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| 「冥府」での裁判一覧表 |
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| 2000.7.16福永武彦研究会発表資料 (c) 高野泰宏 |
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| 被告人 |
死因/「秩序」でのプロフィール |
裁判官(7人) |
質問事項 |
弁明 |
判決理由 |
判決 |
| 善行者 |
突然死 |
教授(裁判長) |
死の状況は? |
死は予期しないうちに来た |
秩序なし |
却下 |
| 背の高い、恰幅の良い、 |
(高血圧による脳溢血?) |
僕 |
死のための準備は? |
(準備なし) |
死の準備なし |
却下6 |
| 肥満した紳士 |
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踊り子(愛しすぎた者) |
生に対してどういう意義を見出したか? |
働くために生きた/社会に対して善行を働いた |
他の生と区別する個性なし |
新生1※) |
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男1−4 |
生はあなたにとって何だったか? |
秩序/名誉/希望 |
愛がない |
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死に匹敵する重みなし |
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しかしこの人は生きたがっていた |
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| 嫉妬した者(情熱にほろびた者) |
死刑(人を2人殺害) |
3,4人の男+α |
被告の身分は? |
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死のために苦しんだ(死の準備は完全) |
却下 |
| 囚人の服を着た、痩せこけた、 |
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僕 |
死の状況は? |
死刑(2人殺害) |
否、自分の力でなされていない |
却下4 |
| 年の若い男 |
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僕の友達(自殺者) |
死のための準備は? |
死刑の宣告後、一瞬ずつ死んでいく |
この生には情熱があり、力強い |
新生3 |
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(どのような生き方を選んだか?) |
殺害した恋女房に夢中だった |
この情熱には愛がない/閉ざされている |
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何度も過去の時間に立ち会ったか? |
何度も過去へ帰った/燃えるような嫉妬の苦しみ |
この生には意志がある |
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十分に思い出したか? |
を何度も味わい、確かめた |
この意志には理性がない/悔恨がない |
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この死には悔恨がある/この死の前には償われる |
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この生/死は選び取られていない |
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| 教授(知識を追った者) |
老衰(栄養失調) |
労働者らしい風体の男 |
被告の身分は? |
教授(停年はとうに過ぎている) |
教授の学説(死後の世界=暗黒意識)に対する反応 |
却下 |
| 白髪の、眼鏡をかけた老人 |
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(裁判長) |
死の状況は? |
老衰で死亡(研究一筋) |
禁止/叛逆/意識を持ちすぎた/馬鹿にした |
却下7 |
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公園のベンチの数人の |
死の準備は? |
研究=死の準備/死ねば学説を証明できる |
言ってはならないことを言った/法廷の神聖を乱した |
新生0 |
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男女 |
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懲罰/黴の生えた学問 |
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僕 |
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この生には死の準備がない |
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死の準備は知識を追うことではない |
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この生には愛/情熱/喜びがない |
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この生には民衆とのつながりがない |
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| 自殺者 |
自殺 |
サラリーマン風の男 |
被告の身分は? |
自殺者(愚劣には耐えられなかった者) |
(ここには驚きがない)→叛逆 |
却下 |
| (愚考に堪えられなかった者) |
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(裁判長) |
死の状況は? |
自殺 |
この男はまだ苦しんでいない |
却下7 |
| 「僕」の友達 |
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恋人らしい2人連れ |
死の準備は? |
子供の時から人生を愚劣と考える/自殺方法研究 |
この生は空費された |
新生0 |
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背の高い肥満した紳士 |
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人生の最初から終わりまで死の準備だった |
自殺者には新生の資格はない |
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運転手、女車掌、僕 |
十分に過去を思い出したか? |
Yes,しかしその全部が愚劣 |
脅迫/言い過ぎ/傲慢/叛逆/自己矛盾 |
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何かもっと別の形の過去はなかったか? |
なし |
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| 踊り子(愛しすぎた者) |
病死(急性肺炎) |
照明係(裁判長) |
被告の身分は? |
踊り子(愛しすぎた者) |
この女は叛逆を犯した(冥府での生活を暴露) |
新生 |
| 「僕」が中学生の時の恋人? |
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5人の娘たち |
死の状況は? |
精神的ショックに肺炎を併発/死ぬときには一人だった |
叛逆さえ恐れない愛がある |
却下1 |
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僕 |
死の準備は? |
貧困家庭/皆自分から離れていく/死んだようなきがする |
純粋の愛/情熱/意志/女 |
新生6 |
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死んだような気がしたとは? |
別れた時には眼の前が真っ暗/死んでしまったようだ |
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さらに思い出したことは? |
子供の頃の思い出(「僕」との出会い/プラトニック) |
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| ※)「僕」が新生に入れたかどうかは定かではないが、状況から考えて判断した。 |
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| 上告の条件は、1)十分に過去を思い出したこと 2)冥府に来てから十分な時間が経っていること 3)上告する意志があること |
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| 裁判官として法廷に出る(他人の生に立ち会う)のは冥府に来てから直ぐ、かつ事情がよく飲み込めていなくても可能→人間の意志を超えるものの存在を示唆している |
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| 善行者、教授、踊り子の裁判に特に着目する |
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| 1.善行者:秩序での生活は申し分なし。しかし冥府ではその生は重みがないと判断される→「冥府」での価値体系は「秩序」とは異なるが、ここには悪意を感じる。 |
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| 2.教授:教授の理論に裁判官たちが興奮することに着目。「冥府」世界の解明は反逆であると見なされる。恐らく教授の論は正しい。 |
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| 「秩序」での学問で「冥府」世界の説明が可能→学問の力を明示するが、それは「冥府」では禁止事項として判断される |
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| 神性放射の是非を問う「未来都市」と比較→「冥府」では人間の意志が剥奪されており、「冥府」世界の破壊はあり得ない。 |
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| 3.踊り子:秩序では「愛しすぎた者」としてうまく行っていなかったが新生の判決を与えられる→内容的には納得するが、「僕」から踊り子を取り上げたと考えると悪意が感じられる。 |
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| 僕が却下を出していることに着目→ここには僕の意志が入っており、「冥府」世界での判決は完全に無意識で行われていない。 |
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