私の読書ノート

読書ノートから、お勧めの書籍(文学作品の朗読を含む)をご紹介します。

エッセイの名手、藤原正彦センセイの新刊書です。以前に読売新聞で人生相談のコラムを担当していたのは知っていましたが、それがまとまって本になったのですね。人生相談というと、田辺聖子もやっていましたが(これが本になったかどうか知りませんが)、さすが藤原先生、楽しく読ませてくれます! 新聞のコラムをずっと読んでいた人も、まとまって一冊の本を購入する価値はあると思います。

10代から60代まで、年齢別にまとめられています。若い年代は受験のこと、壮年世代は子供や孫の話が多いですね。まあ悩みのタネは常にこの辺から発生するためか、あるいは藤原先生は教師なので学校や受験の話が得意なためかはちょっとわかりませんが、楽しく読めることは確かです。

学校で友達が一人もいなくても全く心配無用、いろいろな個性があるだけのことと明解に回答される一方、受験浪人の身分で経済的な負担を考えアルバイトをしたのは失敗だと、これまた明解に回答。現実をきちんと見据えた上で簡潔に力強く答える様は、町病院の院長先生を彷彿させます。大丈夫だ!という精神的な励ましこそが、一番求められているのだという、いわばごく当たり前の事実を簡潔に、力強く示してくれる好例ですね(^_^) 個々の具体的な回答については、この本を読んで大いに楽しんでいただくとして、全体に流れる藤原先生の「個」を大切にする生き方というものも是非味わっていただきたいと思います。

ここに挙げられている72章は、私たちが日常的に接する、どこにでもある類の相談ばかりです。だからこそ回答者の個性や考え方が色濃く反映されるとも言えるでしょう。藤原正彦センセイのファンの方には、是非一読を勧めたい内容です。

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藤原正彦
『人生に関する72章』(2009)


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読書ノート No.27 2009/3/08
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