文学作品を読み解くために その3
<読書ツールとしてパソコンを活用する/ウェブ時代に生きる>

【ウェブマスターのパソコン歴】
私が初めて自分のパソコンを持ったのは、1990年のこと。機種はPC-9801Nという、NECが出した初めてのNOTE型パソコンでした。フロッピーディスクドライブ1台にRAMドライブという構成で、EMSメモリという拡張メモリをカードスロットルに差し、一太郎dash Ver.1を使い始めました。当時はやっと3.5インチのフロッピーディスクが普及し始めたところで、デスクトップ機も3.5インチのドライブ搭載機に移行しつつあるところでした。

私がパソコンを購入した主目的はパソコン通信に興味があったからで、当時数万円も出して2400bpsのモデムも購入しました。この当時はインターネットはまだは普及しておらず、NIFYT ServeやPC-VANといった商用パソコン通信サービスや草の根BBSと言われる、個人が趣味で開設しているネット局が全盛の時代でした。

私は八王子と青梅にあった草の根BBSに加入し、ここで知り合ったハッカーたちにフリーソフトウェアの使い方の手ほどきを受け、それからNIFTYのフォーラム、PC-VANのSIGといった場所でいろいろな人にパソコンを扱うための技術を教えてもらいました。今から考えると、彼等は本当に親切にいろいろなことを教えてくれたものです(確かに、少し変わっている人が多かったですが)。この時からの流れで今でも自分のシステムはフリーソフトウェアを中心に組んでいます。

2006年の3月末日をもって、NIFTY-SERVEのパソコン通信サービスが終了するとのニュース報道を見かけました。私は、NIFTY-SERVEにはずいぶんとお世話になった人間で、パソコンの扱い方はもちろんのこと、武道フォーラムの弓道会議室で多数の友人を得、稽古会や試合にも参加していました。ところがインターネットが普及し、各人がホームページを持つようになると事情は一変して利用者数が下がっていったのです。今から考えてみても、テキストベースのメッセージのやりとりはデータ量も少なく、低速回線でも大量の文字をやりとりでき、文字ベースのコミュニケーションに抵抗が無い人にとっては優れたツールだったと言えるでしょう。(2006/4/1)

【WEB 2.0時代に生きる】
梅田望夫『ウェブ進化論』、ちくま新書(2006)で説明されている、WEB 2.0時代の話を私は興味深く読みました。
リナックスに代表されるオープンソースの考え方、Googleに代表される検索エンジンとその進化で、インターネットは単なる情報ハイウェイの役割を担うだけでなく、梅田が”もう一つの地球”と表現しているように、ネット上にひとつの世界を構築しつつあるようです。ブログやウェブサイトに掲載された情報は検索エンジンにより分類され、検索エンジンによりほぼ瞬時に検索できてしまうのです。検索エンジンの登場はインターネットの使い方を大きく(いや、根本から)変えてしまったと言えます。

”もう一つの地球”とは、インターネットを介して距離や立場に関係なくつながった人的なネットワークであると言えます。そこは肩書きや所属に関係なく、その人が提示したコンテンツの価値のみで判断され、評価され、ネットワークが広がっていく世界なのです。梅田は現実の世界をリアル世界、ネット上の世界をネット世界と呼んで対比させています。望月の考察はネットを利用する人たちには一読の価値があると思っています。本ウェブサイトが掲示板からblogへ切り替えたのは梅田氏の著書がきっかけとなっています。



3.1 文学作品の解釈のためにパソコンを活用する
出典: 福永武彦研究会 例会発表(1998.11.15)/「読書ツールとしてのコンピュータの利用」

 
ワープロや表計算ソフト、そしてこのようなウェブサイトの作成管理にパソコンは書かせない道具である。もう一歩進んで、パソコンを文学作品の解釈に役立たせることはできないだろうかと常々考えてきた。ある日とても興味深いレポートを発見してしまい、それが起爆剤となって文学作品とパソコンが私の頭の中で結びついた。それは別冊宝島261、『いっきに使いこなすわが家のパソコン』、宝島社(1996)の中で紹介されていた、鈴木康之氏が書かれた「「村上春樹」の新しい読み方」というレポートである。

