モモジロコウモリ 東洋蝙蝠研究所

信州のモモジロコウモリ(Myotis macrodactylus




分布 : 北信 ・ 中信・ 南信
長野県(2004)長野県版レッドデータブックランク : 準絶滅危惧(NT)

 洞穴棲のコウモリである本種は、集まるのがとっても好きです。
ときどき他種の集団にもぐりこんでいることがあります。ここで私たちは、 一つの妙な姿を目の当たりにします。自然界で「種」を越えてからだを寄せ会う 動物って、あまり思いつきませんね。しかも日本の小型コウモリは昆虫食です。 つまりは他の動物を食べるので、正確な表現ではありませんが肉食動物の仲間 とも言えます。夜の食物連鎖のほとんど頂点に立っているコウモリは生物学の 言葉で高次消費者と言いますが、他者を食べる生活をしながら種を越えて同棲 をすることはとても不思議なことです。コウモリファンの一部で、ひそかに 「コウモリはナゾの仲良し動物」と呼んでいるのはそういうわけからです。 捕食生活が性でありながらも、同時に他の生物種との共存・共生を実現されている ところに感心してしまうのは、人間がやりたい放題している地球に危機を感じ すぎなのでしょうか。
 以前見た場所では、素掘りトンネルの中でコキクガシラコウモリがぎゅっと体を寄せて集まる中に 一緒に1頭だけモモジロコウモリがいるのを観察したことがあります。  コキクガシラコウモリに較べると、モモジロコウモリはずいぶん黒い色をしているので、見た目はまるで違うのですが、仲は悪くなかったようです。不思議ですね。
 同様に、1000頭ものモモジロコウモリの大集団の中で、ユビナガコウモリがところどころに点々といたり、黒っぽいモモジロコウモリと茶色っぽいノレンコウモリが半々になっていると、まるでまだら模様のようだったりと、異種間混成の集団をつくることがあります。
 97年の下伊那地方では4月中旬に活動開始が観察されました。
夕方、行動開始と共に洞穴の奥から出てきて採餌をおこないますが、ずっと 飛び続けているわけではなく、割と頻繁な休息をはさむようです。と言って も一々ねぐらに帰ってしまうのではなく、より洞穴の入り口に近いあたりや ねぐら近くの木にぶら下がって超音波で辺りを探りながら時々飛んではまた 戻ると行った繰り返しを続けるようでした。モモジロコウモリは水面を跳び続けているようなイメージがありますが、止まり木が良い場所にあれば、キクガシラコウモリと同様にフライキャッチングの採餌形態を採ることもあるようです。

 2005年に、長野市近郊でいつもモモジロコウモリがいる場所がみつかりました。日によって増えたり減ったりするので、他のねぐらと行き来しながら使っているようですが、だいたい行くと必ず見ることができます。こんな場所が無くなって欲しくはないものです。

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