大銀醸 「星の寒梅」
 GALAXY EXPRESS 999
 
 
     
「我が青春のカセットテープ」
 

 


 
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☆彡



♪魔法の小箱♪


カセットテープの思い出は尽きないのだけれど

僕にとってはまさに「魔法の小箱」だった。

この箱の中には僕の時間が

僕だけの時間が

確かに定着されている。


まるで未来からの贈り物?

ラジカセのマイクから、流れ行く時間が吸い込まれていく

カセットのリールの回転は

静かに、でも着実にそれを受止める。

そして離さない。


僕は音を記録しているのではない。

時間を記録しているのだ、という

確かな手ごたえを感じていたんだ。




♪ドキドキの初録音♪


小学校の友達がテープレコーダーを貸してくれた。

僕の一番の友達で、世界の誰よりも僕のことを良く知っていた。


だから、テープ1本と一緒に、なんと!

テープレコーダー(以下テレコ)を3日間貸してくれたんだ。


テープには、さだまさしの関白宣言と、アリスの曲が入っていた。

FMからの録音だった。


もちろんそれは、驚愕しながら何度も聞いたけど

僕は、どうしても「録音」がしたかったんだ。

だから、友達に相談してみた。

「K君(友達の名前ね)のテープに録音してもいいかな?」


そしたら、彼はこういったんだ

「うん、だからB面は空けてあったでしょ?」



こういう友を持ったことが、本当は

ずっと価値のあることなのだろうけれど

そういうことは、ずっと時間が経ってから真に理解するのですね。


その時僕は、録音できる嬉しさで頭が一杯で

そのことだけを感謝してました。

人の優しさって、何年も何十年も経ってから

じんわり心にしみるものですね。



そういう細やかさに気づかないまま

僕は、初めてのレコーディングに挑戦したのです。

録音するのは、とにかくなんでもいい

けれど、好きな番組でないと。僕の初めての録音だもの



一時停止状態で、録音ボタンをガチャリと押し込む

背中がちょっと、ぞくぞくってする


静かな部屋に持っていって、一時停止解除

テープの巻き込み側リールに茶色いテープが見えたらまた一時停止

準備完了!


早足で、居間のテレビの前へ


テレコをテレビのスピーカーに押し付ける


家族には、唄(主題歌)が始まったら、絶対黙っててね!と注意

テレビでは宣伝が終わり

一時停止ボタン解除!!



『熱中時代・教師偏』がはじまる。

「牛はのろのろと歩く(by水谷豊)」

「牛はのろのろと歩く(by生徒たち)」

(中略)

「・・・どうしたら『さようなら』って言えるのだろうか?」

(前奏)

♪僕の先生は〜フィーバー

♪嵐を巻き起こす〜フィーバー

(以下略)



番組中、ずっとテレビの前5センチに貼り付いてました。



しかし最後に

「早くお風呂はいりなさーい(by母)」

うぎゃー!!!!!!

「黙っててって言ったのにぃー!」

と思わず叫んでしまいました。


そして23分間が終了。テープが終わりました。

じりじりと巻き戻して

再生ボタン!


・・・・

うわ

うわ

うわぁ


そのまんま時間が戻ってるよ!

恍惚の表情で、聞き入りました



でも最後に

「早くお風呂はいりなさーい(by母)」

「黙っててって言ったのにぃー!(by僕)」


うわ、変な声。こんな鼻にかかった声してんの?

誰?・・・俺?


恥ずかしすぎる!恥ずかしすぎる!恥ずかし・・・(×∞)



即行消そうと思ったのだけれど

せっかく定着された時間を、消去してしまうのはなんだか

申し訳なくて(誰にだろ?)


結局、消せないままでした



これが、僕のカセットテープとの出会いでした。




☆彡


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