北アルプス 前穂高 北尾根
                 前穂岳(北尾根)山行

1997.5/16(金)24:00 川瀬宅に集合、眠気覚ましのコーヒーを飲んで、一路上高地に向かう。夜中の中央高速は車の流れがスムーズで、時速120〜130Kmで飛ばしたので3:00すぎには上高地に到着した。

5/17(土)バスの時間が7:30なので、車の中で仮眠する。しかし、5:00頃から激しい雨音で目を覚ますと、激しい雷雨で寝ている余裕がなかった。上高地方面を見上げると、雨雲に覆われて何も見えずこれからの山行が不安になつてきた。この時期、安房トンネルの手前、中の湯付近で道路工事の関係で5:30〜7:30,11:00〜13:00,17:00〜17:55の時間帯しか車の通行ができないので、東京を夜中に出発したのである。さすが、日本の有名な観光地だけあって、この雨にもかかわらずけっこう観光客の多い多いのにはびっくりした。

しかし、上高地に着く頃には雨も上がりカッパ橋から残雪の穂高連峰の峰〃が、手に取る様に見え、これから向かう前穂高の岩壁が、我々の来るのを待っているようである。上高地から横尾山荘までの道は、一般のハイカーと一緒で、広い林道であまり面白くないが、左手に梓川の澄みきった清流と目に染み込む新緑の若葉と前穂、明神岳の岩壁を見ながら歩くのも、何度訪れてもすばらしいと思う。 二年前一人で五月の奥穂高に来たときは、横尾山荘の手前から残雪が結構多かったのであるが、今回はまるっきり残雪がなく夏道とほとんど変わらなかった。










横尾山荘から本格的な登山道で、左手にかの有名な屏風岩の岩壁を見ながら高度を稼いでいく。岩と岩の間から残雪から解けた水が集まり滝となって落ちる様はアメリカのヨセミテ国立公園と欲にているとの、川淑さんの話である。そのうち私も一度行って見たいものである。 約一時間ほど沢を左手に見ながら、登って行くとようやく残雪が現れてきた。雪渓の空洞から手の切れるような水が生きおいよく流れ落ちていた。

夏場だと、いくら美しい水といえど飲むことができない。上流にある山小屋の汚水がこの沢に流れ込んでいるためである。しかし、この時期はまだ山小屋が開設したばかりなので、人が少ないので今の時期は飲んでも大丈夫である。手を二〜三分も浸けていると冷たさでしびれてくる始末である。 

木の橋を渡るとすぐ斜度35度ぐらいの雪渓を登っていった。天気がいいので雪渓が腐っていて時々足がすぼっと入ってしまって非常に歩きずらい。夏場だと沢に沿って登っていくが、この時期は沢の左手上部に沿って登って行かなければならない。見上げると紺碧の空に穂高連峰の岩壁が天高くそびえていた。涸沢カールの真ん中に、今日これから目指す涸沢ヒュテ小屋が見えはじめた。アイガーの訓練もかねてノンストップで小屋まで目指すことにする。以外と近くに見えた小屋であるが、歩けど歩けどなかなか着かず、一時間五十分かかってようやく涸沢ヒュテ小屋についた。








五月のコルデンーウイーク後なので登山客は少なく30人程度であった。いつもならば、布団一枚に三人が普通なのであるが、今回は、なんと布団一枚に付き一人という贅沢さである。小屋にはカンビールではなく生ビールが用意されていて、このうえない贅沢を味わうことができた。やはり、山小屋に泊まるには、時期を少し外せばこんな静かなゆったりした雰囲気を味わうことが出来るのである

5/18(日)我々の隣にいた単独行の川瀬さんより二歳年上の人が、北尾根を狙うらしく、我々より三十分早く五、六のコルに向けて出発していった。他の連中は、北穂高、奥穂高方面に行くのか、小屋の朝食を食べてからの出発である。我々は、朝、昼の弁当をもらい、いざ北尾根に向けて出発した。雪渓から吹く風は冷たくゴアテックの防寒着を身に包み、ヘルメット、ハーネスカラピナ、アイゼンを装着して、ピッケル、ザイルでアンザイレンして雪渓を登って行った。

ぐんぐん高度を稼いでいくと、涸沢ヒュテ小屋の赤い屋根が、豆粒の様に見え、北穂高の東稜の造か彼方に、残雪に身をまとった槍ガ岳をはじめ大天井岳、燕岳、など〃が見ることが出来た。五、六のコルは、前穂の稜線のおかげで日が当たらず、踏み後も無くアイゼンがしっかり利くのでついつい直登したくなる。しかし、直登ほどきついものは無くジグザグで登って行った。斜めに登るのはスリップの危険があるので、慎重に登らなければいけない。先に行った単独行の人はもう五、六のコルに到着していた。

五月のコルデンーウイークに雪崩で遭難した小豆沢は、日当たりが良く人が沢山歩く一般ルートなので雪崩てもおかしくないと思う。雪渓を歩くには早朝の気温の低い時間帯が鉄則である。五、六のコルに着いて、北尾根を見上げると雪が少し有るだけで、余り夏と変わらなく少しがっかりした。普通この時期の北尾根はもっと雪が着いていてアイスパイルとアイゼンの世界と思っていた。山と渓谷に載っていた登山ガイドの料金は一人当たり11万3 0 0 0円なりである。身を引き締めていざ五峰に向かう、この時期は雪解けの影響か岩がもろくて、下手に岩に足をかけると落石の危険があり、よほど注意を払はなくてわなら無い。四峰からが、本格的な岩登りである。

去年は、わざわざ一般ルートを避け厳しいルート(四級川瀬ルート)を登ったが、今回は一般ルートを行ったつもりだったが、雪崩の影響か?道が腐っていて安部ルート(荷物背負っての四級ルート)を登る事にした。このルートは昔のルートらしくハーケンがなん箇所も打ってあるが、みんな鋳び付いたハーケンだったので少しピレーするのが不安であった。ルートもまっすぐでないので、ザイルの送りが悪く引っ張ってもなかなか来なかった。

岩場でザックを背負いセルフビレー無しで、こんな調子でザイルを延ばすには、大変なアルバイトが要求された。何とか2/3ピッチの所でセルフピレー出来る所まで来たので、川瀬さんを呼ぶことにした。前回肉声で呼んだが、なかなか聞こえなかったので、今回は笛を用意してきた。しかし、スケールが大きくなると笛でも聞き取りずらい事がわかった。 四峰に着いた時、上のはうで声がするので見上げてみると、単独行の人がもう前穂のピークに立っていて我々を呼んでいたのである。単独行はこんなにも早いものか? 早い代わり危険も何倍も大きい。去年の九月前穂の四峰に来たとき、前穂の東壁で落石のため遭難がありヘリで負傷者を吊り下げて行った事を思い出した。我々もその様な事にならないように、十分注意しなければいけない。四峰の急峻なガレ場を下り、いよいよ核心の三峰の登りに入った。

前回、三峰のチムニーをクライミングシューズで登ったが、今回は一般ルートを行く。チムニーの脇を捲くルートであるが、岩登りには変わりがなく重いザックでの岩登りは危険なので、空身で登る。上からザックを引っ張り上げるのに、こんなにも苦労するとは思わなかった。反省 岩登りする時はなるべく荷を軽くする事が鉄則である。今まで快晴の天気であったが、急に空模様がおかしくなり、風が舞い始めた。しかし、三峰さえ越せば、後は危険な所も無いので精神的に気が楽であった。二峰は本峰のおまけ見たいなもので、すぐ前穂のピークに出る事が出来お互い堅い握手を交わした。

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