パリ滞在レポート

Report No.4
2004.8.19 rev.


プルーストあれこれ〜Parisのプルースト巡りとIlliers-Combray訪問記

カルナヴァル博物館(I'Hotel Carnavalet)
ここはもともとはパリの歴史資料が展示されているところで、現在はフランソワ1世の時代から現代に至までの資料が展示されています。
家具や調度品もなかなか見事で「西洋ーっ」ていう雰囲気をたっぷりと味わうことが出来ます。建物も立派で多くの貴族が住んだ由緒ある館らしいです。
ここの展示品のひとつにプルーストの部屋のイミテーションがあるのです。写真撮影可でしたので記念撮影してきました。
マドレーヌと紅茶が無かったのは残念でしたが。


カルナヴァル博物館にて:プルーストの書斎


ペーレ・ラシェーズ墓地(Cimetiere de Pere-Lachaise)
パリ最大の墓地だそうです。かなりの有名どころが眠っています。音楽家ショパン、作家ではネルヴァル、バルザック、ユゴー、オスカー・ワイルドなどなど。初めは墓地に観光に行くって?!と思ったんですが、公園を散歩する雰囲気で訪れることができます。そう聞いたときにも半信半疑だったんですが、いざ出向いてみると本当に気軽に訪れることができる場所でした。Metro 2,3番線のPere Lachaise駅で下車し、お墓はすぐ目の前です。
門のところに地図を売っている人がいて(1枚10FFでした)、誰の墓を訪ねたいのかと言うと番地を教えてくれます。
ちなみにこの地図、日本語の解説もついていました。
それから「あなたは日本人か?」と聞かれて、そうだと答えると日本語で挨拶をしてくれました(笑)。
墓の中は結構混雑していました(つまり、自分のような目的で来る人が多いということですね)。
結構いろいろな形をした墓が所狭しと建っていてずいぶん面白いなと思いましたね。でも土葬なんだよな。。
だいたい近くまで来たけれど墓石が見つけられず、近くで墓石を掃除していたおばあさんに聞きました、もちろん地図を差して「プルースト、しるぶぷれー」と言いましたが。こちらの意図は通じたんですが、向こうから返ってくる返事がわからなくてまごまごしているとおばあさんは僕の腕をつかんで「あっち」と教えてくれました。そのまま歩いていと。。おお、あった! 成沢さんのホームページで見たとおりのプルーストのお墓を見つけました。墓石の上には小さな花が2鉢飾ってありました。向こうからおばあさんが様子を伺っているので丸サインをだして見つけたことを報告。しばらくその場で墓石を眺めているとぽつぽつと人が来て見学したり写真を撮ったりしていきました。うーん、自分が今読んでいる超長編はここに眠っている人が書いたのか。。と奇妙な気持ちで、これは昨年の夏に玩草亭を訪れたときに感じた印象と同じでしたね。

   


ペーレ・ラシェーズ墓地(左)と墓地内に設置されているプルーストの墓:暗い雰囲気はなく、まるで日本の公園のようだ

オルセー美術館(Musee d'Orsay)
何気なく購入した作品集の中にプルーストの肖像画を発見。展示されているというので慌てて見に行ったがそこには存在しませんでした。展示されていた絵というのはリファレンスの中で紹介している『プルーストによる人生改善法』の表紙にも使われている絵。これは同じものをCombrayのプルースト記念館で見ました(複製かもしれないけど)。『失われた時を求めて』の絵本第2巻の但し書きにはd'Orsayという単語がちらほら出ていますから、たぶんこれはオルセーのコレクションを参考にして描いている、ということなんでしょう。

