私の読書ノート

読書ノートから、お勧めの書籍(文学作品の朗読を含む)をご紹介します。
該当作品にはAMAZON書店へリンクを貼りましたので、興味を持たれた方は見てみてください。

梅田望夫氏の本を再度取り上げたいと思います。

対談集ですが、対談相手は斎藤 孝さんという、身体論や教育論をやられている方です。見たところ、かなり繊細な感覚の持ち主のようで、武道のセンスがある方のようにお見受けしました。この方の書かれた、『身体感覚を取り戻す』という本はずっと前に買ったのですが、まだ実家の本棚で眠っています(笑)。

梅田氏の対談はいくつか出版されていますが、この本も楽しく読了しました。私が梅田氏に抱いていた感触が間違っていたことが発見でき、有意義な読書でしたのでここでご報告させていただこうと思います。

梅田氏が「本当に好きなことを貫く」と言っていることに対して。まあ確かにそれができればハッピーなんだけれどと、私はやや斜に構えた見方をしていたのですが、ここで梅田氏が言いたかったことは、世の中は情報の流れが早くなり、かつ量も増えたおかげで、大抵のことは既に誰かがやってしまっている。そのような中で自分の居場所を勝ち取ったり見つけたり(社会人で仕事をされている方はイメージがしやすいでしょう)するのは本当に大変である、だから、本当に自分が好きでやっていることでないと良い結果が出せない、ということだったのです。好きなことをやっていればハッピーであるという、牧歌的な意味で言われたのではありません。昔よりも圧倒的に流れが速く、かつ量も多い現代で、自分にぴったりと合ったことでないと競争力が出せないということなのです。

自分にぴったりと合ったことをやっていると、長時間働くことが苦にならない。しかもどんどん前向きに仕事が進むので、仕事の量も質も向上する。結局のところ、勝手にたくさん仕事をしている人が「良い仕事をしている」ことになって、生き残っていくということなのです。

日本人は働き過ぎだ、残業が多い、労働時間を減らせという主張が以前はありましたが、先日発表されたOECD加盟国の中で日本は30カ国中19位であり、経済大国とは言えない状況です。(こちらを参照)

また、同じくOECDの国際学力比較のデータを見ると、日本の順位は低下しています(2006年のデータ、こちらを参照)。

厳密に議論するといろいろと解釈がなるのでしょうが、現在の日本人はかって世界が注目したほど生産性は高くないし、勤勉でもないということかと思います。残業が多いというのも、本当に生産性が伴っているのかどうかを検証する必要があるでしょう。これからはら、生産性が高くかつ長時間の労働(集中)が求められる時代に入ってくるので、そうなると好きでない仕事では続かない、と。イヤイヤでもなんとか成果が出せた時代は終わり、イヤイヤだと要求水準に達しないという事態が起こる。そうなるとその人の(社会的な)居場所が無くなる、とこの本は警告しているのです。よく読むと、梅田氏はとてもシビアな物の見方をされていることがわかります。

仕事している/していないにかかわらず、10代後半以降の方には是非お勧めしたい一冊です。

よろしければ、以前の読書感想文、梅田望夫著『シリコンバレー精神』もご覧下さい。こちらから。

コメントがありましたら文学作品を読むblogまでお寄せ下さい。




梅田望夫・斎藤孝
『私塾のすすめ』(2008)


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読書ノート No.24 2008/12/29
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