読書ノートから、お勧めの書籍(文学作品の朗読を含む)をご紹介します。
紹介のスタイルとして、読んでくださっている皆さんに手紙を出すという想定で文章を作っています。
該当作品にはAMAZON書店へリンクを貼りましたので、もし興味を持たれたら手に取ってみてください。
拝啓
東京都下では紅葉が綺麗です。皆様は如何お過ごしでしょうか。実は、
私は晩秋というのが割と好きで、綺麗に晴れ上がってはいるけれど少し
淋しげな秋の空、特に昼下がりから夕暮れにかけての雰囲気が好きです。
私が住んでいるあたりは、空が晴れていれば綺麗な夕日を楽しむことができます。
今回紹介するのは、本ではなくて本を朗読したCDです。宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
はご存じかと思いますし、小学校の国語の教科書などで読まれた方も多いと思います。
しかし、物語をfullで読まれた方というのは意外と多くはないかもしれません。
物語に関してはよくご存じかとは思いますが、ジョバンニとカンパネルラが銀河鉄道に
乗って旅をする物語であります。私は、銀河鉄道と聞くと松本零士さんの「銀河鉄道999」
の方が先に頭に浮かぶのですが(^_^;) 幻想的な世界を美しく描ききっているという点で
この『銀河鉄道の夜』は最高ランクに属すると思われます。
一般に、テキストとそれ以外の媒体で同じ物語に触れた場合、特に文学作品が映像化
された場合に多いですが、がっかりすることがほとんどです。それは、テキストを読むことで
頭の中に自分なりのイメージが出来上がってしまい、後からビジュアルで情報が入っても
イメージがなかなか一致しないというのが原因かと思っています。その点、このCDは逸品で
ありまして、作品世界のイメージと朗読の世界がドンピシャ一致しました。
私は、ジョバンニが銀河鉄道に乗り込むところ、ケンタウルス祭の様子、ジョバンニが幻想の
世界から目を覚ます場面あたりが特に好きですが、この朗読作品はこれらの部分の幻想的な
雰囲気をそっくりそのまま、完全に再現してくれています。
特に私が好きなのが、「鳥を捕る人」の場面と「小さな姉弟と家庭教師」の場面です。
「鳥を捕る人」では、ドボルザークの新世界交響曲がBGMとして流れ、幻想的な雰囲気を
味わえます。この直ぐ後の章にインディアンが鳥を落とす場面が入っているのですが、
まるで目の前で見ているかのようにリアルな描写となっています。
「小さな姉妹と家庭教師」の場面は、3人の若い命が昇天する様が描かれます。
この3人の乗っていた船は氷山と衝突して沈没し、気がついたら3人は銀河鉄道に乗っていた
という設定で、そこには誰かを恨んだり責任を追及したりするのではなく、純粋に別れ、
悲しみの感情が素朴かつ素直に表現されています。そして昇天の場面では3人が天に召される
様子、ジョバンニたちとの別れが淡々と語られていて、朗読ならではの醍醐味が味わえます。
実は、私はこの朗読CDをMP3にしてメモリーオーディオに入れ、通勤途中や出張のお供に
しました。先日アメリカ出張した際、飛行機の中で聴いた『銀河鉄道の夜』は実に聴き応えが
あって、大変充実した気分を味わえたように思います。通勤電車の中で聴くのも悪くなかった
ですが(もちろん帰りです)、寝台列車の中で聴くとさらに雰囲気が出るかもしれません。
繰り返し聴くに充分耐えうる、素晴らしい作品かと思います。
もしこのCDを聴かれましたら、是非感想をお教え下さい。
(追伸)このコンテンツはお陰様で結構人気があるようですので、多少追記しました。
朝日ビデオ文庫のアニメ、「銀河鉄道の夜」感想文を追加しましたのでご覧下さい。
こちらからどうぞ。
敬具
|
新潮CD
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
朗読・岸田今日子
新潮社(1997)
|
私の読書ノートバックナンバーリストはこちら
|
| 読書ノート No.1 2006/11/21, 2007/7/14 rev1 |

トップページへ