信州のコウモリ2004
信州のコウモリ 第3章
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1.蝙蝠日記 2004
バンド記号「NUA」を装着されたコウモリが再捕されました。お心当たりのある方はお問い合わせ下さい。また、「B」もありました。こちらについてもどうぞ。
大掃除2
大掃除のコウモリ相談は、2パターンあるなというのが、なんとなく感じるところです。分かっていてコウモリと共存している家では、コウモリの個体数も思ったより少なく、天井裏もきれいな所が多いのですが、今の季節に見つからないのはともかく、夏にたくさんコウモリが出てくるという家の天井裏はコウモリの糞もさることながら、埃がいっぱいであまり掃除していない、防塵マスク無しには入りたくないところが多いというのが実感です。せめて年に1回年末と、できれば盆の頃にも、天井裏までバッチリ大掃除することが、埃も少なくなり健康的な家になることでしょうし、もしかしたら意図的でないにしろ結果的に良い時期のコウモリの追い出しになっていて、一定以上の個体数が住み着かない調整になっているのかもしれないなと思っています。ぜひ確かめたいものですが、このような人にもコウモリにも有用で安全な共存を心みたい家があれば、協力していきたいと思います。
大掃除
年末になって、大掃除の時に家の中で寝ているコウモリをみつけた、といった相談が多くありました。ついでに行けるところへは何軒か回りましたが、普段から人と一緒に住んでいて問題がないようなので、いずれのお宅でもそのまま天井裏の壁に足を引っかけてそっとしておくことができました。冬の間はじっとしているばかりでうるさくもないので、こんなものでしょう。死んでいるかとびっくりされた方も多かったのですが、手袋をぬいで手のひらで暖めていると10分くらいでゆっくり目を覚ますこともありましたが、冬場は餌もないのに目を覚ますと体力を消耗しますから、寒いところで目覚めさせない方が良いでしょう。
野生動物を見て、教えてもらったこと
ペットと違って、直接の接触が極めて少ない野生動物とのつきあいは、その自然な姿を見るためには、より距離を置くことも必要になります。家に住むコウモリ以外の「自然の」コウモリは、むしろ人が配慮しなければならない程でコウモリの側から人へ接触を試みることは極めて希です。
ですので、そっと見守る姿勢ならば、観察できるコウモリの行動は、いつも自然にまかされた姿ばかりなのです。
この秋のことです。ある山里のコウモリが、普段見せない飛び方、声といった、まったく初めての行動を示していました。高感度カメラで撮影したものを再生すると、いつもは使わないねぐらへの出入りもしており、季節柄、社会的行動だったのだろうかと思ったのですが、いつもの秋だけに聞かれるような声でもありませんでした。野生動物が身近なところに住むのを知っていると、毎日観察ができ、日々の振る舞いとの比較をしながらの観察もできるわけなので、自然の変化を見ることになるのかも知れないと、常々思っているのですが、その分を加えて考えても、とてもおかしな行動だったと思い出されます。
翌日、また空が暗くなる頃に同じ場所に行ってみましたが、そこでの異常な飛び方はやみ、いつものように飛び去るコウモリの姿が、秋も深まってやや少なく観察できただけでした。この10月23日の夕方に、観察地のある信州でもちょっと揺れる地震があったから少ししか飛ばなかったのか、22日は前日だから奇妙な行動をとったのかはあまり科学的な検証ができそうにないと思うものの、毎日の姿を見ることで、こういう僅かな変化にも気づくことができていたのかと思ったりしています。
今年、コウモリがくれた福は、こんな小さなことを教えてくれたことくらいかな、と年の瀬になって思い返しています。
急ブレーキ

鳥とコウモリの違いを考えながら観察してみると、その飛び方がまるで違うのでわかると思います。こうもりの飛び方はとても変化に富んでいて、手の中に空気をつかむようにはばたきますが、その翼は足の間までつながっていて、餌を狙った瞬間には、ここをぐっと広げて腰をかがめブレーキをかけるようにしてみたり、片翼だけすぼめてくるりと方向転換したりとめまぐるしい動きを見せます。ぐるぐると同じ所を回るように飛んでいるようで、そうした突然の動きを見せる瞬間が、観察していて面白く、飛翔能力に驚く時ですね。さすがアクロBATです。
赤い鳥?いや、コウモリだ。
コウモリが餌を捕らえようとする瞬間、間隔の細かい超音波が発せられます。その内、一体どれだけの確率でキャッチに成功するのでしょうか。小さなコウモリが捕まえる小さな昆虫はなかなか捕らえられた姿を確認することも難しいものですが、大きな餌を捕ることが多い時期には、なんとか何が捕まったかを観察することもできたりします。
口元に身をくわえて羽が後ろにぶら下がっています
そこで、コウモリと、その口に捕らえられた虫とをはっきり区分するために、画像処理をおこなってみると、昆虫の羽の部分の光の反射の差から情報が得られたりします。
それにしても、翼がぼんやりしてくると、手足のあるいきものという基本形は、普通の動物となんら変わらない感じがするものです。手が長く思えますが、どこまで腕で、どこからが指かが理解できれば、コウモリってどういう特徴がある動物なのか、割とわかりやすい気もします。
いま、オレンジの蛾が流行食!?

