| 私の読書ノート |
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読書ノートから、お勧めの書籍(文学作品の朗読を含む)をご紹介します。
紹介のスタイルとして、読んでくださっている皆さんに手紙を出すという想定で文章を作っています。
該当作品にはAMAZON書店へリンクを貼りましたので、もし興味を持たれたら手に取ってみてください。
| 拝啓 先日大阪に日帰り出張しました。帰りにお腹が空いたので駅ナカの蕎麦屋へ。 私は、たぬきそば(蕎麦に揚げ玉が入っているもの)を食べたくて、それを注文したのですが、 運ばれてきたのはなんと厚揚げが入ったキツネ蕎麦・・(^_^;) 店員に「これ、違うんじゃないですか」 と確認したところ、大阪ではこれがたぬきなんだと説明をされました。お店のおばさんの話によると、 たぬき→そば、きつね→うどん 関東で言う「たぬきそば」というのは、大阪では「ハイカラそば」という そうです。私は、大阪には結構な回数行っているのですが、これは初耳でした。次回大阪に行ったときには<赤いきつね>と<緑のたぬきと>を購入し、関東で売られているものと違うかどうかチェックする予定。 閑話休題、私は今この文章を東京郊外にある喫茶店で書いています。駅前の木々が美しく紅葉を迎え、穏やかな昼下がりのひとときです。今日の朝に、久々に作品解釈を追加して一仕事終えたという気持ちですが、ひとつ解釈を作るとそこからたくさんの宿題が発生しますね。ま、それが楽しいことでもあるわけですが。 今回ご紹介するのは、私のお気に入りの書き手の一人、ドイツ哲学者である中島義道氏の書籍です。 氏の著書については既にweb siteのコンテンツでもご紹介させていただいており(こちらです)、 読んでくださった方もいらっしゃるかもしれません。氏が感じた「厭なこと」に対し、思いっきり厭だ!と 言っている本であると言えましょう。大部分の日本人が好きな人を敢えてターゲットとし、そこに潜む イヤラシサを掻き出したとも言えるでしょう。この本を読むと、NHKの喉のど自慢や新聞の投書欄を見る目が変わってしまう、という副作用があります(笑) それから、町中でよく<ふれあい広場>や <希望の広場>のようなキャッチフレーズがありますよね。こういうものに対する見方も変わります。 この本では、10のタイプの「私が嫌いな人」が紹介されています。ここではこの中からひとつだけ レビューしましょう。第4章の「いつも前向きに生きている人」です。NHKの朝の連続ドラマ小説に ありそうな設定ですが、このような人たちは人並み以上に厭なことや悲しいことを経験していることが多いとされています(まぁ本当なのでしょう)。氏が問題にしているのは、「いつも前向きに生きている人」はとにかく「後ろ向きに生きている人が嫌い」ということ。つまり、目障りなのです。後ろ向きに生きている人を見ると、全力でそれを直そうとする(調教、という言葉を用いています)。ここが問題だというわけです。 それでは、くよくよ後ろ向きで何が悪いのか。氏は結局のところそれは「いつも前向きに生きている人」 自身が不愉快だからだろうと考察します。そしてそれは<大きなお世話だ>と。 最後は、どんなに マジョリティが声を大にして「前向きに生きる」生き方を強制しても、それは「正しい」ことにはならないと 締めくくります。 そうですねー私は大変面白い本だと思うのですが、人によってはアレルギーが出て 受け容れがたいかもしれません。 敬具 |
中島義道 『私の嫌いな10の人びと』 新潮社(2006) |
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| 読書ノート No.2 2006/12/2 | |