私の読書ノート

読書ノートから、お勧めの書籍(文学作品の朗読を含む)をご紹介します。
紹介のスタイルとして、読んでくださっている皆さんに手紙を出すという想定で文章を作っています。
該当作品にはAMAZON書店へリンクを貼りましたので、興味を持たれた方は手に取ってみてください。

拝啓

拝啓 天候がはっきりしない日が続いております。先日、銀座にある「コージーコーナー」に入ってお茶をしました。私は、「コージーコーナー」と言えばミニケーキという印象があったのですが、最近では洋菓子の他にカレーやパスタもあるとは初めて知りました。軽食は食べませんでしたけれど、注文したレモンパイはなかなか美味でしたね(^_^)。レモン味のケーキって意外と置いている店は少ないのです。

さて、洋菓子で私が一番好きなのは「エクレア」というお菓子です。シュークリームを細長くしたものの上にチョコレートがかかっているのですが、味としてはシュークリーム+チョコだと思っていただければよろしいでしょう。単にシュークリームの上にチョコレートを載せればいいじゃないかとも思うのですが、洋菓子のお店をご覧になればわかるとおりそのようなものは探してもありません。シュークリームとエクレアは、似ているようで実は別系統のお菓子なのかもしれません。これは今でも私の中で未解決の謎です。

私が、エクレア(エクレールとも言う)の存在を知ったのは、小学生の時。チョコレート系の菓子は好きでしたが、チョコレートを上からかけるタイプのものは意外と少なく、このエクレアの存在を知ったときには「これだ!」と新鮮な感動が体内を駆けめぐったものです。チョコ味のケーキといえば、チョコをカステラに練り込んだものしかありませんでしたからねぇ。

そんな、エクレアの存在を教えてくれたのがこの本、大石真著『チョコレート戦争』です。ネットで何気なく検索してみたら今でも現役で売られているようで、とても嬉しくなりました。で、ここで読書感想文を紹介させていただく次第です。 エクレアというのがフランス語で「いなずま」という意味であり、それはイナズマのように素早く食べてしまわないと中にはいっているクリームが流れ出してしまうからだというのもこの本から得た知識です。(しかし私はクリームが流れ出してしまうほど一杯に詰まったエクレアを食べたことはありませんです。少なくとも不二屋のエクレアは結構クリームは固かった)

話は主人公「私」が夜行列車で乗り過ごすところから始まります。帰りの列車を待つ間、小学校の先生をしている旧友を訪ねたところ、びっくりするほど大きいケーキが学校に運ばれてくるのを目にします。「そうそう、それについては面白い話があるんだよ」、友人が「私」宛てによこした長い手紙から、この物語がは始まります。

S市にある小学校の風景からスタート。この町にある洋菓子屋、金泉堂のお菓子は彼等のあこがれの的ですが、お値段もすばらしく高く、おいそれと手が出るものではありません。「テストで100点取ったら金泉堂の洋菓子を買ってあげる」というのが一番の殺し文句だったとあるので、その効力はすざまじいものだったのでしょう。(今ならさしずめファミコンやプレステでしょうかね)

この金泉堂のシンボルマークが、ショーウィンドーの中に入っているお菓子の城。彼等がうっとり眺めていると突然ショーウィンドーが割れ、子供達がその犯人扱いにされてしまいます。怒った子供達は団結して立ち上がり、仕返しをしようと金泉堂の社長こと金兵衛氏に立ち向かいますが・・・

大人vs子供達の構図を上手く活用し、読み手をハラハラさせるドンデン返し、最後には爽やかなハッピーエンドに結びつけていく話の運びで、大人でも充分に楽しめるようになっています。ファミコンやプレステもない時代の話で今の時代の小学生にはいまひとつピンと来ないかもしれず、どちらかというと小学生のお父さん、お母さんが読んだ方が面白く感じるかもしれません。


追伸 同じ著者による、『教室205号』という小説の読書感想文を追加しました。こちらからアクセスできます。『チョコレート戦争』に比べて大人社会の影響をより深刻に受けた作品ですが、著者の持ち味である子供同士の躍動感溢れるやりとりは充分に楽しめます。お勧め。

敬具



大石真
『チョコレート戦争』
理論社刊

単行本


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読書ノート No.10 2007/7/8
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