実現するための長期計画を策定したい。消費者教育のための長期戦略に関する協
議文書(Consultation Paper)は、2003年に発表したい。また同時にこのことは、Sandler報
告書が勧告したように、消費者教育のための分離した政府機構を設立することも検討され
よう。
2.13 一方で、2001年11月以降に消費者教育のための既定予算の範囲内で、中等学校の
生徒に金融問題の理解を増大させることを目的とした追加の資料を開発し、成人が金融上
の意志決定を行うのを助けるための様々な文書を準備することが可能である。また同時に
我々は、我々のウェブ・サイトから金融上の計画に関する部分を取り出し、消費者が金融
上の意志決定を行うのを助けるために、CD-ROMを利用できるようにした。
2.14 消費者が金融上の計画を立てるのを助け、彼等が適切な商品を選択するのを助ける
我々の現在の発議を継続する。このことには、下記のことが含まれる。
・消費者のためのウェブ・ベースの意志決定トリーと財務健全度チェックの作業
・多様な保険種類と、保険料が消費者の個人的状況とより大きく影響を受ける中で、我々
 の比較表(comparative tables)に保険商品をどの様に最も良く含めるか。
・専門語の氾濫(jargon busting)を調査するプロジェクト。即ち、会社が彼等の文書をどの
 様に理解し易くするか。
   会社のディスクロージャーとリスクの説明
2.15 我々の事業運営ルールでは、会社が顧客となる可能性のある者に対し、商品のパフ
ォーマンスに影響を与える要因について文書による説明を、又はさもなければ投資をする
決定のための資料を提供するよう求めている。そうするためには、彼等は適切なシステム
を保持し、現在あるリスクと生じるリスクとを確認するために適切な専門知識を用い、彼
等の顧客となる可能性のある者へのインパクトを評価し、そして諸リスクによるインパク
トの可能性に適切な説明を提示しなくてはならない。同様に個々のアドバイザーは、提示
した取引の持つリスクを顧客が確実に理解するよう合理的な手続きを取るよう要求されて
いる。再び会社は、提示した特定の取引から生じるリスクを確認し分析するための適切な
専門的技術とシステムとを保持しなくてはならない。我々は、会社がこれらのリスクを分
析し、ディスクローズしそして説明する責任を、会社がより良く確実に理解するやり方を
検査している。幾つかの会社は、投資家となる可能性のある者に提供する全ての関連する
情報又は説明を確実にすることを維持する困難さ抱えようが、残される証拠書類は明確で
簡潔なものにする。
   金融サービス契約における不公平な条件
2.16 現在我々は、Unfaire Terms in Consumer Contracts Regulations 1999に基づく権限を有
している。個別の契約(それを我々の資源を利用する上で効率的で有効であると考えてい
る)における条項への苦情を検討するとともに、我々はこの権限を用いて、消費者に著し
い損害を与える条件を確認するために契約を主体に再吟味するだろう。消費者はしばしば、
特定の商品、例えば生命保険契約を長い年月間も保持している。商品がその経過とともに
何が起こるかは、最初に署名した契約の条件の運営に直接反映される。我々は会社とでき
るだけ協力して不公平な条項を変更する行動を起こしたい。



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