そろそろアブラコウモリも出産が始まったようで、妊婦さん、出産後といろいろな状態のが飛び交っています。いずれにしても腹は減ります。子育てをしなければならないメスは遠くまで行く体力がないのかどうなのか、割と早い時間にもねぐらへ帰ることもあって、夕方には家の周りで猛烈に餌を採ります。そんなコウモリがどんな餌を捕っているか見てみたところ、今年はオレンジ色の蛾が特に発生しているのか、これが捕りやすいのか、わずか1分たらずの間に飛んできた内、5頭までもがこれを捕まえ、くわえて飛び去っていきました。
果たしてこれが何という虫なのか、今度は人間が網を持って捕まえに行かないと何だか知ることができなさそうです。ところでまだ今は毛虫の段階ですが、今年はミズナラで発生する蛾が多く見られています。その内羽化すればコウモリが食べるでしょうが、その前に木が丸裸にされそうな勢いです。コウモリの季節を観ることは、虫の季節も見ちゃうことになってしまうのでした。6月4日は虫の日でしたが、どんな昆虫を観察しましたか?
花と虫

新緑も鮮やかな中、花が咲き昆虫が群れ飛ぶ森の上空には、更にそれを求めてコウモリが飛び交う季節になりました。街の中にあるねぐらから夕方目覚めたものたちが、脇目もふらず一直線に裏山へと向かって飛んでいきます。コウモリというと、ふわふわ、すとん、という飛び方に思われがちですが、この季節の一心不乱さは、夏に見かける彼らの姿とはまるで別物のように違っているみたいなのです。
このように山の近くのコウモリが向かう先はよくわかるのですが、平地の真ん中から飛び出したコウモリの行く先は?と観察すると、やはり川でした。川沿いに勝手に生えてきた河畔林と、それにまとわりつく蔓植物の花が、同じような役目を担っていたというわけなのです。川の両岸という狭い場所ながら小さき者には大切な、そして長く続く川というのは、あちこちから集まり、そして交錯する生きた場所でもあるようです。
春のおとずれ
冬眠しに行っていた場所から、今年はじめての1頭が夏のねぐらに姿を現しました。例年だとあまり使わない樹洞に入って中の様子をさぐり、違う穴ものぞいてみて、今年はどこが過ごし良いのかな、そんなことをして、また夜の空に出て行きました。さあて、今年はいったい、どういう夏の過ごし方をするのか、楽しみになってきました。
好森

かわもりのコウモリが水面すれすれの低いところを飛んでいる姿を見がちなのに対し(実際はそれだけではないが、見やすいのは街の灯が照らす部分なのが現実)、まだ葉も開いていない一見寂しい森では、こずえの近くを飛び交うコウモリ達の姿が見受けられる。芽吹きが始まった木々の周りにも、もう多くの昆虫がまとい、生命の季節を開始し始めているのである。生産量的には水辺にかなわないかもしれないが、森が産み出すものの魅力もまた大きいのだろう。だからこそ豊かな森では、洞窟から飛び出したもの、人家から目覚めて森に向かうもの、そして森の木そのものの中から出てきたものなど、森林を生活の場にするコウモリたちの姿は色々である。「恋ふ森」たちは森が好きなのだ。
川守

コウモリはなぜ「こうもり」なのか。川辺によく飛んでいるから川が好き、川を欲するから「かわほり」が転訛して「こうもり」というのがよく言われる一説。また井戸を守るからイモリ、川を守るからカワモリ→コウモリというのも一説。確かに今でも川辺、水辺というのはコウモリにとって主要な活動場所になっている。

この春先にも、気温の上昇と共に一気に活動が始まったのが、コウモリの餌となる昆虫。冬の冷たい水の中でも数多くの幼虫が過ごしていたわけだが、なかなかそんな季節には水辺にふれあいがないので多くの人には気づかれない。それらの羽化が始まり、実は春の水面というのは浮かんでくる物、流れてくる物、そして飛び立つ虫たちが意外なほど多いのです。それを目当てに、目覚めてすぐのコウモリが夕方になると各家から飛び出して川辺に集まってくる。虫が活動を初めてこその、コウモリシーズンのはじまりはじまり。
川守たちは、今日もやっぱり川辺の虫を食べに来るだろう。虫を食べてもらっていることで環境が守られているという言い方をするのは、やはり農耕文化の日本的な表現なんだろうか。
コウモリの住む家
春休みのアブラコウモリ相談対応で、先週まで毎日そんな相談があった家庭訪問をしていましたが、もう平地では全頭出払う活動シーズンになっていますね。やはり、50頭を越える数が住んでいると家主も気が付くことが多いようで、そんな家も何軒かありました。一つの雨戸の戸袋に20頭くらいずつ、2階の窓4カ所全部で100頭を越えているという、一軒のあちこちから飛び出すお宅では、ほぼ同時刻なので壮観です。糞が積もらないタイプの戸袋なので、屋根に落ちても雨で樋に流れるために意図せずメンテが楽になっていて気にはならないようでした。
最近、数年間いろいろなリフォームを試行錯誤して、コウモリにとっての出入り口をふさぎ終わった家がありましたが、安い建物はどんな手を加えても費用があまりかからないが、高い家はそれなりに綺麗な仕上がりを求めると、高く付くようですね。
どんな建物が入りやすいか、例数を見れば見るほどそれはまちまちなので一つの答えはない、と感じていますが、家の一軒一軒がオーダーメイドなので、パターンはあっても絶対という方法は簡単には見つからないでしょう。それよりも、もっとも影響する条件は、餌場や、従来のねぐらなど、コウモリの生活環境が豊かであるかどうかが重要に思います。しかし、コウモリにとって良い環境は、ヒトにとっても過ごしやすかったり安全・健全な環境だったりもするので、どうしても重なってしまうのは仕方がないかもしれません。
春先蝙蝠
今年もそろそろ街のコウモリが飛び始めました。しかし日中の陽気に誘われて飛んで出たものの、日暮れと共に気温が下がって出かけた先でへばってしまうものが"保護"される時期でもあります。怪我さえなければなるべく早く放してやるのがベストです。
信州ではもう少し先ですが、春先はそんな季節です。
2.2003年のコウモリニュース
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