この書の中で、鈴木氏は”インスピレーション”という名前のアウトラインプロセッサを使用し、『ねじまき鳥クロニクル』の作品分析を披露している。氏はこれをさらに発展させた「小説分析ソフト」の出現を望んでいるとして筆を置いているが、自分的には氏が『ねじまき鳥クロニクル』で示したようなことが他作品に対して応用できればまずは十分であると感じた。早速、”インスピレーション”を購入し、福永武彦研究会での例会発表、『草の花』(1999年2月発表)、および『風のかたみ』(1999年11月発表)の作品分析に応用した。 『草の花』では発表資料および読書ノートを作成し、『風のかたみ』ではダイアグラムを作成した。ワープロで発表資料を作成するのと違い段落の文章を容易に移動したりコメントを付けたり出来る点は便利で、「思考のエンジン」と呼ばれるのはなるほどと頷ける。ただし買ってきたその日からすぐに役立つほど甘くなかった(慣れは必要である)。現在ではいろいろなソフトを駆使して文学作品の解釈に役立たせているが、”インスピレーション”は手放せないツールである。このソフトはWindows版とMacintosh版の両方があるので、マックユーザーの方にもお使いいただける。


このウェブサイトを立ち上げた1999年当初は、パソコンやインターネットの使用は必ずしも普及しているとは言えないような状況であった。しかし現在ではインターネットの普及が爆発的に進み、パソコンを使用したことのない人たちがいきなりマシンの購入とインターネット常時接続を申し込むのもさして珍しくない。マシンもWindows機が優勢で完全に定着し、OSもWindows XPに統一され以前のような複数のWindowsの違いを認識する時代は終わったと言える。今、自分のパソコン使用環境を紹介する意義は以前に比べてかなり薄れたと思われる。特にハード面を紹介することはほとんど意味が無くなってしまったので、今回大幅にカットした。 しかし、作品解釈のツールとして使用するときにどのようなソフトを使っているのかの紹介は依然として価値があると思われるので引き続き紹介を続ける(2005/3/27)

3.2 文学作品の解釈のためにコンピュータを活用する (ソフトウェア活用の一例)
出典: 福永武彦研究会 例会発表(1998.11.15)/「読書ツールとしてのコンピュータの利用」/rev.070205

ウェブマスターのパソコン環境
(2008年11月更新)
大きな変更として、WebオーサリングソフトをホームページビルダーVer.9からDreamweaver Ver.8 に変えました。Dreamweaverはプロの道具として全世界のウェブデザイナーが愛好しているソフトだそうです。ホームページビルダーは表のデザインで使い勝手があまりよくなかったのと、少し本格的にWebデザインの実践を積みたいと思いましたので、思い切ってDreamweaverの導入に踏み切った次第です。また、作品解釈ツールとして、新たにマインドマップを導入しました。マインドマップ自体は手書きでも作れますが、私はパソコンを使ったツールを導入しています。室生犀星『かげろうの日記遺文』の作品解釈が、マインドマップを用いた初の作品解釈発表になります。

分類 商品名と製造元 用途と使用例
OS Windows XP (SP3)
インターネット ケーブルテレビの常時接続サービスを使用、下り10Mbps
アンチウイルスソフト ESET社NOD32
アウトラインプロセッサ  インスピレーション((株)スリースカンパニー)Ver.6

作品分析
フローチャート作成
マインドマップ作成ツール Mind Jet社 Mind Manager Pro Version 6 作品分析
マインドマップ作成
PDF作成 Adobe社Acrobat Standard Version 8

PDF作成
(フローチャートやマインドマップのPDF化)

データベース 知子の情報Pro/Mail ((株)テグレット)
MS-ACCESS2000
読書データベース
(知子の情報を推奨)
表計算
プレゼンテーション
描画
MS-Excel2000
MS-PowerPoint2000
Canvas Ver6.0(DENEBA社)
一覧表の作成など
描画
ドローツール
ワープロ・エディタ MS-WORD2000
一太郎2006((株)ジャストシステム)
秀丸エディタ/シェアウェア
原稿、草稿作成
縦書き表示が出来るのは一太郎
WORDは図表貼り込み編集に便利
電子メール Becky! Internet Mail Ver.2/シェアウェア
Ad-Aware 2008

電子メール(メーリングリスト参加)
スパイウェア検出ソフト

WWW ブラウザー
Webオーサリング
MS Internet Explorer 6.0
Macromedia Dreamweaver Version 8
ウェブサイト閲覧/作成
フォトレタッチ
画像コンバーター
Paint Shop Pro Ver 4.2J/Met's Corp.
Easyサムネイル Ver1/AKIHITO38氏作成
ウェブサイト作成(画像ファイル加工)、画像サイズ変換ツール

知子の情報Pro/Mail

非定型テキストデータベースソフトと言われているもので、ウェブマスターが使っているソフトの中では比較的ユニーク。
根強いファンがいる一方(実は私もその一人)、周りで使っている人はあまり見かけない。
複数のテキストデータにインデックスとキーワードを付与し、一つのファイルにまとめあげるイメージ。
ウェブマスターは、MS-DOS時代のVersion 3からこのソフトを導入して読書ノート作成に活用している。

