大銀醸 「星の寒梅」
 GALAXY EXPRESS 999
 
 
     
カッチーニのアヴェ・マリアを聴きながら
 

 
 
 
 


なにが幸いするかなんて、誰にもわからない。

最近強くそう思う。

一見、つらい事のように見えても、実は素敵な出来事だったりすることって

あると思う。もちろん、時間が必要だけれども。



たとえば、小学生の遠足で

楽しくみんなで歩いた先に、広大な草原が広がっている。

そこには、とても涼やかな風が吹いていて

僕は、胸いっぱいにその空気を吸い込んでみる。

「じゃぁ、ここでお昼にしましょう」

と、先生が言う。


ところが、僕のリュックサックの中をいくら捜してみても

お弁当がみつからない。


どうしよう。


周りでは、みんなが楽しそうにお弁当を広げている。

僕はひとり途方にくれる。

朝、あわてて飛び出したから、きっと忘れてきたんだ。

どうして、ちゃんとお弁当を入れたか、母さんにきかなかったのだろう。

この草原で、僕は、ひとり後悔していた。


しかし、いくら悩んだところで、お弁当は出てくるはずもなく…

肩を落として、草原を見つめるしかない。

足元には、ひしゃげたリュックがあるだけ。まるで、僕の心のよう。


「○○くん(←僕の名前)どうしたの?」

同級生が声をかけてくる。

しょうがない。ため息をついて

本当のことを言うしかない。

「僕、お弁当を忘れてきたみたいなんだ」


そしたら、だんだん、友達が集ってきてしまった。

友達のひとりが言った

「じゃあ、僕のウインナ−をあげるよ」

すると、べつの友達が、続いてこう言った。

「私は卵焼きあげる。甘くて美味しいよ」

「しょうがないなぁ。俺は、から揚げやるよ」

どこで見ていたのか、先生までやってきて

「おにぎりを半分わけてあげるわ」

と、優しい笑顔で僕にささやいた。

気がつくと、ひとり分のお弁当ができあがっていた。


ウインナ−はタコの形で可愛いかったけど、おにぎりはちょっとしょっぱすぎ。

でも、なんで

こんなに美味しいんだろう。


まるでピクニックの妖精が、魔法をかけたよう。


僕はだまって、空を見上げる。

そこには、目の前のから揚げと、同じくらい不思議な形の雲が

ぽっかりと浮かんでいた。



とか、そういう経験をしたかったなぁ。

なにが幸いするかなんて、誰にもわからない。


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今回のイラストは、1024×768サイズで仕上げてみたものもあるので

こちら

からみることもできます。



僕を見守ってくれている、すべての人に感謝の気持ちをこめて…








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