イリエーコンブレー(Illiers-Combray)へ
コンブレーはパリから約100キロ離れたところにあり、ノートルダム大聖堂で 有名なシャルトルからバスで約30分ほど行ったところにあります。もとはここはIlliers(イリエ)という名前だったのを、『失われた時を求めて』を賞賛して町の名前をIlliers-Combrayと変えてしまったという経緯があります。これは成沢さんのホームページで知ったことなんですけど。。 こちらに来たとき観光でどこに行きたいか、と訪ねられたとき、有名どころはそれなりに行きたいが、是非コンブレーに行きたいと話したら、「コンブレー?」という返事が返ってきました。そもそもどの辺にあるのかすら知らないという人もいましたが。。
シャルトルまではフランス周辺(Ile de France)なのでしょうが、コンブレーはここには含まれません。
研究室の人に協力していただいて列車の時刻、料金を調べ(コンブレーーパリ(モンパルナス)間は片道87FF、2等車)、いざコンブレーへ。
シャルトルまでの便は結構ありますがその先がなく、日帰りを想定した場合利用可能な足は1日2本しかありません。しかもシャルトルから電車ではなくてバス。。本当はフランスのローカル鉄道に乗りたかったんだけれど。。
それからフランス国鉄(SNCF)の切符は実に立派で、まるで飛行機のboading passのようです(注0)。日本とは違い、駅構内にある刻印機でを使い自分で刻印してから乗車します。下車時の切符回収はありません(記念品として最適)。モンパルナス駅の駅員さんの対応は実に親切で、刻印機のことからどの列車に乗ったらよいのかまで親切に教えてくれました。面食らったのが番線で、なんと発車5−10分前にならないとどのホームから列車が出るのかわからないのです。あんなにたくさんホームがあるのに何故なんだろう。。そして、いざ発車番線が決まり、列車がホームに入ってきて乗車。。が、暗い。。室内に電灯がついていないんです。。すぐに点くのか思っていたらいつまでたってもつかない。。しかも6人がけのコンパートメントで、他にはちょっと怖そうな感じのおにいさんが乗っているし。。 なんかやだな。。しかも発射時刻を10分以上経過してもいっこうに動かないし、アナウンスもないし、いったいどうなっているのか。。と不安だらけでした。他の乗客は誰も何も言わずにおとなしく座っているので、たぶんこんなことは日常茶飯事なんでしょう。日本だったら30秒おきに車掌が謝りまくるんでしょうが。
やっと列車が発車し、窓から景色を眺めます。パリを抜けると1戸建ての住宅を見かけるようになり、ああ、ヨーロッパだなぁと思うような景色の中を約1時間走りシャルトルへ。接続のバスがちゃんと待っていて、そこからコンブレーまで30分の旅です。道路を走っていると標識にはIlliersと書かれたものとIlliers-Combrayと書かれたもの2種類があって、町の名前が変わったのがそんなに古くないことがわかります。

そして、いよいよコンブレー駅に到着。コンブレー駅の正面の通りをまっすぐに歩いていくとプルーストの名を冠した中学高校があります、町の案内図にもプルーストの顔が出ていてこの町の由来が紹介されています。コンブレーは典型的なヨーロッパの田舎町というのでしょうか。中央にカソリックの教会(サンージャック教会)がばーんとあって、その周りを取り囲むようにして町ができあがっています。そして一定時間ごとに教会の鐘が鳴るんです。ヨーロッパの雰囲気にどっぷりと浸かった感じでした。教会はまさに絵本のコンブレーそのものです(^^;  プルーストの遊び場所だった公園(プレ・カトラン)を見学し、近くの菓子屋でマドレーヌを買って(しっかりとプルーストのマドレーヌと書いてある)、それからプルースト記念館を見学しました(注1)。プルーストやその親戚のたくさんの写真や手紙が展示されており、ガイドが付いて説明してくれるんですが全部フランス語。。英語のパンフレットをもらいましたけど。。寝室にはちゃんとマドレーヌと紅茶のセットが飾ってありました(^^;  1月の終わりにパリの国立図書館でプルースト展が行われていたらしいのですが、その時に開催されたシンポジウムのポスターをもらいました。そこにはJ.Yoshidaという人が日本でのプルーストの受け取られ方というような講演をされていました(どうも京大の先生のようですが)。この人のことは知らないとガイドさんに言ったら、それではイノウエは知っているかと言われて、その人の訳したものを今自分は読んでいるんだと答えました。展示を見終わった後で記念の絵はがきや肖像画を買いました。また、サンジャック教会の近くの本屋では『失われた時』の絵本第2巻をゲットし、満足した1日でした(注2)。

イリエ・コンブレー周辺の写真はこちら

0)後日、先生の自宅を訪問させていただく機会を与えられました。帰りにSNFCの駅で購入した切符は黄色く地下鉄の回数券とサイズは同じで自動改札用。聞いたところによると大型の立派な切符は遠距離用のもの、回数券と同じサイズの切符は近距離用とのことでした。日本のJRの方が統一されていてシステム的には優れているんでしょうかね。

(1)実は、自分がコンブレーに到着したのは朝の11時ちょっと過ぎ。モンパルナス駅を9時半近くの列車で出たのでパリから距離的にはそんなに遠くありません。コンブレーに到着すると同時にプルースト博物館に直行しましたが。。。鍵がかかっている。。げっ、どうしよう、せっかくここまで来たのに。。。土日は確か開いているはずじゃないのか。。。。と、途方に暮れていると、地元の人が「プルースト、プルースト」と言いながら近づいてきます。もちろんフランス語。。で、向こうは事情がわかっているようで何かを説明したいらしいのですが、自分にはそれがわかりません。和仏ー仏和辞典を介してなんとか単語のやりとりをしていると、どうやら14:30からオープンするとのことらしく、それまで待てば入れるよということでした。今更ですけど言葉が通じないってものすごくもどかしいですね。。

(2)プルースト記念館でもらったパンフレットにはプルースト研究所の案内が載っていてhomepageとe-mail addressが掲載されていました。早速リンクを依頼するmailを送信し(もちろん英文)承諾をいただきましたので、リンクとして追加してあります。また一緒にプルースト記念館を見学した方がmailをくれたのも驚きでした!


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