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【アトリエから】 26/11/2005
制作中の作品です
制作中の作品です。
巻いて日本に持っていくため、上下で2つに分けていつものアフレスコではなく
テンペラで描いています。
下半分の描き始めの写真です。“Caffe Rotonda”という題名になる予定です。

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【アトリエから】27/11/2005
カフェ・ロトンダ2 

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カフェ・ロトンダ、下半分の続きです。まだ途中ですがとりあえずここまでにして、
上半分 にとりかかります。


【アトリエから】28/11/2005
カフェ・ロトンダ3

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上半分(正確には180×120cm、下の部分は180×90cm)です。
ちなみにイタリアでは木枠は号数やF型、P型というサイズではなく
10cm単位 (画材店ZECCHIの場合)で縦横サイズを指定して購入します
。木枠の各辺の両端は雄と雌になっているので縦横どちらにも使えて便利です
(日本では縦は 両端が雄、横は両端雌となります)。
これは暗褐色の下塗りが出来上がったところ。
フレスコの場合は通常下塗りという作業がないので新鮮です。
この先、どうなるかというと
「サヴォイア伯号の寄港する街」Il porto di scalo di Conte di Savoiaや
「旅の始まり」という作品
http://www005.upp.so-net.ne.jp/Firenze/citta.html
http://www005.upp.so-net.ne.jp/Firenze/citta0.html
http://www005.upp.so-net.ne.jp/Firenze/viaggio.html
で描いている港のある街の連作の最新作ということになります。
実際に存在する風景ではなく、
子供の頃何度も夢に出てきた見知らぬ街を再現したいと思って描いています。
でもどこかにこれとそっくりな風景がある筈だという気もしています。
一つのテーマでは1点という主義できたので、
こんなに同じモチーフを描き続けるのは僕としては異例です。
で、どう繋がるのかというと風景の中にカフェがあって、
そのクローズアップが下の部分という予定です。


【アトリエから】02/12/2005
カフェ・ロトンダ4

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少し構図が決まりだしたところで下の部分と(画面上で)合成。
中央の明るい部分が多すぎるので構図を修正。

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【アトリエから】04/12/2005
カフェ・ロトンダ5

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上の風景の敷石工事中です。下の人物と合成してスケールのバランスを確認します。

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アトリエから】18/12/2005
カフェ・ロトンダ6

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カフェ・ロトンダの風景部分、敷石工事中。まだ影が入っていません。この後、建
物の建築です。


【アトリエから】20/12/2005
カフェ・ロトンダ7  

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左奥の街並みを描き始めます。上り坂を少し右に回り込むように変更。

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アトリエから】14/01/2006
カフェ・ロトンダ8
…というわけで「カフェ・ロトンダ」、制作を再開しました。
左が重い構図に悩んでいたのですが、
中央の建物の陽のあたっている壁面を、
より左に変更する事で一応解決したつもり。
自分の中にイメージを取り戻すため、ディテールを少し描き進めています。
一時帰国など挟んで少し遠ざかっていましたから。

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【アトリエから】27/01/2006
カフェ・ロトンダ9

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8から長いインターバルでしたが、相変わらずゆっくりした進行。そろ そろスピー
ドアップしたいところですが。
 船の名は“Il Conte di Savoia”=サヴォイア伯号。実在した豪華客船です
(1932-1943)。この船を何度か想像で描いてきたのですが↓
http://www005.upp.so-net.ne.jp/Firenze/viaggio.html
http://www005.upp.so-net.ne.jp/Firenze/citta.html
http://www005.upp.so-net.ne.jp/Firenze/citta0.html
今回初めて古本とwebサイトで現実のサヴォイア伯号を見て、ちょっとショックで
した。太く後傾した2本の煙突、緩やかな曲面をえがく船首など、意外にモダンな
船型。もっと優雅でクラシカルな形をイメージしていたので。
 でもしばらく眺めていると子供の頃、夢に描いた客船そのままの形であることに
気づいて嬉しくなりました。
 で、デフォルメは最小限にして描き初めます。ただ煙突をそのままの角度で後傾
させて描くと少しよそよそしい印象なので、中ほどをほんのわずかだけ屈折させて
います。と言っても描いた本人以外気づかないかも知れませんが。
 相変わらず画面左側が重いので、坂道の向こうに広場をつくり、地面と空の境界
線をのぞかせることにします。
 建物は、まだ明暗の組み立てをしている段階。白がこのまま残る訳ではなく、全
体に黄褐色系になる予定。

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 例によって、この風景に合体させる予定の3人の人物の絵と画面上で合成して構
図をチェック。
 黄色い線はバランス確認のための合成画面上の補助線。対角線と3等分線。
 例えば画面左上部の明部の分量と、その対角の人物の明部のバランスを確認しま
す。
 左下のちびすけの表情、もう少し何とかしたいところ。女性の上半身のポーズも
未決定。
 完成予定は3月初め。それまでのんびり描き続けるつもりです。