Inspiration Version 6

アウトラインプロセッサと呼ばれるソフトで、アイディアを視覚化するために用いる。フローチャートや相関図を作成するのに適する。(マイクロソフトのパワーポイントでもできなくはないが、大変)このウェブサイトで紹介している、作品の構造分析図はこのソフトで作成している。

Mind Manager Pro Version 6 マインドマップ作成ツールの定番。マインドマップは、以前からあるものだが、最近はノート術などで注目されている。一種のノート術であるが、思いついたことを書き留めておき展開する方法で、ソフトを使わなくても手書きでも可能。
Canvas Version 6 イラストレーション、ページレイアウト、イメージ、プレゼンテーション、Webパブリッシングなどの機能が含まれた統合ソフトで、プロのテクニカルイラストレーターの使用にも耐えられるプロ仕様のツールである。生物医学の分野では図表の作成編集のために、Photoshopと共に用いられることが多いらしい。自分はInspirationで作成したフローチャートをさらに加工する場合に用いている。アイディアマップや概念マップの作成は専用ソフトであるInspirationで作成するのが便利であるが、Inspirationは使用できるグラフィックツールに制限があったり複数のページを別々のGIFファイルに出力できないなどの難点があるため、最終的にはCanvas上にデータを集めて加工、修正、印刷、保存するのが便利である。
Dreamweaver Ver.8

Webオーサリングツールで、世界中のWebクリエーターが愛用しているソフトと言われているようです。ホームページビルダー2000から使い始めて、延々7年間はバージョンアップをしながら来ましたが、表の作成とコードビューに切り替えたときの使い勝手が悪かったのでこちらに乗り換えました。ホームページビルダーで感じていた不満は解消され、ウェブ作成はむしろ楽になっています。このソフトは入門から高度なレベルまで取り扱った参考書が多数出版されていますので、初めてウェブを作成される方にとっても敷居は高くないと思います。ホームページビルダーに比べると高価(4−5倍の価格)なのが難点ですが、それだけの価値はあると思っています。


Office2000とInternet Explorer: 数年前からOffice 2000を使用し、Internet Explorerは現在の最新versionを使っています。MS-WORD2000はHTMLエディタの機能を持っており、Webページを直接編集することができますが、私はこの機能はほとんど使ったことがありません。

ハードウェア:
 2008年8月に刷新しました。ショップブランド製のデスクトップ機で、CPUはIntel Core2 Duo、メモリは3GB,HDDは500GBと大幅にアップグレードしています。モニタは17インチのワイド液晶、キーボードはTopre社のRealForceキーボード、マウスはMicrosoft社のワイヤレスマウスを使っています。私のお薦めとしては、キーボードとモニターには拘ったほうがいいです。キーボードは自分と機械との接点ですから、自分にとって一番使いやすいものを選ぶのが望ましいです。RealForceは打ちやすく、使い勝手はよろしいです(多少お値段は張りますが)

インターネット常時接続環境: ウェブマスターはケーブルテレビを介してインターネットに常時接続しています。インターネット利用し放題になると、今まではせっせとダウンロードして溜めていたファイルも必要な時に最新版をネットから持ってくればよい、という感覚に変わります。

スパイウェアおよびSPAM対策: 最近になって特にWebを閲覧したときに勝手に広告が出現したり、ネット販売の宣伝メールが多数メールボックスに届くようになりました。これらは迷惑メール俗称SPAMメール)と呼ばれており、インターネット社会における迷惑行為として世界的な問題になっているのはご存じの方も多いと思います。当方ではこれらを撃退するための専用ソフトを導入して活用しております。SPAMメールは月に千通近く届き、とても手動で対応できる量ではありませんので、このようなツールに頼ることが必須となっています。


3.3 コンピュータ活用のための関連文献

 直接関係はないですが、役に立ちそうな参考書を数冊ご紹介します。


・諏訪邦夫ら著 『パソコンなら仕事が2倍できる』、技術評論社(1996)
  麻酔科のお医者さんが書いたパソコン活用法。
  パソコンの進歩が早いので少し時代遅れな記述もあるが考え方は十分使える。
  文学作品の解釈だけでなくいろいろなことに積極的にパソコンを使おうとする意欲的な人向き。

・鶴岡雄二訳 『アラン・ケイ』、アスキー出版局(1992)
  数少ないパーソナルコンピュータ分野の古典。パソコンのビジョンを明確に示している点で非常に興味深い。
  特定の目的を離れ、パソコンが持つ潜在的な可能性について言及している。
  と共にパソコンは将来はこういったツールになるべきなのだと、明確な方向性を示している。
  7年も前に書かれたものだが全然古くさい感じがしない。

・ビル・ゲイツ 『思考スピードの経営』〜デジタル営業教本、日本経済新聞社(1999)
  いわゆるBPR(business process reengineering)の本である。マイクロソフトの宣伝色が強いが(^^;
  いろいろな会社がデジタルツールをどのように使っているか、豊富な実例で説明されていて興味深い。
  この本で説かれている、「デジタル・ナーバス・システム」という概念は今後当たり前になっていくと思われる。

