Mysterious voice

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夏山で聞こえる謎の声
 夏山に登ると夕暮れ時にどこからか「チッチッチッ」といった動物の声が聞こえるがなんだろう?という話題があります。これが今バットウォッチャーの間で静かなブームになっている「なぞこえ」です。普通のコウモリは餌や飛行場所の状況を人間の耳には聞こえない超音波を発し てその反響音を聞くことによってするのが大きな特徴です。音波を使ったこれをエコロケーション(反響定位、echolocation)と言います。オヒキコウモリの仲間(Tadarida属)には人の耳に聞こえる音(可聴音波)でこれを行うものがいます。姿はなかなか見えないが、声だけがチッチッチッと空中から高速移動しているように聞こえるこの「なぞこえ」は、1996年にコウモリの会が呼びかけてみたところ日本全国から聞こえると反応がありました。また、その後の調査や聞き取りで中国や台湾各地でもあることがわかってきました。

Sonogram of the Mysterious Voice
 コヒガンザクラで有名な長野県の高遠城蹟公園でも数年前から桜の季節になるとこの声がすると報告されています。上図は植木康徳氏によって同地で録音された「なぞこえ」のソノグラムです。縦が周波数を表していますが、極めて高い音波を発していることがわかります。なお、普及型のマイクやカセットテープの音域特性ではこの声を録音することが困難で、高音域特性が特に高いマイクとDATレコーダーでないと記録できないそうです。
 高遠では翼を広げて40cmほどのコウモリが飛んだというシルエットを確認した人がいます。これがオヒキコウモリではないかと噂になっていますが、これまで日本では20例ほどが偶然に保護されたり捕まったことがあるだけのオヒキコウモリが発する音波の確認やエコロケーションの特徴を分析するまでには、まだまだ時間がかかるものと思われます。

 北アルプスや八ヶ岳ではテント越しにも聞こえると言われていますので皆さんも山の夕暮れで「チッチッチッ」という声が飛んで行かないか、耳をすまして聞いて見ませんか?

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