「メカの芸術品」
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■東芝ステレオラジオカセットプレーヤー
型名:KT−PS7(Walky)
今やこのメカが何を意味するかも知らない世代もあるだろう。
1980年代、磁気式のカセットテープが音楽記録媒体の主流でした。
これを街なかで聴くことができるようになったのは、SONYのヘッドホンステ
レオいわゆるWALKMANの登場によるものでした。
その後、各メーカが小型化・多機能化にしのぎを削って、様々な進化を遂げたの
ですが、そのうちの究極形のひとつが、このWalkyです。
カセットテープの再生は当然として、なんとオートリバース付き。
ラジオ機能はAM,FM以外に、TV1〜12chまで受信可能。
(TVの音声聞いて楽しいか?というツッコミは置いといて…)
ドルビーノイズリダクションも備えており、メカはロジック動作。
それでいながら、サイズはカセットテープのケースとほぼ同じ。
(厚みこそ20mm程度ありますが…でも、バッテリを考慮すれば十分に小さい)
当時の芸術品だと思うのです。
■磁気式のカセットテープに捧げる愛情とは
磁気式のカセットテープの魅力は、その自由度とタフさにあると言えます。
特に、タフさゆえの復活力については折り紙付きで、こんな経験をした人も
多いはずです。
当時のテープ再生機は、よくテープを噛み込んでいました。
(今の電子メモリ全盛期に、上記事象は理解しづらいでしょうね)
テープを再生していて、だんだん音が「こもって」きたら
これはヤヴァい!
アジマス調整とかが狂っているとテープの直進性が損なわれて、テープを駆動
するキャプスタンにテープが巻き付いてしまうのである。
そうなると、テープはリールに巻き取られることなく、際限なくカセットから
はみ出すことになり、それはもう、ぐっちゃぐちゃになるんです。
気づいたらすぐに再生を止めるのですが、この後の処理がもう大変で…
1)カセット本体をすぐに取り出す
→実際にはいろいろ引っかかってなかなか出ないことが多いですが。
2)はみ出たテープを傷つけないように、再生機から抜き出す
→テープ自体は引っかかっているのだから、もう全然出てこない。
無理に引っ張ると伸びてしまう、最悪テープが切れます。
→この作業を一度でもやったことがある人は、ブラックジャックの手術の
困難さを実感できます。
→上手く取り出すことができると、一定の達成感を得ることができます。
3)無事テープを救出したら、はみ出たテープを巻き取る。
→カセットには、リールを回転させる穴が2箇所あるので、どちらかの穴
に棒を突っ込んで回します。なぜか六角形の鉛筆がフィットします。
→テープの表と裏が逆にならないように、細心の注意を払って巻取ります。
特に折り目のついてしまった部分は要注意です。
4)全てのテープがカセットに収まったら、テープを最初まで戻す。
→そして、何度か早送り、巻戻しを繰返してテープをなじませます。
→この時、損傷箇所が読み取りヘッドの近くを通ると、もの凄く不安定な
「ぎゃぎゃぎゃ」という音がします。
→この異音が小さくなれば術式完了です。
さて、ここまですれば、再び音楽の再生は可能になります。(すごい!)
しかしながら、一度噛みこんだテープは、再び噛みこみを発生させやすくなり
ます。そして、それは必ず一度噛みこみが発生している箇所で起こるのです。
なので、一度でも噛みこみが発生したあたりを再生しているときには、音楽そ
のものよりも、テープが無事通過してくれるかどうか、ということのほうに注
意が向いて、ハラハラします。
今の1チップマイコンとフラッシュメモリの時代には起こりえない事象です。
でもね、今思うと、それくらいテープに愛情を注いでいた時代があったのだと
懐かしい気持ちになります。
欠点というのは、もちろん良いことではないのだけれど
ただ、なんか…
かわいいよね。
(おわり)
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