・クリストフォード・ストール 『インターネットはからっぽの洞窟』、草思社(1997)
  インターネット世界の幻想を描いた本。ビル・ゲツの本と併せて読まれることをお薦めします。
  陳腐な言い方ですが、「要は、使う人次第」ということでしょうか。私の意見はどちらかというとビル・ゲイツ寄りです(笑)。

・W.W.ギブズ「コンピューターで生産性は上がらない」、日経サイエンス,10月号,20-31,1999
 オフィスにおけるパソコン利用の実態についてのレポート。投資額に応じた見返りを求めるにはいくつもの注意が必要であり、単にマシンを入れただけではかえって生産性を低下させるだけだという。特に頻繁に繰り返されるソフト/ハードの更新はオフィスの生産性を下げる元凶だとのこと

・千葉敦子『ニューヨークの24時間』、文春文庫(1990)
 忙しい人のための生活術について、著者の体験を元に紹介したもの。後半にはコンピューターを使った仕事のやり方とオンライン・データベースの紹介がある。この本の著者はフリーのジャーナリストで、乳ガンと闘いながら最後まで自分の人生を楽しんだ人である。乳ガンの闘病期は今でも読み継がれている。コンピューターを使った仕事や検索のノウハウは今から15年以上も前のものであり、ブローバンド接続のインターネットがあたりまえになっている今とは環境に格段の差がある。しかし、読者はここからパソコン活用について、何らかの有益な示唆を得ることができると思う。頭が良い人の考えたりやったりしていることというのは、たとえそれが何時の時代のものであっても参考になるものだと思います。

・加藤仁『定年後をパソコンと暮らす』、文春新書(2004)
 いわゆる”熟年世代”のパソコン活用術をドキュメンタリー風に紹介したもの。諏訪邦夫氏の本が仕事にばりばりとパソコンを使うのに対し、こちらは自分の生活を豊かにし、楽しむためにどのように使いこなしているかという事例が中心。インターネットが爆発的に普及した後に出版されたものであり、事例もメール、ホームページ作成などインターネット関係の使いこなし事例が目立つ。コミュニケーションツールの一つとしてのパソコンの可能性を見るには良い本。


3.4 WEB 2.0時代に生きる−インターネット活用法

・梅田望夫『ウェブ時代をゆく』、ちくま新書(2007)
 梅田氏はblogやGoogleの検索エンジンの発達により、インターネットの活用が新たな段階に入ったと論じているが、そのようなインターネットを主に個人の立場で活用するにはどのようにしたらよいかを説いた本。梅田氏の前書『ウェブ進化論』の完結編とされるが、独立した読み物として楽しめる。ネットを知的生産の場として活用したい人、ネットを活用して自分の興味を磨いたり、コミュニケーションを充実させたいと思う人にとって有用。

 WEB 2.0時代のインターネット活用で一番面白いのは、氏はネットワークの創造にあると説いている。これはブログなどを活用して世界中の人々とコミュニケーションを取り、自分が強く興味を持っていることに対して世界的なネットワークを作り上げることを指すのだが、ブログは確かにコミュニケーションを取るには便利なツールが揃っているように思う。自分の好きなこと、興味があることをインターネット上に公開すると、全世界から同好の士を集められるというが、まあ可能性があるというのは認めるが、分野により偏りはあるだろう。

 この中に、渡辺昇一『知的生活の方法』についての記述がある。梅田氏がこの本をどのように読んだかがわかって面白いのだが、氏は本を買い続けることが知的生活なのだと思ったようである。(ちなみに私は、繰り返し読むことやカードシステムが一番面白かった)。インターネット時代には本を買うこと、それを所有するための空間を確保することの意義もまた変わってくる、というのは賛成である。私のノートパソコンには、新潮文庫の絶版100冊、新潮文庫の大正文学、新潮文庫の明治文学の3つのライブラリーがインストールされていて、旅先や喫茶店で楽しめるようにしていて、『知的生活』の時代から比べると空間に対するハンディは格段に小さくなっていると思う。

 梅田氏に強く共感したのは、「知的生産」と「知的生活」の違いについてである。一人で行う(=自己満足の世界の)”知的生活”と、”他者に伝えること”を最終目的とする「知的生産」は明確に異なる。「知的生産」とは自分から発信することであり、そこには「利他性」や「パブリックな意識」が自ずから生まれ、すると必然的にそこには社会貢献という意味合いも含まれると氏は主張する。インターネットは個人が情報発信するには極めて強力な道具であることには間違いなく、ウェブ上は”知的生産”をするには最適な環境になっているはずである。



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