イングリシュガーデン


奥 峰子


そもそもイングリシュガーデンには、決まったひとつの形式があるわけではありません。英国の庭には、時代によってさまざまな流行があり、また著名なガーデンデザイナーの新しい思想にのっとった手法が生まれながら、変遷を重ねて来ているからです。

たとえば中世では、修道院が医薬用の植物の研究のために、バラとハーブを中心にした庭を作ってきました。

17世紀にはフランスやオランダの影響を受けて、整形式のフォーマルで華麗な庭が、王侯貴族を中心にはやりました。

18世紀に入ると、そのフォーマルガーデンの反動で、英国の牧歌的風景を理想とする自然風景式庭園が生まれます。これは"イングリシュ・ランドスケープ"と呼ばれ、広大な敷地に含まれる風景を借景に、カシやブナなどの森の樹木を植え、池や小川まで作るというスケールの大きな庭園で、自然を再現しようとする最初の試みでした。

19世紀には、海外から多くの植物が導入され、王立園芸協会の発足も重なり、従来の庭の形を重んずる傾向から植物そのものを主体にする庭へと変わっていきます。多くの植物を自然の姿のまま、組み合わせる手法が発達し、一般の人々の中にも、ガーデニングが趣味として浸透し始めます。

そのような背景から、英国の田舎にコテージガーデンが作られ、やがて植物の色と姿のハーモニーを楽しむボーダーガーデンが生まれ、流行となりました。

このように、イングリシュガーデンのスタイルは実に多様です。英国では、過去のさまざまなスタイルの庭が継承されたり、アレンジされたりしているので、ひとつのスタイルの庭をイングリシュガーデンと呼ぶわけにはいきません。

しかし、そこには共通した英国らしいスピリッツがあります。それは常に庭の美しさを追求することです。単に広さや豪華さだけでなく、植物の種類と色の取り合わせによって、人に与える安らぎと気品が常に備わっているのです。そのため、努力を惜しまず、自分の求める美のために必要な植物を選び、大切に育てる。

それが英国の庭、イングリシュガーデンだと思います。

Cottage Garden Border Garden Rose Garden
Small Garden Wall Garden Approach Garden

ー参考文献ー


HOME IDEAS:イギリス人のガーデニング・イギリス人の小さな庭・小さなフラワーガーデン(世界文化社)

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