【アトリエから】31/01/2006
カフェ・ロトンダ10  

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カフェの人物を描き始めたところ。チビスケは歩道に立たせることにします。
こうして小さな画面で見ると、チビスケの小さすぎるのが判明。要修正です。
建物の影をはっきりさせました。さらにコントラストを強めていく予定。
道路と海の間にあった曖昧な部分は消去して海を近づけます。
右側の敷石道路を拡張工事、停車している車を描きたいのですがスペースが不足し
ていたので。
左の道路にも自動車を2台描き込む予定ですが、時代設定でまだ迷っています。
船に合わせると第2次大戦前になりますが、もう少し後、50年代の車のほうが自分
のイメージにはしっくりきます。
空や建物に固有色をのせていきます。
「くすみ」や「色あせ」「汚れ」を加えてリアリティを強めていきたいのですが、
生の色の鮮度も残したいところ。

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構成の基本は整数比による分割。上のキャンバスは120cm×180cm(2:3)、下
は90cm×180cm(1:2)。
合体すると全体で210cm×180cm(7:6)。2つのキャンバスの境界線は、4:3
の分割線。
画面に重ねた補助線は縦、横それぞれの3等分線。これに対角線を加えたものが基
本。画面下の方に引いた細い水平線は180cm×180cmの正方形を上からとった場
合の下辺。

【構図についての自分のためメモ】
 分割線を頼りに構図を決めている訳ではない。それでは自然な構図感覚が活かさ
れないから。
 キャンバス上で即興的に構図を決定したあとで、等分線と対角線を基本とした補
助線を重ねてみる。
 簡潔な整数比の構成に近づけるために、補助線に沿うように構図を修正する場合
もある。
 例えば、直感的に引いた線の位置が補助線とわずかな差だったら、補助線に合わ
せるというように。
 この絵ではまだ補助線による修正は加えていない。
感覚的に決めた構図と、後から重ねた補助線が良く一致しているのでその必要が無
いから。
 簡潔な構成を目指す以上、補助線は少なくシンプルに。
 複雑に分割を繰り返していけば分割線、対角線が無数に引けるから、どこかで一
致するのは当たり前。それでは何を確認しているのかわからない。

構図の考え方】
 簡潔な整数比を追求するのは、それが絵画に静的な秩序と明快なリズム感を与え
ると信じるからですが、絵の中に一種のなぞ解きを潜ませておく楽しみもありま
す。
 それはジョルジュ・スーラ(Georges Seurat1859-1891) の「グランドジャッ
ト島の日曜日の午後」から学んだことです。
 完璧な静的秩序と音楽的リズムの秘密を探ろうと、複製画に定規やコンパスを当
て黄金比を探しても「これは」という解答は得られません。黄金比に複雑な操作を
加えないと実際の構図と一致しないのです。
 「黄金比に依る分割」という当然と思えた前提条件の根拠が希薄だったというこ
とです。
 「グランドジャット島の日曜日の午後」の画面全体の縦:横比は2:3。
 黄金比を捨て、スーラが使ったのは整数比であると仮定して単純な数値を当ては
めると、構図との正確な一致が次々に発見できます。
 犬が飛びつこうとしている小さな白い蝶や紳士の小脇に抱えたステッキの方向に
もヒントが隠されています。
「グランドジャット島の日曜日の午後」の構図の解析は機会を改めて。
 整数比にこだわるのは黄金比を否定しているからではありません。
 簡潔な整数比から黄金比が導き出される過程(フィボナッチ数列・リュカ数列
※)を画面上で再現することができれば、究極の黄金比で始めるよりエレガントだ
と思うのですが。

フィボナッチFibonacci(=Leonardo filio Bonacij Pisano 1170-1250)、イタ
リアの数学者。フィボナッチ数列は第1項と第2項を1、以下はその前の2項の和
とする。つまり1,1の次は1+1=2、その次は1+2=3、2+3=5…と続きます。
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233…
この数列のある項とその前の項の比は、先に進むほど黄金比、φ=(1+√5)/

=1. 6180339887498948…に近づいていきます。
例えば89/55=1.61818…、233/144=1.6180555…。
他にリュカ数列(リュカ =Edouard Lucas1842-1891=は「フィボナッチ数列」
の命名者で「ハノイの塔」で知られるフランスの数学者)、第1項を1、第2項を3
として同様に続ける数列。
1,3,4,7,11,18,29,47,76,123,199…
トリボナッチ(Tribonacci)数列
1,1,1,3,5,9,17…
などが黄金比と関係していますが詳細は省略。フィボナッチ数列・リュカ数列と黄
金比の関係についての解説はweb上でたくさん見つかります。
Wikipediaの黄金比
http://ja.wikipedia.org/wiki/ 黄金比  など。


【アトリエから】05/03/2006
カフェ・ロトンダ11

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明日早朝一時帰国、というわけでフィレンツェでの制作はここまで。
最後の仕上げは日本でという事になります。
出品する展覧会は「写実画壇展」4/1金〜4/7木、上野の森美術館。
絵画的リアリティを追求する画家達の展覧会。公募展とは一線を画した各作家の個
性的探求が持ち味です。
ご高覧頂けましたら幸いです。

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【アトリエから】31/03/2006
写実画壇展 
第34回写実画壇展が始まります。
制作過程をご紹介してきた「カフェ・ロトンダ」を出品しています。
お花見がてらお出かけ頂けましたら幸いです。

caffe_rotonda

僕は初日のみ会場にいます。お気軽にお声をかけてください。
上野の森美術館 4月1日(土)〜4月7日(金)2006
am10:00〜pm5:00 (入場は4:30まで 最終日はpm3:00まで)
完成作品のページ

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