文学作品を読み解くために その5
<文学作品を読み解く上で有用な本、ツール、技術についての紹介>

旧制高等学校、教養主義に関する情報


 福永武彦『草の花』に関連し、旧制高等学校およびそこで行われていた教育に関しての情報を集めました。賛否両論は問うていません。1−4とは趣を事にするコンテンツとなっていますが、『草の花』ファンにとっては周辺知識としては有用かと考えます。なお、福永武彦関連情報の中にも一部重複した情報が入っていますが、閲覧者の便を考えてのことですのでご了承ください。

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書籍 戦前の少年犯罪

管賀 江留郎(少年犯罪データベース主催)
築地書房(2007)

現在は、少年の凶悪犯罪が増えていると言われているが、そんなことはない、戦前の方がもっとすごかったと、新聞記事を元にした検証。最後の第16章で旧制高校生を扱っている。中村真一郎『わが点鬼簿』の中にも旧制高校や大学についての紹介があるが、こちらと合わせて読んでみても面白い。著者は、この書物の中で、「旧制高校生は史上最低の若者」であると述べていて、その理由は彼等の高慢な態度を挙げている。街頭ストーム(徒党を組んで騒いだり暴力を振るうこと)や暴力沙汰の事件を取り上げて紹介し、しかし周りの寛大な(?)処置により彼等が罪に問われることがなかったのは不合理だった、との論調である。旧制高校生は同年代男子の1%という極少数であったにもかかわらず、知性や教養があったとは言い難いと指摘しており、現代と比べて昔の若者の方がよく勉強していたというのは疑わしい、と結論している。

08/10/11
書籍 『きけ わだつみの声』
『きけ わだつみの声第2集』
日本戦没学生記念会編
岩波文庫
有名な書籍なのでご存じの方も多いと思いますが、これは学徒出陣といって、徴兵された学生が現地で綴った手記を集めたものです。手記を書いた学生の運命(大部分は戦死)が補足記載されています。戦争のさなかにあっても学問を愛し、知への探求心を失わなかった学徒兵の話がいくつか出てきますので、それを手がかりに当時の学生について知ることができます。その他、戦争当時の生活についても事細かな記述があります。 06/11
書籍 『国家の品格』 藤原正彦
新潮新書(2006)
数学者の藤原正彦氏が書いた、日本文化を大切にすることを主張した本。旧制高校の教育システムについて、少しだけだが解説が載っている。氏は日本を情緒を大切にする国と説き、情緒が欠落して理論が完璧な人間を最悪と見なす。情緒教育と理論を育てるための教育は別個であり、前者を育てるためには教養の教育を大切にする必要を説く。 06/3
新聞記事 一高校友会雑誌のDVD発売 2006年2月18日
朝日新聞夕刊
旧制一高の「校友会雑誌」54年分が復刻され、DVDに収められた。日本近代文学館が編集し、八木書店が発行、価格は89万2500円とのこと。
06/2
書籍 『教養主義の没落』 竹内洋
中公新書1704
教養の観点から教育体系を検討した書で、旧制高校における教育について記載がある。『草の花』ファンの方には一読されることをお薦めします。
旧制高校の教養≡西洋崇拝の図式が解説されています。
03/10
書籍 『旧制高校生の東京敗戦日記』 井上太郎
平凡社新書(2000)
第二次世界大戦中および終戦にまたがる(1943-45)、旧制高校生の日記を元に当時の生活を振り返ったもの。福永とは直接関係がありませんが当時の生活を知るには手がかりとなる本です。『草の花』との併読をお薦めします 01/1
書籍 加藤周一『羊の歌』
高橋英夫『偉大なる暗闇』
岩波新書(1968)
講談社文芸文庫(1993)
加藤氏は福永、中村と3人で「マチネ・ポエティク」を形成した仲。この本のなかにも福永という単語が出てくる。高橋氏の本は夏目漱石『三四郎』の中に出てくる広田先生のモデルとされている岩元禎(ドイツ語教授)についての調査レポートである。どちらも旧制高校を知るには良い資料であり、福永の『草の花』を愛読されている方は読まれることとお薦めします。 99/10

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