大銀醸 「星の寒梅」
 GALAXY EXPRESS 999
 
 
     
劇場版「ヒロイック・エクスプレス」

-Clystal Ocean-
〜夢の器〜
 

 


=0=

昔むかし…この国にひとりの少年がやってきた。
背はあまり高くない。服装だってくたびれているし、なによりも
気になるのは、彼のやつれかただった。長い旅をしてきたんだろ
うね。

ただ、気になったのは、その子の瞳。
燃えるように、まっすぐで…。ただものじゃないと思ったね。
その少年は自分のことを「鉄郎」と名乗っていたよ。


あ、そうそう、僕は白馬の『ヒグラシ』だ。
なんで、馬がしゃべるのかって?言葉は人間のものだけじゃない
んだぜ。
時には感性に優れた人間がいて、僕の言葉を理解してくれること
があるけど、鉄郎とも会話ができたのは嬉しかったね。

どういういきさつかは知らないけど、僕は彼に選ばれて長い旅に
出ることになったんだ。



=1=

少しだけ、当時の話をしよう。

そのころ、僕らの国はちょっと大変なことになっていたんだ。
王様には、ひとりのお姫様がいたんだけど、
そのお姫様が14歳の誕生日を迎えたときに事件は起こったのだ。

お姫様の名前は『クレア姫』

姫様の美しさは、誰もがみな知るところだったけれど、ほんとう
に輝くような素晴らしさだったよ!異国の詩人が『月の女神』に
例えていたけれど、そんなものではとても足りないほどだったよ。
その笑顔一瞬だけで、国中のみんなが幸せで満ち足りていたんだ。

…で、事件の話だね。
今思い出しても、背筋がぞっとするような出来事だったよ。

お姫様の美しさを妬(ねた)んだ魔法使いが、14歳の誕生日の
その日、大切なものを奪って逃げたんだ。
その大切なものとは…みんなの

『夢の器』

人の心の中には、大切な器があって、それが想いを受け止めるの
だときいているけど、その大切なものを
魔法使いは奪っていったんだ。


それからというもの、僕らの国の時間は止まってしまった。
人々の「夢」「希望」「愛情」「喜び」は、すべて行き場を失っ
てしまったんだ。

世界は、さびしく乾いた悲しみだけが存在を許された。


それから300年が過ぎた。
誰も死なない傷つかない。でも、そこには喜びの欠片すらもない。
僕たちは、希望を求めていた。
この永遠の牢獄から救ってくれる何者かを!…こころから



=2=

僕は貧相な馬で、色が白いことを除けばなんのとりえも無い、
つまらない存在だった。

そんな僕に、運命的な出会いがおとずれる。

城門に人影が見えた瞬間、僕は、なんでか胸がどきりとしたんだ。
つまらない旅人だ。それなのに、僕は心が動いたんだ。
旅人は、マントの埃を払いながらこう言った。

「今日もいい日ですね」

悲しみしか存在しないこの国で、彼はそう言ったのだ。
人々は驚愕し、旅人はすぐさま王宮へと案内された。


王は言った。
「旅のおかた、この国は悲しみで包まれておる。その国に来て
 世界に感謝の気持ちを持てるのは何故じゃ?」
鉄郎はこたえた。
「知らない」


王は神に祈りを捧げ、旅人に300年前の出来事を話した。
そして、「夢の器」を取り戻してくれるように頼んだのだった。

「僕には、そんなことができるとは思えません」
鉄郎は、即座にこたえた。
王はうろたえた。

その時、信じられないことが起こった。
14歳の誕生日以来、自分の部屋から一歩たりとも外へは出る
ことがなかった、クレア姫が姿を現したのだった。


クレア姫は「夢の器」を奪われてから、胸の内の空虚さをずっと
ずっと抱えて眠っていた。
そして、彼女の姿は…まるで硝子のように透き通って見えたので
した。そして、そのさまは、この世のものとは思えないほど華麗
で、悲しいものでした。

「あ、…あの、旅のおかた」
クリスタルのような、響きの前に、鉄郎は緊張した。
「は、はい!」

「目の前のひとりを救えなくて、なんの王でしょう?…わたしは
 王の娘として、ひとりでもいい、この国の民を救いたいのです。
 わかっていただけますか?」



=3=

≪『ヒグラシ』馬上での会話≫

馬:「色情きょ〜」
鉄:「なに?」
馬:「わ!僕の言葉がわかるんだ?」
鉄:「わかりたくも無いけどね」
馬:「お姫様の魅力にまいっちゃったのかな?旅人さん」
鉄:「そんなんじゃ…」
馬:「『みなさんの夢の器を取り戻してきます』なんて言っちゃって」
鉄:「うっさいなー!あの状況で、それ以外のこたえがあるかよ?」
馬:「今向かっているのは、魔剣の丘だよ、怪物がいるんだよ」
鉄:「乗りかかった船さ。やるしかないさ」
馬:「お姫様のために?」
鉄:「…それより馬!おまえこそ、お姫様に「ほ」の字なのか?」
馬:「お前とはちがうよ、一緒にするな!
   お、俺は確かにちょっと体力は無いけど、性格は多少悪い程度
   で…。でもそんな俺が生まれたときに、体力が無くて処分され
   そうになったときに、姫様はこう言ったんだ
   『真っ白で素敵な子馬さんね』
   そして、今俺はここにいる。だから俺は姫様のためなら、この
   命なんて惜しくは無いんだ!」
鉄:「びっくりしたなぁ」
馬:「俺様の志の高さに?」
鉄:「馬って、こんなに長いセリフしゃべれるんだー?」
馬:「…」

遠くに、不気味な黒雲が広がってきた。

馬:「あの雲の下に、魔剣の守護神『ドリーギア』がいるんだ」
鉄:「そ、そうなのか」
馬:「おじけづいたのか鉄郎」
鉄:「…って、おまえ、後ろに向かって走ってるぞ!」
馬:「はっ!」




つづきが読みたい人いるんだろうか???

 
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