| 私の読書ノート |
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読書ノートから、お勧めの書籍(文学作品の朗読を含む)をご紹介します。
千葉敦子『若いあなたへ!』、偕成社(1988) 千葉敦子氏の遺作。彼女が亡くなる7ヶ月前に英語教科書を作成する出版社の依頼で、高校の英語教科書に載せるべく、女子高校生向けのメッセージを英文で綴ったものである。オリジナルの英文の他、和訳(千葉敦子氏の妹さんも内容の確認に参加しておられる)と、千葉敦子氏の人となりを紹介するエッセイ2本(執筆者はそれぞれ千葉明子氏と村上むつ子氏)が収録されている。 当初は英語の教科書に収録される予定で書かれたものだが、結局収録されなかったらしい。もし教科書に収録されていれば、この文章は多数の女子高校生の目に触れ、この文章に触発されて進路を決める生徒がいたに違いないと思うととても残念である。進路を決めるまでの影響は受けなくても、千葉敦子氏の名前はもっと広く広がっていたに違いない。 千葉敦子氏が就職した当時は、現在(2009年)とは比較にならないくらい女性が活躍できる場は少なかったらしい。そのような中で繰り返しアタックして自分の思いを実現させたのは、言葉にし難い努力と根気の賜だと思うが、この文章の読者に対しても是非、自分の可能性を信じてチャレンジすることを薦めている。メッセージの対象は女子高校生だが、大学生や社会人に対しても充分価値がある。 他の著書、『いのちの手紙』や『ニューヨークでがんと生きる』の中でも触れられているように、千葉敦子氏は自分で自分の運命をコントロールすることにとても強くこだわった人である。自分の生きる道を自分で選び取れるだけでなく、自分の死に方も彼女は自分で選び取った。少なくとも彼女の著書を読む限りにおいては、そしてその著書の中に時々出てくる友人・知人の目を通して見る限りにおいても、彼女の意志は本当にすっきりと一本の筋が通っている。ここまでハッキリと、物事を徹底できた人というのを私は他に知らない。 千葉敦子氏の妹、千葉明子氏が書かれているエッセイ「巣立ちに備える頃」は、千葉敦子氏の人となりを知るとても貴重な資料である。千葉敦子氏が小さい頃どのような子供であったのかを、肉親の目で示してくれている。千葉敦子氏の父親は新聞の評論委員を勤め、千葉明子氏もテクニカルライターの職に就いていることが書かれているが、家族全体で活字絡みの職業と親和性が高かったのかもしれない。小さい頃から努力家であり、時間の使い方が上手かったという彼女の特性は、大人になってからも生活、仕事に見事に活かされている。
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| 読書ノート No.37 2009/8/2 | |